3.5高等教育機関における外国人学生

ポイント

  • 日本における自然科学分野の外国人大学院生は、中国人大学院生が最も多く、2014年度では約0.7万人である。次いで韓国・朝鮮人大学院生が0.1万人となっており、1位と2位以降に大きな差がある。一方、米国の外国人大学院生はインド人大学院生が最も多かったが、2011年では中国人大学院生の方が多くなっている。また、日本ほど1位と2位に大きな差はないが、3位以降には大きな差がある。
  • 各国の学生が、外国人学生としてどの国の高等教育機関に多く在籍しているかを見ると、日本、中国、韓国の学生は米国において在籍している者が多く、ドイツ、フランスの学生については英国に在籍している者が多い。一方で、英国の学生については、米国に在籍している者が多く、米国の学生については英国に在籍している者が最も多い。

3.5.1日本と米国における外国人大学院生

 この節では、高等教育のグローバル化を示す指標の一つとして、研究者や高度専門家の養成を行っている大学院における外国人大学院生の状況を見る。図表3-5-1は、日本と米国の大学院に在籍する外国人大学院生の数を、最新年のランキングで10位程度の国と主要国について掲載したものである。分野については、日本は「自然科学」分野、米国は「科学工学」分野を対象としている。
 これを見ると、日本における外国人大学院生数は、中国人大学院生が最も多く、2014年度では約0.7万人である。次いで韓国・朝鮮人大学院生が0.1万人となっており、1位と2位以降に大きな差がある。一方、米国の外国人大学院生はインド人大学院生が最も多かったが、2011年では中国人大学院生の方が多くなっている。また、日本ほど1位と2位に大きな差はないが、3位以降には大きな差がある。
 なお、ドイツ、英国、フランスといった欧州諸国の大学院生は日本、米国ともに常にトップ10入りしていない。


【図表3-5-1】 日本と米国における外国人大学院生の状況
(A)日本:自然科学分野
(B)米国:科学工学分野

注:
日本の場合の外国人とは、日本国籍を持たない者。米国の場合、米国国籍を持たない者。
資料:
<日本>文部科学省、「学校基本調査報告」
<米国>NSF,“Science and Engineering Indicators 2006,2008,2010,2012,2014”

参照:表3-5-1


3.5.2主要国の高等教育機関における外国人学生

 図表3-5-2は主要国の高等教育機関に在籍する外国人学生数の推移である。ここでいう外国人学生とは「受入国の国籍を持たない学生」のことであり(留学生も含む)、どの国の学生が、どの国で存在感を示しているのかを見る。
 日本の状況を見ると、2012年で最も多いのは中国の学生であり9.7万人、次いで韓国の学生が約2.4万人在籍している。米国が0.2万人、ドイツ、フランス、英国は約500人程度である。推移を見ると、中国が突出して増加し続けており、2008年時点では落ち込んだものの、その後は継続して増加している。他国もその数値は少ないながらも増加していたが、最新年では減少している。
 米国の状況を見ると、2012年で最も多いのは中国で21.0万人、次いで韓国で7.0万人、次に日本で1.9万人である。中国の学生数が上昇している一方で、日本の学生数は激減している。なお、ヨーロッパ諸国の学生数は1万人以下と少ない状況である。
 ドイツでも中国の学生数が最も多く、2012年で2.2万人である。2006年頃から減少傾向にあったが、最新年では増加している。次いで多いのがフランスの学生であり0.7万人、また、韓国の学生も0.5万人と多い。日本の学生は0.2万人である。
 フランスでも中国の学生数が多く、2012年で2.6万人であり、かつ増加し続けている。次いでドイツの学生数が0.8万人と多い。また、他国の学生は、2000年代後半から増加傾向にある米国及び英国、横ばいの韓国、減少傾向にある日本という状況にある。
 英国でも中国の学生数が最も多く、2012年で8.3万人と突出している。次いでドイツの学生数が2.1万人と多い。一方、日本は近年減少傾向にあり、最新年は0.4万人である。
 韓国についても中国の学生が多い。一貫して増加し続けていたが、2012年では減少し、4.4万人となった。日本の学生は中国に次いで多かったが、2010年頃から米国と同程度になり、最新年では、わずかながら米国のほうが上回っている。
 各国の学生が、外国人学生としてどの国の高等教育機関に多く在籍しているかを見ると、日本、中国、韓国の学生は米国において在籍している者が多く、ドイツ、フランスの学生については英国に在籍している者が多い。一方で、英国の学生については、米国に在籍している者が多く、米国の学生については英国に在籍している者が最も多い。


【図表3-5-2】 主要国の高等教育機関における外国人学生数
(A)日本
(B)米国
(C)ドイツ
(D)フランス
(E)英国
(F)韓国

注:
外国人学生とは、受入国の国籍を持たない学生を指す。
米国は2003年までは外国人学生、2004年からは留学生(受入国に永住・定住していない学生)。
資料:
OECD Stat(webより)

参照:表3-5-2