2.1.4各国の女性研究者

 この節では、各国の女性研究者の割合を比較する。研究者の多様性向上の観点からも女性研究者の活躍が期待されている。
 女性研究者数の全体に占める割合はHC値を用いて計測している。また、米国は厳密な意味での女性研究者の数値がなく、英国、デンマークは同国が推計したデータである。
 我が国の女性研究者の全研究者数に占める割合は2014年で14.6%である。その割合は、調査国中、最も小さいが、その数で見ると、英国、ロシア、ドイツに次いで多い(図表2-1-9)。

【図表2-1-9】 男女別研究者数と女性研究者数の割合(HC値比較)

注:
1)日本は2014年、ドイツ、オランダ、スウェーデン、オーストリア、ベルギーは2011年、その他の国・地域は2012年である。
2)HC(実数)である。
3)下記資料中に米国、中国のデータはない。
4)英国、デンマークの値は国家の見積もり又は必要に応じてOECDの基準に一致するように事務局で修正された推定値。
5)ロシアとフランスの値は過小評価されたか、あるいは過小評価されたデータに基づいている。
資料:
<日本>総務省、「科学技術研究調査報告」
<その他>OECD,“Main Science and Technology Indicators 2014/2”

参照:表2-1-9


 各国の女性研究者の割合を部門別に見ると、どのような違いがあるのだろうか。入手できた主要国の女性研究者の総研究者数に占める割合を部門別に見る(図表2-1-10)。
 各国とも女性研究者の割合が小さいのは「企業」部門である。また、「大学」部門では比較的、割合が大きい。
 日本の2014年の値を見ると、「大学」部門が大きく、25.4%である。他方、一番小さい部門は企業部門で8.1%である。また、「非営利団体」部門では、他国と比較すると小さい割合となっている。
 ドイツは「公的機関」部門と「非営利団体」部門が一緒である。2011年の値を見ると、「大学」部門が36.3%、「公的機関・非営利団体」部門が33.5%とこの2部門が大きいことがわかる。
 フランスでは「非営利団体」部門が最も大きく41.1%であり、次いで大きいのは「公的機関」部門で35.4%である。
 英国では、「大学」部門が最も大きく、44.5%であり、次いで大きいのは「非営利団体」部門で40.5%である。
 韓国では、「大学」部門が最も大きく、28.8%である。


【図表2-1-10】 主要国の女性研究者数の部門ごとの割合

注:
1)フランスの全体、公的機関、大学の値は過小評価されたか、あるいは過小評価されたデータに基づいた。
2)英国の全体、大学の数値は国家の見積もり又は必要に応じてOECDの基準に一致するように事務局で修正された推定値。
3)フランス、英国、韓国の非営利団体は研究者数全体から、企業等、大学等、公的機関を除いたもの。
資料:
<日本>総務省、「科学技術研究調査報告」
<その他の国>OECD,“Main Science and Technology Indicators 2014/2

参照:表2-1-10


 次に日本の女性研究者数及び全研究者数に占める割合の推移を見ると(図表2-1-11)、女性研究者の数は2014年時点では130,603人であり、ほぼ一貫して増加傾向にある。割合についても、同様である。

【図表2-1-11】 日本の女性研究者数及び全研究者に占める割合の推移

注:
総務省「科学技術研究調査報告」にて発表された女性比率を採用した。ここでは2001年までの研究者数については企業等及び非営利団体・公的機関は研究本務者、大学等は兼務者を含む研究者を使用し計算されている。
資料:
総務省、「科学技術研究調査報告」

参照:表2-1-11


 最後に、男女別研究者数と博士号保持者の状況を部門別に見ると、男性研究者が最も多く在籍しているのは「企業」(64.1%)であり、次いで「大学等」(31.1%)である。女性研究者は「大学等」(61.8%)に最も多く在籍しており、次いで「企業」(32.9%)である(図表2-1-12(A))。
 男性研究者の多くが「企業」に在籍しているのに対して、女性研究者の多くは「大学等」に在籍しているが、博士号保持者を持つ研究者は、男女ともに「大学等」に多く在籍している(図表2-1-12(B))。

【図表2-1-12】 日本の男女別研究者数と博士号保持者の状況(2014年)
(A)部門別男女別研究者数の割合
(B)男女別部門別博士号保持者の状況
(a)男性
(b)女性

資料:
総務省、「科学技術研究調査報告」

参照:表2-1-12