2.1.2各国の研究者数の動向

 図表2-1-3を見ると、日本の研究者数は2014年において66万人、HC値は89万人であり、中国、米国に次ぐ第3位の研究者数の規模を持っている。日本のFTE研究者数は2002年から計測されており、2008年及び2013年において、FTEの研究者数を計算するための係数を変更している。そのため2009年、2013年以降のFTE研究者数の継続性は損なわれている。
 米国の研究者数は、OECDによる見積もり数値である。OECD統計では大学部門の数値は1999年まで、公的機関・非営利団体部門は2002年までしか、示されていない。また、企業部門の数値は2008年から示されている。
 ドイツは企業部門、公的機関・非営利団体部門では研究開発統計調査を実施している。大学部門に関しては教育統計を用いて計測しており、研究者のFTE値は、学問分野毎のFTE係数を使用して計測している。1990年の東西統一の影響を受けて1991年に研究者数が増加したため、データの継続性は損なわれている。
 フランスはすべての部門で研究開発統計調査を行い、研究者数を計測している。
 英国では、大学部門については研究開発統計調査を実施していなかったため、1999年以降の総研究者数はOECDの見積もり数値であった。しかし、大学部門の研究者数を公表し始めたのに伴い、2005年からの数値が公開されている。
 中国は研究開発統計データが公表されているが、統計調査の詳細は不明である。また、2009年からはOECDのフラスカティ・マニュアルの定義に従って収集し始めたため、2008年値よりかなり低い数値となった。その後は継続的に増加している。
 韓国は部門ごとに研究開発統計調査を実施しているが、2006年までは対象分野が「自然科学」に限っており、2007年から全分野を対象とするようになった。研究者数は継続的に増加しており、2010年以降ではフランス、英国を上回っている。


【図表2-1-3】 主要国の研究者数の推移  

注:
1)国の研究者数は各部門の研究者の合計値であり、各部門の研究者の定義及び測定方法は国によって違いがある場合があるため、国際比較する際には注意が必要である。各国の研究者の定義の違いについては図表2-1-1を参照のこと。
2)各国の値はFTE値である(日本についてはHC値も示した)。
3)人文・社会科学を含む(韓国は2006年まで自然科学のみ)。
<日本>
 ①2001年以前の値は該当年の4月1日時点の研究者数、2002年以降の値は3月31日時点の研究者数を測定している。
 ②「日本*」は図表2-1-2(A)①の値。(研究者の研究換算の統計を取っていない「研究を主とする者」の人数。なお、所属機関外の研究者数はカウントしていない)
 ③「日本(HC)」は図表2-1-2(B)、(C)の③の値。(「研究を主とする者」と「研究を兼務する者」の数。ただし、大学等の研究者数は前記に「学外からの研究者」を含む)
 ④「日本(FTE)」の2002年から2008年までは図表2-1-2(B)②の値(「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査」の結果であるFTE係数を用いて計算した「大学等」のFTE研究者と「企業等」、「公的機関、非営利団体」については「研究を主とする者」と「研究を兼務する者のうちFTEした者」を計測している)。
 ⑤「日本(FTE)」の2009年以降は、図表2-1-2(C)②の値(「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査」の結果であるFTE係数を用いて計算した「大学等」のFTE研究者と「企業等」、「公的機関、非営利団体」については「研究を主とする者」と「研究を兼務する者のうちFTEした者」を計測している)。
<米国>各国資料に基づいたOECD事務局の見積もり・算出。1985、1987、1993年値は前年までのデータとの継続性が損なわれている。
<ドイツ>1990年までは旧西ドイツ、1991年以降は統一ドイツ。1987年値は前年までのデータとの継続性が損なわれている。2008、2010、2012、2013年は各国資料に基づいたOECD事務局の見積もり・算出。2013年は暫定値。
<フランス>1997、2000、2010年値は前年までのデータとの継続性が損なわれている。2008、2009年値は防衛関係は除く。2013年は暫定値。
<英国>1999~2004年は各国資料に基づいたOECD事務局の見積もり・算出。2005年から計測方法を変更し、国家の見積もり又は必要に応じてOECDの基準に一致するように事務局で修正された推定値。2013年は暫定値。
<中国>2008年までの研究者の定義は、OECDの定義には完全には対応しておらず、2009年から計測方法を変更した。1991年から2000年までは過小評価されたか、あるいは過小評価されたデータに基づいた。そのため、時系列変化を見る際には注意が必要である。
<EU>各国資料に基づいたOECD事務局の見積もり・算出。EU-15の1991年値は前年までのデータとの継続性が損なわれている。
資料:
<日本>総務省、「科学技術研究調査報告」 文部科学省、「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査」
<米国、ドイツ、フランス、英国、中国、韓国、EU>OECD,“Main Science and Technology Indicators 2014/2”

参照:表2-1-3


 次に、研究者数の相対値、すなわち人口当たりの研究者数(図表2-1-4)によって各国の規模を考慮した国際比較を試みる。日本(FTE)は、2002年以降の値で見ると、主要国の中で、最も高い数値であったが、2010年には韓国が日本を上回った。
 伸び具合を見ると一番大きく伸びているのは韓国であり、特に2004年以降の伸びは著しい。欧州諸国は長期的に見て漸増傾向にあるが、英国については、2000年代前半に急激に増加した後、2000年代後半から横ばいに推移している。
 労働力人口当たりの研究者数(図表2-1-5)について見ても、人口当たりの研究者数と同様の傾向にあり、ほとんどの国で人口当たり研究者数の推移との差はあまりないように見えるが、フランスについては、労働人口当たりの研究者数は、他の欧州諸国よりも大きな値となっている。


【図表2-1-4】 主要国の人口当たりの研究者数の推移  

注:
国際比較注意及び研究者数については図表2-1-3、人口は参考統計Aと同じ。
資料:
図表2-1-3、人口は参考統計Aと同じ。

参照:表2-1-4


【図表2-1-5】 主要国の労働力人口当たりの研究者数の推移  

注:
国際比較注意、時系列注意及び研究者数は図表2-1-3、労働力人口は参考統計Bと同じ。
資料:
図表2-1-3、労働力人口は参考統計Bと同じ。

参照:表2-1-5