4. 調査研究活動の概要
(1) 第1研究グループ
研究課題 1
我が国半導体産業における国際競争力の決定要因に関する調査研究
1. 調査研究の目的
戦後の我が国の経済発展は、鉄鋼・自動車・エレクトロニクスに代表される各種製造業の飛躍的な発展によって支えられてきた。ところが、90年代後半以降、経済発展の原動力としての我が国製造業の国際競争力に大きな翳りが見られはじめている。とりわけ、エレクトロニクス産業、中でも同産業の中核的な役割を果たしている半導体産業は、90年代初頭に世界生産額シェアの過半を占めていたにもかかわらず、現状では 20% 前後のシェアに低下してきている。本調査研究の目的は、我が国半導体産業の国際競争力が 90 年代後半以降急速に低下してきている原因を経済学ならびに経営学の視点から分析すると共に、その克服策を探ることである。
2. 調査研究の概要
分析方法の中心は、我が国の半導体産業を構成する半導体デバイス・製造装置・材料の各メーカーならびに各種研究機関への聞き取り調査である。聞き取り対象は、各メーカーの製造・生産技術・研究開発部門に属する技能者・エンジニア・サイエンティスト達である。また、聞き取り調査に加えて、既存文献・データに基づく調査・研究も実行する。その際、特に、半導体デバイス中の DRAM 技術の発展プロセスに注目し、特許データと ISSCC などにおける発表論文とを相互参照しながら、我が国デバイスメーカーの技術戦略上の特徴を浮き彫りにする試みを行いたい。
3. 進捗状況
(1) 半導体メーカー及びリサーチコンソーシアムに対する聞き取り調査関連
(a) 日立・東芝・NEC・富士通 (一部三菱電機)・松下電器・ソニー・トレセンティ・エルピーダ・トヨタ自動車広瀬工場 (半導体前工程工場)、TSMC 等々の半導体デバイス (& セット機器) メーカーにおけるエンジニア・サイエンティストへの聞き取り調査 (b) キヤノン、ニコン、大日本スクリーン、東京エレクトロン、ELIONIX、米国 AMAT (アプライドマテリアル)、アドバンテスト、ダイフク、米国 Novellus、米国 Lam Research、Daifuku などの半導体製造装置メーカーのエンジニア・サイエンティストへの聞き取り調査。(c) JSR (旧日本合成ゴム)、東京応化などの半導体材料 (レジスト) メーカーのエンジニア・サイエンティストへの聞き取り調査。(d) STARC、MIRAI、ASPLA、SEMATEC、NY Albany Nanotec. Center、IMEC などの半導体R&Dコンソーシアムのエンジニア・サイエンティストへの聞き取り調査。
(2) 各種データベースの整理状況
70 年代以降における我が国半導体メーカーの DRAM 特許情報に関するデータベースの構築がほぼ完了しつつある。70 年代以降における我が国半導体メーカーの応用物理学会・電気情報通信技術学会におけるデータベースの構築については、外部からの購入可能分を含めると、50 〜 60% 程度の完成率である。70 年代以降における国際的に著名な IEDM (IEEE International Electron Device Meeting) における掲載全論文データベース構築については、ほぼ完了している。60 年代以降における ISSCC (IEEE International Solid-State Circuits Conference) における掲載全論文データベース構築については、IEEE 発行の ISSCC 論文完全所収版 DVD に基づき現在作成中であり、本年度中には完了予定である。
(3) 各種公刊データに基づく計量分析
70 年代以降の我が国半導体デバイス・装置・材料メーカーの設備投資行動パターンを分析するためのデータベースをほぼ完成し、現状計量分析を開始しつつある。また、同種のデータを用いて我が国半導体産業の各種利潤率が 90 年代以降に急速に低下してきた要因をも合わせて分析検討中である。今年度中には、上記のデータ収集・分析の範囲を、主に COMPUSTAT のデータに基づいて海外メーカーにまで拡張すべく準備中である。
4. 特記事項
特になし
5. 論文公表等の研究活動
- [1] Chuma Hiroyuki, "Semiconductor Production System a la TOYOTA: Pioneering Experiments in UMCJ," Mao Yunshi and Li Min(ed) Multinationals in China: Competition and Cooperation pp. 30-52, The University Press Limited 2004 年 5 月
- [2] 日本経済学会招待講演 (東京) 2004 年 6 月
- [3] 中国・中山大学国際コンファレンス (広州) 2004 年 7 月
- [4] 日本学術振興会第 165 委員会研究会 (東京) 2004 年 7 月
- [5] Mitsubishi Bank Foundation International Conference (三島) 2004 年 8 月
- [6] ルネサスプロジェクト・シンポジウム (東京) 2004 年 10 月
- [7] Yale 大学 Department of Electrical Engineering (米国) 2004 年 11 月
- [8] キヤノン露光装置 R&D センター (宇都宮) 2004 年 11 月
- [9] セミコン・ジャパン 2004 年マニファクチャリングサイエンスセッション特別講演 (千葉) 2004 年 12 月
- [10] 日本経済新聞社主催経営コンファレンス 2004 年 12 月
- [11] 東京大学経済学部アーキテクチャー研究会 2004 年 12 月
- [12] 中馬宏之、「日本のサイエンス型産業が直面する複雑性と組織限界:半導体露光装置産業の事例から」 一橋ビジネスレビュー 52 巻 3 号 2004 年 12 月
- [13] Chuma Hiroyuki, Takao Kato and Isao Ohashi, "Worker Discontent, Voice, and EI Programs in Japan Evidence from the Japanese Worker Representation and Participation Survey," Forthcoming Working Paper of Center on Japanese Economy and Business, Columbia Business School 2005 年 2 月
- [14]経済産業研究所アーキテクチャー・コンファレンス講演 (東京) 2005 年 2 月
- [15]応用物理学会・光学会招待講演 (埼玉) 2005 年 3 月
- [16] Chuma Hiroyuki, "Increasing Complexity and Limits of Organization in the Microlithography Industry: Implications for Japanese Science-based Industries," 経済産業研究所 Discussion Paper 05-E-007 2005 年 3 月
研究課題 2
全国イノベーション調査 (J-NIS 2003: Japanese National Innovation Survey 2003)
1. 調査研究の目的
本調査は、科学技術・イノベーション政策の展開に資する基盤的データを取得するために、我が国の民間企業におけるイノベーション活動の状況について把握しようとするものである。イノベーション活動に関する大規模な全国的・総合的・客観的な調査で、総務大臣による承認を受ける統計調査としては、我が国ではこれが初めてである。
2. 調査研究の概要
我が国と同様な政策課題を有している OECD ならびに EU メンバー国などが国際的に協力して共同で策定された各国共通の調査票と調査方法論に準拠しつつ、さらに我が国の独自性や固有の課題を踏まえたうえで、調査票を設計し調査方法論を検討して、いわゆる"承認統計" (承認番号: 23,198) として調査を実施した。
3. 進捗状況
本調査については、総務大臣より 2002 年 12 月 25 日に承認を受け、2003 年 1 月 24 日に抽出した 43,174 社の調査客体対象企業に調査票を発送し、承認期限である 2003 年 3 月 31 日まで回答へのご協力をお願いした。なお、承認期限まで、2 回の郵便による督促 (回答へのご協力のお願い) と、部分的にはさらに電話による督促を行った。9,257 社より有効なご回答を得た。2004 年 12 月 10 日に結果の概要と多くの変数に関する統計表を含む『全国イノベーション調査統計報告』を公表した。
4. 特記事項
国際比較可能性に留意しており、単にデータとして日本の状況を把握することができるのみならず、国際的に見た相対的状況も把握することが可能となる。調査結果は、我が国における政策展開の基盤的データとしてのみならず、各国相互にまた国際機関においても利用されるほか、各企業や産業における戦略の形成に資するものと期待している。
5. 論文公表等の研究活動
- [1] 伊地知寛博、岩佐朋子、小田切宏之、計良秀美、古賀款久、後藤 晃、俵 裕治、永田晃也、平野千博、「全国イノベーション調査統計報告」、文部科学省科学技術政策研究所、調査資料-110 (2004 年 12 月 10 日公表)
研究課題 3
日本のイノベーション-全国イノベーション調査データに基づく分析
1. 調査研究の目的
本研究は、知識基盤経済における科学技術政策・イノベーション政策の形成・執行に資するために、国際比較可能で国際的に調和のとれた調査として実施された「全国イノベーション調査」の調査結果に基づいて、より詳細に日本全体のイノベーション活動に関する実証的知見を得ることを目的とする。
2. 調査研究の概要
イノベーション活動の現状に係る全国的・包括的・客観的なデータを活用し深耕して、日本のイノベーション・システムに関する広範かつ多様な新たな知見を導出する。また、環境変化に対応し将来の政策形成や戦略策定により資するものとなるよう、企業等におけるイノベーション活動を把握するための今後の統計調査のあり方についても検討を行う。
3. 進捗状況
今年度は、「全国イノベーション調査」の結果が公表されて間もないこともあり、まずは、この調査結果と過去の同種の研究結果を対比して概略的な分析を行った。今後、さらに分析を深めていく。
4. 特記事項
特になし。
5. 論文公表等の研究活動
- [1] 伊地知寛博、日本のイノベーション・システム-「全国イノベーション調査」データに見る民間企業全体の現況、一橋ビジネスレビュー、52 巻 3 号、pp. 36-51 (2004 年)
(2) 第2研究グループ
研究課題 1
科学技術政策システムの articulation (機能分化と再統合)
1. 調査研究の目的
過去 20 年の世界的な科学技術政策の変動を理論的、実証的に跡付け、科学技術政策の革新の方向性を探る。その間の変化を、科学技術政策システム (政策主体、研究主体、これら相互間の機能的連結や中間的組織の全体) の再編過程、すなわち、科学技術政策に関わる機能の分化と再統合の過程として捉え、概念化し、体系的に整理する。
特に、産学連携を主対象として、大学、企業の機能的な再定義を行う。
2. 調査研究計画の概要
産学連携を支援する制度のうち、民間等との共同研究制度、受託研究制度の実績に関するデータベースを構築し、それを分析することにより、産学連携の実態を明らかにし、またそこに潜む問題点等を顕在化されることによって今後の産学連携政策立案の前提となるエビデンスを得る。
3. 得られた成果・残された課題
(1) 8 万レコードを越える共同研究 (1983-2002)・受託研究 (1995-2002) の研究契約データベースを構築した。
(2) 上記 DB に基づく共同研究/受託研究の研究状況の分析、および研究から創出された成果の社会還元の視点からベンチャー企業の研究制度利用について分析した。
(3) 分析結果は調査資料として発行すべく最終纏め段階にある。
4. 特記事項
産学連携支援制度に関する実績データベースの構築は、研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室の協力のもとに作成している。
5. 論文公表等の研究活動
- [1] 中山保夫、細野光章、齋藤芳子、福川信也、近藤正幸、「産学連携支援制度の活用状況」、研究・技術計画学会第 19 回年次学術大会講演要旨集、pp.614-617,2004.
研究課題 2
科学技術政策文献の構造分析・内容分析に関する研究
1. 調査研究の目的
科学技術政策の基本文書を計量文献学的手法により分析し、その特徴等を明らかにする。具体的には、科学技術基本法に基づいて策定された第 1 期科学技術基本計画(平成 8 年〜平成 12 年)、第 2 期科学技術基本計画 (平成 13 年〜平成 17 年) について構造的に分析するとともに単語出現頻度分析による内容分析を行って、"機械的"にそれぞれの基本計画の特徴及び相違を明らかにする。
2. 調査研究計画の概要
本研究では、科学技術基本計画について内容分析と構造分析という2つの手法を用いて分析を進める。内容分析として、昨年度の英語に引き続き、本年度は日本語による単語出現頻度分析を行う。具体的には、科学技術基本計画の名称出現頻度をソフトウエアにより機械的にカウントすることによって分析を行う。
構造分析に関しては、昨年度は、第 1 期基本計画と第 2 期基本計画の比較を行ったが、本年度は、第 1 期基本計画と第 2 期基本計画をそれぞれ章・節の表題及び記述内容のキーワードにより構造化し、基本計画の類似の章・節を対比しつつ構造の分析を行うことによって、それぞれの基本計画の特徴の分析を行う。
3. 進捗状況
科学技術基本計画に関して、上記2つの手法を用いることによって、それぞれの基本計画の特徴がある程度明らかとなった。特に、内容分析に関しては、機械的に単語の出現頻度を分析することによって、第 1 期科学技術基本計画では「整備」、「拡充」といった単語の頻度が高く、第 2 期科学技術基本計画では「我が国」、「社会」といった単語の頻度が高いといった特徴が明らかになった。構造分析については、第 1 期は、第 2 章の施策の展開が第 1 章の総合的方針内容を受けて展開されており、第 2 期科学技術基本計画では構造が把握しにくいといった構造の特徴が明らかとなった。
本年度は、上記、第 1 期科学技術基本計画及び第 2 期科学技術基本計画を対象とした、科学技術政策文献の構造分析及び内容分析の結果を報告書としてまとめた。
4. 特記事項
特になし。
5. 論文公表等の研究活動
- [1] 近藤正幸、山本桂香、「科学技術基本計画の内容分析・構造分析 (第 1 報)」、研究・技術計画学会第 18 回年次学術大会・講演要旨集、pp.518 - 521、2003 年 11 月.
- [2] 近藤正幸、山本桂香、「科学技術基本計画の内容分析・構造分析」、研究・技術計画学会第 19 回年次学術大会・講演要旨集、pp.437 - 440、2004 年 10 月.
- [3] 近藤正幸、山本桂香、「科学技術政策文献の構造分析・内容分析 - 第 1 期科学技術基本計画及び第 2 期科学技術基本計画を対象として-」(調査資料-115)、2005 年 3 月.
研究課題 3
科学技術の事業化を担う研究者・技術者の育成・支援の研究
1. 調査研究の目的
我が国において国際競争力を維持・向上させるためには独創的な商品開発は国際競争力を向上させるためには不可欠である。今まで一部の研究者・技術者が商品開発で創造性を発揮し競争力をつけてきたが、今後はより多くの研究者・技術者が商品開発に創造性を発揮することが期待される。本研究の目的は、独創的な商品開発を担える研究者・技術者の育成・支援における政府の役割を検討するために、既に独創的な商品開発に成功した研究者・技術者に関して知見を得ることである。
2. 調査研究計画の概要
過去独創的な商品開発に成功した研究者・技術者を対象とする。
インタビュー及び文献調査によるケーススタディにより、以下の点を明らかにする。
- なぜ、どのようにして独創的な新製品のアイデアを出せたのか?
- どのように管理されたのか、どのような組織環境だったのか?
- どのような人材であったのか?どのように育成されたのか?
本研究は学際的な研究であり、関連する先行研究は「創造性」「商品開発」「イノベーション」等の研究分野で見られる。これらの先行研究を参考にし研究のフレームワークを作成して研究を行う。なお、ケース・スタディは「なぜ」「どのように」を解明するのに適した研究アプローチである。
3. 進捗状況
2004 年度に研究を終了し、報告書を完成した。また、所内成果発表会で成果を発表した。
4. 特記事項
特になし。
5. 論文公表等の研究活動
- 石井正道、DISCUSSION PAPER No.38「独創的な商品開発を担う研究者・技術者の研究」、2005 年 1 月
(3) 第1調査研究グループ
研究課題 1
生命科学分野の海外在住日本人研究者の現状
- 米国 NIH 在籍者へのアンケート調査より -
1. 調査研究の目的
海外の優れた研究機関での経験は、研究者にとって非常に有意義なものであるという認識の下、我が国の政策においても研究人材の海外経験を奨励するような機運が高まっている。一方で、海外で活躍する日本人研究者に対して、帰国の動機付けとなるような環境整備の重要性も認識されつつある。しかし、現在海外在住の日本人研究者の意識や活動状況については、ほとんど把握できておらず、研究者の海外派遣や帰国の奨励策を具体的に検討することは容易ではない。
本調査研究では、研究者の海外派遣や帰国奨励策のあり方を検討する材料を収集する目的で、海外において研究活動を行っている日本人の現状や意識を明らかにすることを試みた。
2. 研究計画の概要
米国 NIH に在籍する日本人研究者に対し、NIHで仕事をするに至った事実関係とその理由、次のポジション希望、特に帰国の意思の有無およびそう考えるに至った理由を問う質問票を送付し、回答を求める。
3. 進捗状況
調査対象者への質問票の送付、回答の回収を完了し、回答結果を整理、分析した。回答者のNIHにおける活動状況、滞在予定や帰国に対する意識等を明らかにできた。
4. 特記事項
海外在住の日本人研究者を対象とした本格的な意識調査としては、初の試みである。
5. 論文公表等の研究活動
- [1]「米国 NIH 在籍日本人研究者の現状について」(調査資料-116)(2005 年 3 月)
研究課題 2
若手研究者の能力の向上と発揮にかかる要因分析
1. 調査研究の目的
優れた研究成果の創出には、優秀な科学技術人材の養成・確保を図ることが重要であり、このためには、多くの優れた人材が理工系を目指すとともに、自己の能力を十分発揮できるような研究組織・研究環境を整備する必要がある。近年の調査で、優れた研究成果は、その研究者の若手から中堅時代に生み出されている傾向があることがわかってきた。すなわち、研究者がこの時代に飛躍的に能力を向上させていること、さらにその能力を十分に発揮する環境にあったことが推測される。
そこで本調査研究では、若手研究者の能力向上に必要な因子について検証し、それを具体化するための方策を明らかにすること、さらに、若手研究者がその能力を最大限発揮できるような研究組織や人材マネジメントのあり方について目的とする。
2. 研究計画の概要
これまでの調査研究報告等を参考に、若手研究者の能力向上あるいは能力発揮を促進すると考えられる因子を取り上げ、現状を把握し、それらが能力向上や発揮の促進因子として我が国において機能しているか否かを検証する。
3. 進捗状況
1) 若手研究者の能力向上に関わる因子
研究者のキャリアとその生産性との相関性を解析した。大学の研究者総覧および論文検索データベース等から得た情報をもとに、該当する研究者の独立直前の論文生産性と独立直後の論文生産性とを比較したところ、若年独立型と大器晩成型(高齢になってから独立したタイプ)の研究者では、異なる傾向が認められ、その要因について検討中である。
2) 若手研究者の能力発揮に関わる因子
若手研究者が能力発揮の機会を充分に与えられているか否かを検討するため、公募情報を分析している。既に、平成 15 年 3 月〜平成 16 年 2 月まで、研究者人材データベースJREC-INおよび各研究機関のウェブサイトより、研究者公募情報の収集を完了した。現在、得られた公募情報をもとに、現在の研究者募集・採用における問題点および解決策について検討中である。
4. 特記事項
特になし。
5. 論文公表等の研究活動
特になし。
研究課題 3
これからの大学院教育における人材育成プログラムのあり方に関する調査研究
-博士号取得者のキャリアパス多様化に向けて-
1. 調査研究の目的
博士号取得者の能力・専門性をより有効的に社会に還元できるよう、博士号取得者のキャリアパスをアカデミック・キャリア(大学教官等)以外にも開拓することが必要であり、産業界、行政、科学コミュニケーション領域等、社会の各方面へのキャリアパスが期待される。博士号取得者がすべてアカデミック・キャリアとして生き残ってゆくことは難しい時代背景を考えると、これからの大学院教育は、従来のように「研究室の後継者養成」だけを目的とするのではなく、専門的知識の蓄積や研究方法の取得に加え、社会の多様なニーズに対応した能力を育成する教育に移行してゆく必要があるものと考えられる。
そこで本調査研究では、「科学技術分野の博士号取得者」が社会の各方面で活躍できるようにするために、社会のニーズを把握するとともに、そのニーズに対応できるような「大学院教育における人材育成プログラムのあり方」を提案することを目的とする。
2. 研究計画の概要
博士号取得者のノンアカデミック・キャリアの可能性は、産業界、行政、科学コミュニケーション領域等、社会の各方面で考えられるが、平成16年度には特に重要視されている民間企業等産業界に焦点を絞り、下記について調査を行う。
- (1) 日本における産学間の能力ニーズの比較
- (2) 日本における大学院教育での人材育成プログラムのあり方の分析
- (3) 海外における企業ニーズと大学院教育における人材育成プログラムの把握・分析
3. 進捗状況
平成 16 年度は、科学技術基本計画達成状況評価の一環として、科学技術政策研究所および㈱日本総合研究所で調査を実施した。研究人材本人へのアンケートや民間企業、大学等の45名の有識者との会合等により、日米博士号取得者のキャリアパスの分析、キャリアパスに影響を与える要因の評価、キャリアパスを多様化する方策の検討を行い、NISTEP REPORT として取りまとめた。
4. 特記事項
データは、経済財政諮問会議「日本21世紀ビジョン」に関する専門調査会をはじめ、総合科学技術会議や科学技術・学術審議会等の各種委員会の報告書、会議資料等で幅広く活用。
また、経済開発協力機構 (OECD) 科学技術指標専門家会合 (NESTI) の HRST に関するワークショップ (2004 年 9 月 27 日、フランス) において発表。
さらに、経済開発協力機構 (OECD) 科学技術指標専門家会合 (NESTI) では、博士号取得者のキャリアに関する調査のための専門家グループが組織され、日本から当研究所所属の伊神正貫研究官と三浦有紀子上席研究官が専門家として参加。
5. 論文公表等の研究活動
- [1] 基本計画の達成状況の評価のための調査 科学技術人材の活動実態に関する日米比較分析 -博士号取得者のキャリアパス- NISTEP REPORT No.92(2005 年 3 月)
- [2] Sachiko MITSUISHI,"Analysis of Japanese PhD holders' Occupations and Development of Policies to Diversity their Career Paths", DSTI/EAS/STP/NESTI/RD(2004)19,Workshop on User Needs for Indicators on Careers of Doctorate Holders,OECD,Paris,27 September 2004.
研究課題 4
大学における優秀な科学技術人材確保のための方策に関する調査研究
1. 調査研究の目的
我が国において世界をリードするような独創的・創造的な研究成果を数多く創出するためには、多くの優れた科学技術人材が自己の資質・能力を充分に発揮できるような競争的な研究環境を整備することが重要である。このためには、科学技術・学術研究の中心に位置する大学を活性化することが必要であり、平成16 年 4 月には国立大学法人がスタートしたところである。しかしながら一方で、各大学・大学院におけるインブリーディング率が高く、必ずしも競争的な環境になっていないのではないかとの指摘もある。
そこで、本調査研究では、国内外の大学・大学院について、主として大学教授・准教授等のテニュア及びテニュアトラック・クラスを念頭において、如何なる手段・方法で優秀な人材を確保しているのかを調査し、我が国と諸外国との現状を比較検討する。そして、我が国大学のインブリーディング率が高い原因を解明し、各大学がその必要に応じて内外から優れた人材を確保できるような方策を提案する。
2. 研究計画の概要
本調査研究では、日本の大学では必ずしも競って優秀な人材を確保しようとしていないのではないか(=人材のフローのマネジメントが機能していないのではないか)との問題意識のもと、国内及び海外の各大学・大学院について、主として大学教授・准教授等テニュア及びテニュアトラック・クラスを念頭において人材確保の状況を比較検討する。
そして、かかる比較検討をもとに、日本の各大学・大学院がその必要に応じて内外から優れた人材を確保できるような方策を提案する (競争原理の導入による適材適所の実現)。
3. 進捗状況
平成 16 年度は、主として米国のポスドク等を多く受け入れている 20 程度の大学について、テニュア及びテニュアトラック・クラスの大学教官の募集方法等に関して、各大学の公開ホームページに掲載されている募集要項等で把握・分析した。
4. 特記事項
特になし。
5. 論文公表等の研究活動
特になし。
研究課題 5
科学技術指標に関する調査研究
1. 調査研究の目的
本研究は、多様かつ複雑な科学技術活動を定量的データに基づき、総合的・体系的に分析・評価することで、世界における日本の科学技術の水準を明確にし、今後の科学技術政策の企画・立案に資することを目的とする。
2. 研究計画の概要
科学技術指標については平成3年度に最初の報告書を作成して以来、ほぼ3年ごとに改訂を行ってきており、平成12年に第4版科学技術指標を発行した。本年度は、昨年度までのデータ収集、執筆を受け、報告書の印刷・公表を行うとともに、同報告書の英訳・印刷を行う。
また、同報告書作成に当たっての経験や反響を踏まえ、第6版の作成体制に関する検討に着手する。
3. 進捗状況
平成 16 年 4 月に報告書を印刷・公表した。その後、英訳を進め、平成 17 年 3 月に英文版を印刷・公表した。
4. 特記事項
データは、経済財政諮問会議「日本21世紀ビジョン」に関する専門調査会をはじめ、総合科学技術会議や科学技術・学術審議会等の各種委員会の報告書、会議資料等に幅広く活用された。
多様かつ複雑多岐にわたる科学技術活動を定量的データに基づき総合的・体系的に分析・評価する本指標は、国内では当研究所以外で開発しているところはない。また、国外では、欧米や一部の開発途上国で取り組まれているが、理論と実証の両面から体系的に取り組んでいる点で国際的にも数少ないものといえる。
5. 論文公表等の研究活動
- [1] 科学技術指標 -日本の科学技術の体系的分析- NISTEP REPORT No.73(2004 年 4 月)
- [2] Science and Technology Indicators:2004 NISTEP REPORT No.73(2005 年 3 月)
その他の活動 1
(1) 外部委員会
- 文部科学省科学技術・学術政策局 科学技術政策関連指標の整備に関する研究会 科学技術人材の統計的把握に関するワーキンググループ 委員
- Main delegate; Ad Hoc working group "Steering and Funding of Research Institutions (SFRI)" (OECD/CSTP) 2004. Sep.-
- Expert; Experts group of Survey on Career of Doctorate Holders (OECD/CSTP/NESTI) 2004 Oct.-
(4) 第2調査研究グループ
研究課題 1
科学技術の公衆理解に関する研究Ⅱ
1. 調査研究の目的
「科学技術の公衆理解」については、科学技術基本法、第 1 期及び第 2 期科学技術基本計画、科学技術会議等審議会答申・報告書において、その重要性が強調されており、第 3 期科学技術基本計画の柱となる可能性もある。
また、海外においても科学技術・教育行政の柱の1つとして重要視されており、各種機関による意識・学力調査等が実施され、活発な議論がなされている。
本研究の目的は、「科学技術の公衆理解」増進を促進するための基本データを収集蓄積することにより、今後の科学技術政策立案の基礎資料及び科学技術基本計画における科学技術理解増進活動の評価基準としての活用を図るとともに、「理科離れ」の原因を特定し、その対策を提言することにある。
本研究はまた、科学技術基本計画の推進・検討への寄与をも目指すものでもある。
2. 研究計画の概要
(1) 科学コミュニケーションシステムに関する調査
科学と社会とのコミュニケーション活性化を目指すにあたり、科学コミュニケーターが果たすべき役割、その養成システムのあり方等に関する調査検討
(2)科学系博物館等における理解増進活動に関する調査
科学館等と学校が連携した活動や地域における科学理解増進活動について、各種事項に関する現状調査の実施・分析
3. 進捗状況
(1) に関しては、内外の科学コミュニケーション施策の実態を調査し、収集した関連情報を平成 16 年度に調査報告書に取りまとめた。また、トークセッション等を実施すると同時に、科学技術に対する一般の関心を広く呼び起こすための「しかけ」(おしゃれな科学)に関する予備的調査を実施した。(2)に関しては、科学館学習の有効性について調査するため、4つの市の小学校5年生から中学校3年生の児童生徒へアンケートを実施し、平成16年度の調査報告書として取りまとめた。
4. 特記事項
7 月、英国自然史博物館のモニカ・グレイディス教授を迎え、「科学とメディア - - 火星隕石報道の経験から」と題したトークセッションを、ブリティッシュカウンシルと共同主催。
2 月、内外 10 名の著名講師陣を招聘し、国際コロキアム「サイエンスコミュニケーションのひろがり」を実施。
3 月、米国スローン財団のドロン・ウェーバー氏を迎え、「科学者のイメージ-メディアを通したイメージアップは可能か」と題した所内講演会を開催。
5. 論文公表等の研究活動
- [1] 中村隆史、大沼清仁、今井寛「学校教育と連携した科学館等での理科学習が児童生徒へ及ぼす影響について - 学校と科学館等との連携強化の重要性 -」科学技術政策研究所 調査資料-107 (2004.11)
- [2] 渡辺政隆、今井寛「科学技術コミュニケーション拡大への取り組みについて」科学技術政策研究所 DISCUSSION PAPER-39 (2005.2)
- [3] 渡辺政隆 日本科学教育学会第 28 回大会にて発表 (2004.8)
- [4] 中村隆史 OECD/GSF「生徒の理科離れ対策」委員会への情報提供検討会にて報告 (2005.1)
研究課題 2
先端生命科学技術の社会的ガバナンスシステム構築のための調査研究
1. 調査研究の目的
先端生命科学技術の進展に伴う新たな倫理的・社会的諸問題に対処するためには、社会全体が的確に対応する包括的な先端生命科学技術の社会的ガバナンスシステムの構築が必要であり、その基盤となる諸課題を調査研究する。
2. 研究計画の概要
(1) 具体的事例を通して、生命倫理問題に包含される諸要素を分析する。
(2) 生命倫理問題の諸要素の分析検討から、構築すべきシステムの枠組みを検討する。
(3) 生命科学技術の社会的ガバナンスシステムの在り方(設計図)を提言する。
3. 進捗状況
上記(1)に関し、2003年度までの調査研究で「中間的専門機関」の重要性が明らかとなってきている。その機能は取扱う対象に応じた適切な組み合わせで組織が構築される。機能には、①施策策定のプロセス、法定の許認可機関、専門的調査研究機能、広報と公衆理解、倫理委員会、インフォームドコンセント、専門職能集団、査察・モニター、これらを包括するシステムの透明性の確保などの諸要素に関して、具体的事例として、ヒト胚の取扱いの在り方について検討を行い、科学技術、科学技術政策立案、市民・社会の3つの領域(セクター)を適切に仲介する中間的機関の必要性を明らかにした。
4. 特記事項
第 2 期科学技術基本計画 (2001 年) やバイオテクノロジー戦略大綱 (2002 年) では生命科学技術の発展と不可分な生命倫理問題解決の重要性が指摘され、本検討は急務である。
5. 論文公表等の研究活動
- [1] 牧山康志 『臓器移植を事例とする科学技術の社会的ガバナンスの検討-中間的専門機関の重要性-』POLICY STUDY No.10、2005年(発行予定).
- [2] 牧山康志 「人クローン胚の作成と利用 - 治療的クローン (therapeutic cloning) をめぐる現状 - 」科学技術動向月報、No. 38,pp. 12-20,2004 年 5 月.
- [3] Yasushi Makiyama. Hypothetical political framework for bioethical governance in Japan. Challenges for Bioethics from Asia, Darryl Macer, ed, Eubios Ethics Institute, pp, 512-519, 2004. (ISBN 0-908897-22-7)
- [4] 牧山康志 「科学技術政策と個人情報」(分担執筆)、『人体と個人情報』宇都木伸、菅野純夫、米本昌平 編、日本評論社、248-276頁、 2004 年 6 月. (ISBN 4-535-51410-0)
- [5] 牧山康志 「生命倫理における好ましいリスクコミュニケーションの制度」第 34 回安全工学シンポジウム講演予稿集、81-84頁、日本学術会議、2004 年 7 月.
- [6] 牧山康志 「英国のヒト胚に関わる管理システムの概要 - わが国における生命科学技術の社会的ガバナンスシステム構築のために - 」、『SRL宝函』、No.28、92-97頁、2004 年 11 月.
- [7] 牧山康志 「クローン胚研究の生命倫理と社会」、『Medical Science Digest』vol.30, No.8、414-417頁、2004 年 10 月.
- [8] 牧山康志 口頭発表「生命科学技術の社会的ガバナンスシステムの検討:中間的専門機関」第 16 回日本生命倫理学会、鳥取環境大学、2004 年 11 月 28 日.
- [9] 牧山康志 口頭発表「生命倫理のリスクマネジメントにおける科学技術政策」生命倫理の社会的リスクマネジメント研究シンポジウム、㈱三菱総合研究所 (東京)、2005 年 1 月 19 日.
その他の活動 (課題 1・2)
1. 共同プロジェクトへの参画
- 渡辺政隆 分担研究「社会とのコミュニケーション」文部科学省委託費研究「ライフサイエンスにおける倫理的・法的・社会的問題についての調査研究」(代表: 菱山豊)
- 牧山康志 分担研究「生命科学技術政策における専門職能集団の研究」平成 15・16 年度科学技術振興調整費研究「生命倫理の社会的リスクマネジメント研究」(主担当: 三菱総合研究所)
報告書『科学技術政策提言: 生命倫理の社会的リスクマネジメント研究』研究代表者: 野口和彦、2005 年 3 月.
2. 講演・研究会等での発表
- 渡辺政隆 中国科学技術協会主催「国民科学資質建設国際フォーラム」招待講演、2004 年 7 月 29 日.
- 渡辺政隆 第 27 回日本分子生物学会年会「学会と社会との接点に関するワークショップ - - 生命科学研究の現場と社会:双方向のコミュニケーション」招待講演、2004 年 12 月 11 日.
- 渡辺政隆 和歌山大学クリエシンポジウム「科学コミュニケーション 誰がどこでどのように」招待講演、2005 年 3 月 7 日.
- 渡辺政隆 文部科学省委託費研究「ライフサイエンスにおける倫理的・法的・社会的問題についての調査研究」第 5 回研究会、「社会とのコミュニケーション」招待報告、2005 年 1 月 23 日.
- 牧山康志 「治療的クローンの規制の在り方と今後の動向について」龍谷大学生命倫理研究会、2004 年 7 月 22 日.
- 牧山康志 「生命倫理問題解決における中間的専門機関と社会的ガバナンスの重要性:
『ヒト胚』の扱いなどを事例に」お茶の水女子大学COEジェンダー研究センター:第 9 回「ポストゲノム時代における生物医学とジェンダーに関する研究会」、2005 年 1 月 13 日.
3. 外部委員・講師等について
- 渡辺政隆 鹿児島大学理学部物理学科非常勤講師、「科学ジャーナリズム」、2004 年 6 月 7 日.
- 渡辺政隆 高崎女子高校スーパーサイエンスハイスクール講師、2004 年 9 月 9 日.
- 渡辺政隆 平成16年度群馬県「SSH」及び「SPP」合同成果発表会コメンテーター、2004年 10月24日.
- 渡辺政隆 高崎高校スーパーサイエンスハイスクール講師、2005 年 1 月 31 日.
- 渡辺政隆 第 4 回科学技術理解増進日米専門家会合、2005 年 2 月 20 日(米国ワシントンDC)
- 渡辺政隆 東京工科大学バイオニクス学部兼任講師、「生命倫理」(通年)
- 渡辺政隆 早稲田大学理工学部非常勤講師、「進化学」(後期)
- 牧山康志 ファイザー財団国際共同研究「英米、独仏、日本における生命倫理思想の比較 思想論的検討およびその社会的応用に関する研究」、科研基盤研究(B)(1)、代表:飯田 亘之、研究集会コメンテーター、2004 年 8 月3・4日.
(5) 第3調査研究グループ
研究課題 1
地域科学技術・イノベーション関連指標の体系化に係る調査研究
1. 調査研究の目的
- 地方経済の回復が相対的に立ち遅れ、地方自治体の財政が逼迫している中で、地域における科学技術の振興とイノベーションや起業化の推進による新産業・雇用創出への期待が高まっている。第 2 期科学技術基本計画においても、第 1 期基本計画に引き続き、地域における科学技術の積極的推進が重要視されているところである。
- 地域科学技術・イノベーション促進施策をより戦略的・効果的に展開していくためには、各地域における科学技術・イノベーション関連活動の現状・ポテンシャル及びその進捗・成果を定量的に把握し、国内での位置付けを継続的に行っていくことが必要不可欠である。
- こうした観点から、当研究所において従前より進めてきた地域の科学技術資源・活動を定量的に把握するための「地域科学技術指標」に関する調査を進展させ、当該指標を用いた地域特性の分析を試行的に行う。さらに、地域における科学技術資源やイノベーションへの取組みを総合的に把握すると共に、今後の施策の推進やプログラム展開へのインプリケーションを導き出す観点から「地域科学技術・イノベーション総合指標」(以下、地域総合指標)の構築を行う。
2. 研究計画の概要
(1) 地域科学技術指標の体系化
「地域科学技術指標策定に関する調査」(NISTEP REPORT No.51、1997 年 3 月)、「地域科学技術指標に関する調査研究」(調査資料-80、2001 年 12 月)を進展させた。地域科学技術指標を構成するデータの見直し、追加、及び更新を行い、当該指標を用いた地域特性の分析を試行的に行った。
(2) 地域総合指標の構築及び分析
地域科学技術・イノベーション推進に向けて各都道府県でどのような取組みが行われ、どれだけの進捗がみられているかについて、総合的に把握し、今後の国の関連施策・プログラムや各地域へのインプリケーションを導き出す観点から、「地域科学技術指標」にも包含されている主要かつ相互補完的な15指標を要素指標とする「地域総合指標」を構築した。
構築した地域総合指標を用い、47都道府県についての主成分分析を行った。これにより、科学技術・イノベーション推進に向けて注目すべき取組みが行われている地域を抽出し、比較分析を行うほか、地域イノベーション関連活動・施策展開状況との相互関係を分析した。
3. 進捗状況
(1) については、データの見直し、追加、及び更新を行い、試行的な地域特性の分析を行った。
(2) については、東北大学大学院・原山 優子教授、(財) 全日本地域研究交流協会・遠藤 達弥研究交流課長、一橋大学イノベーション研究センター・伊地知 寛博助教授の当所客員研究官3氏からアドバイスを受けつつ地域総合指標の体系を構築した上で、主成分分析法を用いて分析し、結果の一部を日本国内・海外の学会等で発表した。
(1) と (2) を合わせて「地域科学技術・イノベーション関連指標の体系化に係る調査研究」(調査資料 No.114、2005 年 3 月) として取りまとめた。
今後は、広域連携効果の分析、世界の主要地域クラスターとの比較分析、各地域の科学技術分野毎の特性・パフォーマンス分析を課題として、「地域総合指標」を更に深化・発展させていく予定である。
4. 特記事項
これまで各地域の知財力等、地域イノベーションの特定側面に着目した「総合力」を分析するため、様々な試みが行われてきたが、インプット、インフラ、アウトプット、波及効果に至るまでの広範な指標群を対象としたものは見られなかった。本調査分析を通じ、自治体毎の関連活動・成果の全体量を比較的コンパクトな指標群で把握・分析できる道を拓くことができた。これらは、重点的に展開されている地域クラスター関連事業の施策効果を分析するに当たり、有用なツールとなり得る。
また、本調査研究は、2004 年度調査研究実施計画に含まれる当研究所の自主研究の一環として行われているが、「地域総合指標」のフレームワークを活かし、全国 10 ブロック単位の主成分分析及び東京都を除く46道府県単位での主成分分析を行い、その分析結果を基本計画レビュー調査報告書 (「主要な産学官連携・地域イノベーション振興の達成効果及び問題点」、NISTEP REPORT No. 87、2005 年 3 月) に掲載した。
5. 論文公表等の研究活動
- [1] Naoki Saito, "The Development of Industry-Academia-Government Cooperation and Regional Innovation in Japan, "Proceedings of International Workshop on the Comprehensive Review of the S&T Basic Plans in Japan"-Toward the benchmarking of the effect by integrated S&T Policy -, 2004.12(発表は2004.9)
- [2] 斎藤 尚樹、杉浦 美紀彦、植杉 紀子、岩本 如貴、丸山 泰廣 (科学技術政策研究所)、三浦 義弘 (三菱総研)「『地域イノベーション総合指標』開発・活用の試み」、研究・技術計画学会第 19 回年次学術大会・講演要旨集、pp.67-70,2004.10
- [3] 斎藤 尚樹「持続性ある地域イノベーション推進のキー・ファクターと達成効果の定量分析の試み」、関西文化学術研究都市「都市開き10周年」記念シンポジウム、2004.10
- [4] Naoki Saito, "Quantitative and Qualitative Analysis on the Level of Regional S&T Activities toward Sustainable Innovation," Supplementary presentation at the session ‘University-Industry Research Collaboration and Regional Development,' AAAS Annual Meeting, 2005.2
- [5] 「主要な産学官連携・地域イノベーション振興の達成効果及び問題点」、NISTEP REPORT No. 87、2005.3
- [6] 「地域科学技術・イノベーション関連指標の体系化に係る調査研究」、調査資料 No.114、2005.3
研究課題 2
地域イノベーションの事例調査 (地域クラスターセミナーの開催)
1. 調査研究の目的
地域科学技術振興政策は科学技術基本計画等で重点施策の一つとして挙げられており、国内外の地域クラスターの事例等についての最新情報を得ることは当研究所第3調査研究グループをはじめ地域政策関係者(国、地方行政担当者、専門の研究者等)にとって意義あることである。そこで、経済産業研究所、研究・技術計画学会とともに、セミナーを開催する。
2. 研究計画の概要
地域クラスター調査において、海外を含め幅広い地域情報の収集・確認、調査の正確性を高めるため、地域専門家もしくは在日科学アタッシェ等を招き地域クラスターセミナーを開催し、事例紹介等をメインとした意見等を聴取する。内容等については講演概要を取りまとめ、後日当研究所ホームページで公表する。
3. 進捗状況
(1) 第 9 回 (2004 年 4 月 23 日 (金) 開催):
- テーマ:
- 地域開発におけるイノベーション政策の役割 〜フィンランドの事例
- 講師:
- Dr. Veli-Pekka Saarnivaara [フィンランド技術庁 (TEKES) 理事長]
- テーマ:
- 地域競争力の開発におけるテクノポリス社の経験
〜オウル市とヘルシンキ・ヴァンター空港地域の例 - 講師:
- Mr. Teppo Kettula [テクノポリス社プログラム・ディレクター]
(2)第 10 回 (2004 年 5 月 28 日(金)開催):
- テーマ:
- 地域イノベーションの成功要因及び促進政策に関する調査研究
- 講師:
- 前田 昇 教授 [大阪市立大学大学院創造都市研究科教授 / 文部科学省科学技術政策研究所第3調査研究グループ客員研究官]
(3)第 11 回 (2004 年 6 月 25 日(金)開催):
- テーマ:
- 九州シリコンクラスター計画の全体像
- 講師:
- 浅野 種正教授 [九州工業大学 マイクロ化総合技術センター]
- テーマ:
- 熊本の半導体製造企業集積からQTATクラスターへ
- 講師:
- 久保田 弘教授 [熊本大学 衝撃・極限環境研究センター]
(4)第 12 回 (2004 年 8 月 6 日(月)開催):
- テーマ:
- シアトル及び神戸におけるバイオ技術クラスターの比較分析
- 講師:
- Steven W. Collins, Ph.D. [ワシントン大学ボセル校助教授]
(5)第 13 回 (2004 年 10 月 20 日(水)開催):
- テーマ:
- ニューシャテル (スイス) 〜時計産業集積からMEMSクラスターへ
- 講師:
- Prof. Nico de Rooij [ニューシャテル大学] Mr. Harry Heinzelmann [スイスCSEM社副社長]
(6)第 14 回 (2004 年 12 月 17 日(金)開催):
- テーマ:
- 首都圏におけるITベンチャーのクラスター形成について
〜ネットワークがコンテンツビジネスを成功させる - 講師:
- 川口 洋司 氏 [株式会社コラボ代表取締役]
(7)第 15 回 (2005 年 2 月 3 日(木)開催):
- テーマ:
- 韓国テジョン (大田) 市における公的研究機関を中核としたR&D特区構想の展開
〜 IT バブル崩壊後の持続性ある地域クラスター形成・発展に向けて - 講師:
- Kang, Yongju, Ph..D. (姜 栄柱) [韓国忠南発展研究院 経済観光研究部責任研究員]
4. 特記事項
第 1 回地域クラスターセミナーは「カナダの地域クラスター開発」をテーマとし、2003 年 1 月 31 日開催した。
5. 論文公表等の研究活動
本セミナーのプレゼン資料及び議事概要を当研究所のウェブサイトに掲載。
http://www.nistep.go.jp/seminar/clusterseminarmain.htm
(6) 科学技術動向研究センター
科学技術動向に関する調査研究
1. 調査研究の目的
第 2 期科学技術基本計画の重点分野を中心に、先端の科学技術に関する動向について体系的かつタイムリーな情報収集・分析を行い、適宜、総合科学技術会議及び文部科学省等に提供することによって、今後の科学技術政策に関する戦略・施策の検討に積極的に貢献する。
2. 研究計画の概要
調査研究は、科学技術専門家ネットワークによる科学技術動向情報の収集・分析とセンター独自の視点で設定した重要科学技術分野・領域の動向分析からなる。
科学技術専門家ネットワークは、約1800名の研究者、技術者を専門調査員に委嘱し、インターネットWebサイトへ科学技術の動向に関する最新情報や専門的な見解等を投稿形式で収集する仕組みである。これにより国内外の学術会合、学術雑誌等に発表される研究成果、今後の科学技術の方向性等に関する意見が得られる。この情報は毎週整理(「週報」)されて、ネットワークを介して文部科学省、総合科学技術会議の担当者及び専門調査員が共有(閲覧)している。
また、センター独自の視点により設定した科学技術に関するテーマの最新動向について、インタビュー調査、専門家を招いての講演会の実施、文献調査等をもとに詳細な分析を行った。独自の視点とは、今後、国として取り組むべき具体的な重点事項、研究開発課題等を明確にすることであり、行政部局の動向、社会・経済的ニーズ等も踏まえ、重要と考えられる技術・課題を設定する。
3. 進捗状況
専門調査員からは、専門家ネットワークを通じて約740件の投稿があった。これらのうち特に注目される最新の動向を選び、毎月、「科学技術トピックス」としてとりまとめた。今後は、専門調査員の拡充を図るとともに、センターと専門調査員と情報交流の双方向性を高め、より有用な情報が提供・蓄積されることを目指す。
また、センターとして34件のテーマを設定し、調査・分析の結果を「特集」としてとりまとめた。
これらの成果を「科学技術動向」として毎月編集し、定期的に文部科学省、総合科学技術会議、在京大使館、シンクタンク、マスコミ等へ提供し、さらに政策研Webにおいて一般に公開した。さらに、「特集」については、英訳して「Science & Technology Trends Quarterly Review」として年4回にまとめて発行し、上記に加え海外機関へも提供している。
この他、文部科学省、総合科学技術会議からの求めに応じて、適宜、各種の資料を提供した。
今年度の調査研究の成果について、センター全体にわたる成果と、ライフサイエンス・医療、情報通信、環境・エネルギー、材料・製造技術、総括 (社会基盤、フロンティア) の各ユニットについての成果を以下の研究課題 1 〜 6 に示す。
4. 特記事項
特になし
5. 論文公表等の研究活動
- [1]「科学技術動向」2004 年 4 月号〜2005 年 3 月号
- [2]「Science & Technology Trends -Quarterly Review」No.11〜No.14
- その他個別のものは、研究課題 1〜6に置いて記述。
研究課題 1
センター全体としての調査研究
(1)科学技術政策に関する分析
科学技術政策全般に関わる以下の3テーマを取り上げ、「科学技術動向」(月報)の特集にとりまとめた。
- 2004 年 5 月号: 米国の科学技術政策動向 - AAAS 科学技術政策年次フォーラム速報 - (伊神正貫)
- 2004 年 8 月号: 科学研究と知的財産の公益性 - 「研究利用における特許権の効力の及ばない範囲の現況」についてAAASからの寄稿紹介 - (島田純子、亘理誠夫)
- 2004 年 12 月号: 米国の科学技術政策をめぐる科学者たちの行動 (浦島邦子)
(2)講演会の開催
科学技術政策上の重要テーマについて、専門家を招いて講演会を開催した。
<ライフサイエンスユニット担当>
- 数学で何ができるか-なぜ科学技術に重要か、どうすれば有効に活用ができるか-(講師: 北海道大学大学院理学研究科教授 津田一郎氏、北海道大学大学院理学研究科教授 儀我美一氏(現・東京大学数理科学研究科)(2004 年 5 月)講演録-147
- 産学連携の現場(講師:東京大学先端科学技術研究センター助教授 廣瀬弥生氏)(2004 年 7 月)(講演録準備中)
- 南アフリカ共和国の科学技術政策と動向(講師:南アフリカ共和国科学技術省 Noncedo Vutula氏)(2004 年 11 月5 5 (講師:同志社大学教授 石黒武彦氏)(2004 年 6 月)
<環境・エネルギーユニット担当>
- 先端技術を支える規格・標準化の活動/技術-世界との比較(講師:育英工業高等専門学校専攻科教授 仁田周一氏)(2004 年 4 月 )
- 価値創造型もの創り立国強化を目指した政策提言 (講師: 三菱重工業株式会社常務 柘植綾夫氏)(2004 年 5 月)
- 若者の知力を増大させるには (講師: 慶應義塾大学大学院理工学研究科教授 宮健三氏)(2004 年 7 月)
<材料・製造ユニット担当>
- 論文誌の電子ジャーナル化がもたらす学協会の変化 (講師: (独) 科学技術振興機構知的資産集積部電子ジャーナル部門 和田光俊氏、(社) 日本化学会学術情報部 林和弘氏)(2004 年 7 月)
<総括ユニット担当>
- 「切磋琢磨型」アカデミズムの重要性(講師:東京大学先端科学技術研究センター教授 菅裕明氏)(2005 年 1 月)
(3) 行政部局からの要請にもと基づく調査分析
内局の要請によりアンケートを実施し、分析結果を提供した。
- 調査資料-108 科学技術の振興に関する調査 -科学技術専門家ネットワーク アンケート調査結果- (2004 年 10 月)
- 調査資料-109 国として戦略的に推進すべき技術の抽出と評価 -我が国の科学技術力のベンチマーキング- (2004 年 11 月)
(4) 国際貢献、国際協力
○海外機関の活動支援、参画
UNIDO、ウクライナ政府等の共催で実施された「ウクライナのための技術予測の手法と実践」会議 (ウクライナ、2004 年 8 月) にて講演。
台湾国家科学委員会科学技術情報センター主催の「アジア国家科学技術力評価シンポジウム」(台湾、2004 年 11 月) にて講演。
APEC 技術予測センター主催の「An APEC-Wide Foresight Study : Foresighting Future Fuel Technology an APEC-Wide Foresight Study」プロジェクトに参画。ワークショップ (タイ、2004 年 12 月) にて、論文 (Position Paper for Conventional Hydrocarbons) を発表。
○海外来訪者への対応、情報交換
海外の科学技術政策関係機関、在京大使館からの来訪者に対して、科学技術動向調査を説明するとともに、意見交換を行なった。
- 主な機関:
- フィンランド技術庁、スウェーデンイノベーションシステム庁、中国江南大学、ロシア科学アカデミー、フランス CNRS、韓国 LG
○研究者の受け入れ
- コーディネイト担当:
- 伊藤裕子
- 講義担当:
- 桑原輝隆、伊神正貫、伊藤裕子、浦島邦子、奥和田久美、小松裕司、立野公男、藤井章博、亀岡秋男客員研究官、木下栄蔵客員研究官、黒川利明客員研究官、香月祥太郎客員研究官、山田肇客員研究官、他
研究課題 2
ライフサイエンス・医療分野の基盤的な動向に関する調査研究
1. 調査研究の目的
第 2 期科学技術基本計画で重要分野の一つに選ばれているライフサイエンス分野について、基盤となる科学技術の研究開発動向を調査し、総合科学技術会議、文部科学省などの政策決定への基礎データを提供する。
2. 研究計画の概要
(1)科学技術専門家ネットワークを利用した科学技術情報の収集
専門調査員からの情報を中心に、研究開発の最新動向や学会等の状況、また見解等といった幅広い科学技術情報を収集する。
(2)キーパーソンへのインタビュー、所内講演による科学技術情報の収集・分析
各種資料の分析の他、当該分野の内外のキーパーソンへのインタビュー、講演会による議論等を通じて、広い視点からの動向調査を行う。
(3)政策の検討に資する資料としての取りまとめ
科学技術動向月報へのレポート(特集原稿の執筆)を中心に、調査資料、ディスカッションペーパー等を行政サイドで利用しやすい形に取りまとめ、提供する。
3. 進捗状況
(1) については、国内現地調査・インタビューを約 50 件実施し、のべ 70 人以上の専門調査員および大学等の研究者と面談した。その成果として、(2) および (3) がある。
(2) については、8 件 (うち、科学技術政策全般に関する 3 件は研究課題 1 に掲載) の所内講演会を実施し 5 件の講演録を作成した。作成した講演録は行政部局など広く配布し、成果の普及に努めた。
- 侵入生物がもたらす生物多様性攪乱 (講師: 国立環境研究所侵入生物研究チーム 五箇公一総合研究官)(2004 年 4 月) 講演録-134
- 人の中の分子を見る-分子イメージングの重要性と推進-(講師:岐阜大学大学院医学研究科 鈴木正昭教授)(2004 年 5 月) 講演録-143
- 読書の熟達化プロセスの認知脳科学的な分析:速読を例にして(講師:東京大学 植田一博教授、NBS 日本速読教育連盟 佐々木豊文氏)(2004 年 10 月) 講演録-150
- 蛍光タンパク質を用いたバイオイメージング〜生きた細胞内の時空的現象の理解へ向けて〜 (講師: 理化学研究所脳科学総合研究センター先端技術開発グループ グループディレクター 宮脇敦史氏)(2005 年 1 月)<講演録準備中>
- 多方面からのディスレキシア支援 - 国際ディスレキシア学会報告も兼ねて - (講師:加藤クリニック小児精神科 加藤醇子氏、筑波大学大学院人間総合科学研究科 宇野彰助教授、NPO EDGE 藤堂栄子氏、ノンフィクションライター 品川裕香氏)(2005 年 1 月)<講演録準備中>
(3) については、科学技術動向月報の特集として 6 件のレポートを作成した。特集の掲載されている科学技術動向月報は、行政部局に留まらず、大学や大使館など広く配布した。
- 2004 年 4 月号 感染症研究の現状と方向性 - 分子レベルの感染・発症メカニズムの解明に向けて - (島田 純子)
- 2004 年 6 月号 遺伝子サイレンシング研究の動向 (伊藤 裕子)
- 2004 年 7 月号 心の科学としての認知科学 (石井 加代子)
- 2004 年 12 月号 読み書きのみの学習困難 (ディスレキシア) への対応策 (石井 加代子)
- 2005 年 1 月号 創薬科学者・技術者の育成と現状(梶本 哲也 客員研究官)
- 2005 年 2 月号 食物アレルギー研究の動向 (島田 純子、矢野 裕之 客員研究官、水町功子 客員研究官)
4. 特記事項
特になし。
5. 論文公表等の研究活動
(研究発表等)
- [1] Yuko Ito 2004. "Who benefits the most from the Japanese Biobank." 2004 GRC (Gordon Research Conferences) on Science & Technology Policy (Big Sky, MT)
- [2] Y. Ito (NISTEP) and M. Yamauchi, Kissho (Toho Univ.) "Who are Science and Technology Workers Today?" UNU-IAS Yokohama Roundtable "Women in Science and Technology: A Forgotten Potential Intellect" 国連大学高等研究所(UNU-IAS)横浜ラウンドテーブル「科学技術分野の女性:忘れられた知的可能性」(2004 年 6 月 15 日)
- [3] Yuko Ito, "Governments' priorities and policy challenges for biotechnology development in Asia and Pacific region" The UNU-IAS Roundtable on: "Policy Issues Pertaining to Biotechnology Development in Asia" 国連大学高等研究所(UNU-IAS)ラウンドテーブル「アジア・太平洋地域のバイオテクノロジー発展のための政府の重点化と政策立案」(2004 年 11 月 8 日)
- [4] 伊藤裕子 「プレゲノムとゲノムとポストゲノムと」日本科学史学会 第 51 回年会研究発表講演要旨集 pp.24, 2004
- [5] 伊藤裕子 「創薬におけるイノベーションとバイオベンチャーの役割」研究・技術計画学会 第 19 回年次学術大会講演要旨集, pp.99-102, 2004
- [6] 伊藤裕子 「新規医療や医薬品の効果とリスク」科学技術社会論学会 第 3 回年次研究大会予稿集, pp.173-176, 2004
- [7] 隅蔵康一、島田純子、城戸康年、須田紘行、宗加奈子、羽鳥智則、エミン・ユルマズ 「ライフサイエンス研究者の直面している「知的財産問題」の調査」研究・技術計画学会 第 19 回年次学術大会講演要旨集, pp.332-335, 2004
- [8] 石井加代子 パネリスト シンポジウム「非行化した軽度発達障害児の矯正教育と心理的特性」第 42 回日本特殊教育学会大会 (2004 年 9 月 12 日)
- [9] 石井加代子 ディスカッサント 国際的・多言語特別支援の連携会議 第 55 回国際ディスレキシア学会大会 (2004 年 11 月 4 日)'Networking Session for International and Multilingual/ESL Practitioners' 55th Annual Conference, The International Dyslexia Association (Philadelphia, PA)
- [10] 伊藤裕子 「ライフサイエンス鳥瞰図の作成-がん研究マップの作成-」科学技術政策研究所 所内研究成果発表会 (2004 年 6 月 28 日)
- [11] 伊藤裕子 「遺伝子サイレンシング研究の動向」 科学技術政策研究所 月例成果報告会 (2004 年 6 月 29 日)(論文等)
- [12] Ito, Y. 2004. Japanese research grants for young researchers. Science and Public Policy 31 (3): 175-184. (マスコミ等: TV 出演)
- [13] 石井加代子 「Message from Scientists」に出演 サイエンスチャンネル (科学技術振興機構) 2005 年 3 月放送予定
研究課題 3
情報通信分野の基盤的な動向に関する調査研究
1. 調査研究の目的
第 2 期科学技術基本計画で重要分野の一つに選ばれている情報通信分野について、a. 基盤デバイス技術、b. ヒューマンインターフェース、c. ネットワーク技術、d. コンピューティング技術、e. ソフトウエア技術を取り上げ、基盤となる科学技術の研究開発動向を調査し、総合科学技術会議、文部科学省などの政策決定に資する基礎データを提供する。
2. 研究計画の概要
科学技術専門家ネットワークを利用した科学技術情報の収集、キーパーソンへのインタビュー、所内講演による科学技術情報の収集・分析、及び国内外の学会、研究会、シンポジウム等への参画を通じて、広い視点からの動向調査を行う。調査結果は科学技術動向月報へのレポート(特集原稿の執筆)を中心に、調査資料、ディスカッションペーパー等を行政サイドで利用しやすい形に取りまとめ、提供する。
3. 進捗状況
(1) 専門家へのインタビューや現地調査として、東大、京大、阪大、東工大、産総研、日立、NEC研究所、STARCなど多数訪問し、最新情報を収集した。また、ECOC'04 (European Conference on Optical Communication)、PerCom'05 (Third IEEE International Conference on Pervasive Computing and Communications)、CeBIT'05 (Hanover Messe) などの国際会議や国内の数多くのシンポジウムや研究会に出席し、研究開発動向を把握した。
(2) 注目すべき領域の動向について、国内外の専門家による所内講演会を開催した。講演会で得られた情報や知見は、講演録としてまとめ広く情報提供するとともに基礎資料として活用した。今年度に開催した講演会は、8件(うち、科学技術全般に関わる1件は研究課題 1に掲載)である。
- 新事業構築と産学連携(講師:三菱電機 久間和生氏)(2004 年 4 月)
- ソフトウェア工学で流行する「日本型」生産法」 (講師:神戸大学工学部 林晋教授)(2004 年 6 月)
- 研究者コミュニティのネットワーク分析法と科学技術政策への応用(講師:東京大学先端科学技術センター教授 馬場靖憲氏)(2004 年 7 月)
- "Analysis of the State of Standardization Education and its Impact on Japan" (講師:Sun Co. John Hill氏)(2004 年 9 月)
- 地中レーダによる人道的地雷検知技術開発と波及効果(講師:東北大学東北アジア研究センター 佐藤源之教授)(2004 年 12 月)
- 「"光とバイオ"のグローバル戦略」(講師:北海道大学電子科学研究所 田村守教授)(2005 年 3 月)
- DNA 解析技術の進歩と今後の発展」(講師:(株)日立製作所 フェロー 神原秀記氏) (2005 年 3 月)
(3) 調査結果は、「科学技術動向」(月報) の特集、およびトピックスとして取りまとめた。
特集 (12 テーマ)
- 2004 年 4 月号 「計算機科学の研究動向と日本の課題」 (藤井)
- 2004 年 5 月号 「半導体微細加工装置技術の最新動向」 (立野)
- 2004 年 5 月号 「"知的コンピューティング"に向けた研究動向」 (亘理)
- 2004 年 6 月号 「情報処理教育カリキュラムの動向と課題」 (藤井)
- 2004 年 8 月号 「平面ディスプレイ技術の研究開発動向」 (小松)
- 2004 年 9 月号 「二つの合理性と日本のソフトウエア工学」 (林)
- 2004 年 10 月号 「個人に着目した健康増進活動を支援する情報システム」 (刀川)
- 2004 年 11 月号 「周波数共用をめぐる技術と政策の動向」 (山田、藤井)
- 2004 年 12 月号 「光通信技術と産業の動向と今後の進め方への提言」 (立野)
- 2005 年 1 月号 「エレクトロニクスへのナノテクノロジーの応用」 (小松、小笠原)
- 2005 年 2 月号 「米国政府の高性能コンピューティングへの取り組み」 (野村)
- 2005 年 3 月号 「LSI設計技術の研究開発動向」 (小松、野村)
トピックス (14 報)
- 2004 年 4 月号 「窒化ガリウムを用いた高電子移動度トランジスタにて30W/mmの高出力を達成」 (小松)
- 2004 年 4 月号 「セキュリティを考慮したプログラミング言語C#のJIS原案策定」 (藤井)
- 2004 年 5 月号 「2003年度のチューリング賞アラン・ケイ氏に授与、コンピュータ利用の拡大に貢献」 (藤井)
- 2004 年 6 月号 「対角40インチの有機ELディスプレイが開発される」 (小松)
- 2004 年 6 月号 「生活習慣病発症リスクの個人別予測システムの開発」 (刀川)
- 2004 年 7 月号 「情報漏洩事件多発とその対策」 (亘理)
- 2004 年 8 月号 「スーパーコンピュータの開発競争と新ベンチマーク設定の動き」 (野村)
- 2004 年 8 月号 「活発化する情報バリアフリーをめぐる活動」 (山田)
- 2004 年 9 月号 「センサーネットワークの実用化推進の動き」 (野村)
- 2004 年 10 月号 「半導体微細化の主役に躍り出る不揮発性メモリ」 (小松)
- 2004 年 12 月号 「新安全技術の追求: 車車間通信の動き」 (野村)
- 2005 年 1 月号 「個人関連情報の分類に関する提案」 (刀川)
- 2005 年 2 月号 「HPCCベンチマークで東北大学情報シナジーセンターが世界最高の評価を受けた」 (藤井)
- 2005 年 3 月号 「日本技術者教育認定機構が国際認定機構に正式に加盟する見通し」 (藤井)
4. 特記事項 (学会など所外研究活動)
○国内
- 立野公男:
- 応用物理学会、日本光学会、幹事(2003.4-)
- K. Tatsuno:
- "Optical Review", Editorial Board Member.(2002.4-)
- 立野公男:
- 光設計研究グループ(応用物理学会) 運営委員(2003.4-)
- 立野公男:
- 電子情報通信学会 集積光デバイス研究会委員(2002.4-)
- K. Tatsuno:
- ICO'04, Tokyo, Steering Chair. (2002.3-)
- 藤井博章:
- 研究・技術計画学会業務理事(2005.1-)
○海外
- K. Tatsuno:
- IEEE/LEOS Program Committee Member. (2002.3-)
5. 論文公表等の研究活動
- 立野公男:
- 名古屋大学にて「産学連携セミナー」特別招待講演。 2004.7.27
- 立野公男:
- 研究・技術計画学会発表: 「日本の産学連携強化への提言」 2004.10.16
- 立野公男:
- 応用物理学会春期大会にてシンポジウム;「光技術と技術経営」を企画。招待講演、座長、パネリスト。 2005.3.30
- 日経産業新聞 2005 年 1 月 5 日 (朝刊)
- K. Tatsuno et al:
「Ubiquitus e-Japan」Seminar at ACREO & Proximion (Stockholm, Sweden) 2004.9.9- K. Tatsuno et al:
「IT strategy in e-Japan」, Seminar at Hitachi Sophia Antipolis ( France) 2004. 9.13- K. Tatsuno et al:
「Ubiquitus e-Japan」 Seminar at INRIA (France) 2004.9.14- 野村 稔:
- 「米国政府の高性能コンピューティングへの取り組み」 未踏科学技術: '05.3 No. 403
- 小松裕司:
- 「ロボット技術の研究開発における産学連携の課題と対策」 研究・技術計画学会 2004 年 10 月 16 日
- 小松裕司:
- 「ロボット技術の研究開発動向」技術と経済 2004 年 6 月 日経産業新聞 2004 年 11 月 4 日(木) 朝刊
- 小松裕司:
- 「平面ディスプレをめぐる産業および研究開発の動向」月刊オプトロニクス 2005 年 2 月
- 藤井章博:
- 「情報処理教育カリキュラムの動向と課題」研究・技術計画学会 平成 16 年 10 月 15 日
- 伊藤信太郎、合原勝之、藤井章博:
「オブジェクト指向に基づく身体表現芸術のモデル化」、東北福祉大学感性福祉研究所平成 16 年度年報- 藤井章博共訳「イノベーションの経営学」、著者ジョーティッド、監訳者後藤晃 (東大教授) NTT 出版、平成 16 年 10 月 31 日発行
研究課題 4
環境・エネルギー分野の基盤的な動向に関する調査研究
1. 調査研究の目的
第 2 期科学技術基本計画で重要分野の一つに選ばれている環境エネルギー分野について、基盤となる科学技術の研究開発動向を調査し、総合科学技術会議、文部科学省などの政策決定への基礎データを提供する。
2. 研究計画の概要
科学技術専門家ネットワークを利用した科学技術情報の収集、キーパーソンへのインタビュー、所内講演による科学技術情報の収集・分析、そして、国内外の学会、研究会、シンポジウム等を通じて、広い視点からの動向調査を行う。調査結果は科学技術動向月報へのレポート(特集原稿の執筆)を中心に、調査資料、ディスカッションペーパー等を行政サイドで利用しやすい形に取りまとめ、提供する。
3. 進捗状況
(1) 専門家へのインタビューや現地調査として、大学、関連企業、つくばの各研究所などを訪問し、最新情報を収集した。また、国際会議や国内の数多くのシンポジウムや研究会に出席し、研究開発動向を把握した。
(2) 環境・エネルギーに関する動向はもちろんのこと、科学技術に関する注目すべき動向について、6名の国内の専門家を招いて講演会を実施した。講演会で得られた情報や知見は、講演録としてまとめ広く情報提供するとともに、調査基礎資料として活用した。今年度に開催した環境・エネルギー分野に関わる講演会は、6件である(うち、科学技術全般に関わる3件は研究課題 1に掲載)。
- 日本のエネルギー環境産業技術の基盤と開発の動向(九州大学産学連携センター特任教授 持田勲氏)(2004 年 9 月)
- バイオマス液体燃料の世界動向と日本の将来像-新環境エネルギー産業創造という観点からの戦略的アプローチ-(三菱商事株式会社 機械新規事業開発ユニット新エネルギー担当マネージャー 澤一誠氏)(2005 年 3 月)
- どのような豊かさを求めるか-環境破壊と文明の崩壊を視点にして(拓殖大学国際コミュニケーション学部教授 北野大氏)(2005 年 3 月)
(3) 調査結果は、「科学技術動向」(月報) の特集、およびトピックスとして取りまとめた。
○特集 (6 テーマ)
- 2004 年 6 月号:世界をリードする日本型ゼロエミッション・システムの動向 - 素材型産業を中核とする循環の形成 - (大迫客員研究官・吉川客員研究官、浦島)
- 2004 年 7 月号:エネルギー・環境分野における日中技術協力動向と今後の展望(大平)
- 2004 年 10 月号: オゾン層の現状とオゾン層研究(中根客員研究官)
- 2004 年 11 月号: 石炭利用・クリーン化技術の最新動向と今後の展望-クリーンコールテクノロジーに注目して-(大平)
- 2004 年 12 月号: 米国における大気中微小粒子・ナノ粒子の健康影響に関する研究戦略 - 我が国との比較 (新田客員研究官/浦島)
- 2005 年 3 月号:消防防災に関する科学技術動向(松原客員研究官/浦島)
○トピックス(18報)
- 2004 年 4 月 [1] 自ら電気エネルギーを生み出す小型発電デバイスの開発動向
- 2004 年 5 月 [1] 固体高分子型燃料電池電解質膜の新たな開発動向
- 2004 年 6 月
- [1] 蚕やクモは大気中の二酸化炭素を糸に取り込むことが実証される
- [2] 分散電源ネットワークシステム実証試験への取り組み
- 2004 年 7 月 [1] 超臨界流体を用いるバイオディーゼル燃料合成技術開発の動向
- 2004 年 8 月 [1] 米国におけるクリーンコール発電技術開発の動向
- 2004 年 9 月
- [1] 世界における大気汚染物質による健康影響研究の動向
- [2] 太陽熱を利用した新しい高効率タービン発電システム基礎技術を開発
- 2004 年10 月
- [1] 難燃剤の人体への影響研究の動向
- [2] 欧米の潮流タービン発電技術開発の動向
- 2004 年11 月
- [1] 環境、エネルギー分野で進む微生物利用研究
- [2] 豪州、米国における地熱発電技術開発の動向
- 2004 年12 月 [1] 日米欧における風力発電への取り組み動向
- 2005 年 1 月
- [1] 新ディーゼルNOx低減システム実用化に向けた尿素水溶液の規格化の動き
- [2] 廃熱発電を利用した排ガス浄化基礎技術の開発
- 2005 年 2 月 [1] 気候変動研究の戦略的計画推進
- 2005 年 3 月
- [1] 中部国際空港における海域生物環境を配慮した取り組み
- [2] ドイツ、米国における太陽光発電導入の動向
4. 特記事項 (学会など所外研究活動)
○招待講演 (海外)
- 浦島、第 4 回非熱プラズマによる汚染コントロールと持続可能なエネルギーのための国際シンポジウム (アメリカ)
○非常勤講師
- 浦島、同志社大学 (2004 年 9 月-2005 年 3 月)
○他機関との連携
- 浦島、福井県エネルギー研究開発拠点化計画策定ワーキンググループ委員 (2004 年 4 月- 2005 年 3 月)
- 浦島、第 7 回微粒子光学計測国際会議 (OPC2004) 実行委員 (2003 年 10 月- 2004 年 8 月)
○学会活動など
- 浦島、電気学会編修専門第4部会委員(2004 年 4 月-)
- 浦島、静電気学会会誌編集委員(2004 年 4 月-)
5. 論文公表等の研究活動
なし
研究課題 5
ナノテクノロジー・材料分野及び製造技術分野の基盤的な動向に関する調査研究
1. 調査研究の目的
第 2 期科学技術基本計画において、重点4分野の一つに選ばれているナノテクノロジー・材料分野、および準重点 4 分野の一つに選ばれている製造技術分野について、それらの基盤となる科学技術の研究開発動向を調査し、総合科学技術会議、文部科学省等の政策決定者あるいは施策決定者への参考データを提供する。
2. 研究計画の概要
総合科学技術会議の重点分野 (ナノテク・材料、製造技術) 推進戦略に掲げられた重点領域・項目を中心にテーマを選定し、専門家ネットワークによる情報収集、キーパーソンとなる研究者へのインタビュー、指導的立場にある研究者等の講演会聴講などにより調査分析を行ない、「科学技術動向」等を通じて情報発信を行なう。
3. 進捗状況
○特定テーマの動向分析
「科学技術動向」に、ナノテク・材料、製造技術についての、注目すべき新しい動きをトピックスとして毎月掲載するとともに、以下の2テーマについては、さらに詳しい調査・分析を特集記事として取り上げた。
- 2004 年 6 月号「構造物保全技術とリスクベースメンテナンス (RBM)」(木原重光 客員研究官)
- 2004 年 9 月号「材料データベースの課題と将来展望 -世界で使われる材料データベースを目指して-」 (八木晃一 客員研究官)
○講演会の開催
注目すべき話題について専門家による講演会を開催した。講演会における議論は講演録として記録し、配布した。
- 革新的なナノテクノロジー研究を日本の将来に活かすために(講師:高知工科大学総合研究所教授 安田幸夫氏、東京大学生産技術研究所教授 榊裕之氏、㈱半導体先端テクノロジーズ社長 森野明彦氏)(2004 年 6 月)
○専門家へのインタビュー等による情報収集
専門家へのインタビュー等を行ない、基本になる考え方や最新の研究情報を収集した。また、ナノテクノジー・材料関連の主要な学会、各種シンポジウムに参加し、全体動向を把握した。得られた情報や知見は「科学技術動向」の記事作成等に活用した。
4. 特記事項
今年度、科学技術動向研究センターは、基本計画レビュー調査、予測調査、基幹技術調査、企業特許調査等をユニット横断の形で実施したが、特にそのなかで、ナノテク・材料および製造技術分野を中心に担当した。
5. 論文公表等の研究活動
- 2004 年 7 月 16 日 (社)電子情報技術産業協会(JEITA)極限CMOSデバイス技術専門委員会にて講演 「国内外のデバイス関連プロジェクトの動向」(奥和田上席研究官)
- 2004 年 10 月 16 日 研究・技術計画学会第 19 回年次学術大会にて口頭発表 「シナリオ作成を中心とする科学技術領域の将来的探索手法」(奥和田上席研究官)
- 2005 年 1 月 31 日 内閣府第 5 回ナノテクノロジー構想検討会にて情報提供 「欧米のナノテクノロジー政策について」(奥和田上席研究官)
- 2005 年 3 月 15 日 (社)電子情報技術産業協会(JEITA)半導体技術委員会半導体ナノテクWGにて講演 「ナノエレクトロニクスを取り巻く世界の状況およびナノテクノロジー・材料分野の予算状況」(奥和田上席研究官)
研究課題 6
社会基盤・フロンティア分野の基盤的な動向に関する調査研究
1. 調査研究の目的
社会基盤、フロンティア分野は第 2 期科学技術基本計画において、国の存立にとって基盤であり、国として取り組むことが不可欠な領域を重視して研究開発を推進するとされた分野である。
そこで、総合科学技術会議、文部科学省等に対して政策検討に必要な基礎データを積極的に提供することを目的に、本分野の基盤となる技術の研究開発動向を調査分析する。
2. 調査研究の概要
社会基盤分野とフロンティア分野については、科学技術基本計画の重点戦略で重視されている「安全」に関連した領域を中心に、キーパーソンとなる研究者へのインタビュー、指導的立場にある研究者等の講演会などを通じて調査分析を行う。
3. 進捗状況
(1) 専門家へのインタビューや現地調査として、大学、関連企業、独立行政法人等の研究所などを訪問し、最新情報を収集した。また、国際会議や国内の数多くのシンポジウムやセミナーに出席し、科学技術動向を把握した。
(2) 科学技術に関する注目すべき動向について、専門家による講演会を開催した。講演会で得られた情報や知見は、講演録としてとりまとめ、広く情報提供するとともに基礎資料として活用した。
- 8 月 4 日「国家戦略としての準天頂衛星の有効性」衛星測位システム協議会西口浩事務局長
(3) 調査結果は、「科学技術動向」(月報) の特集およびトピックスとして取りまとめた。
○特集 (4 テーマ)
- 2004 年 7 月号:急速に発展する中国の宇宙開発 (辻野)
- 2004 年 8 月号:実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)について(菅沼)
- 2004 年 10 月号:宇宙環境観測・変動監視の研究動向(辻野)
- 2005 年 1 月号:ユビキタス測位における準天頂衛星の有効性(辻野)
○トピックス (13 報)
- 2004 年 4 月 宇宙デブリ観測施設が稼動
- 2004 年 5 月 宇宙・原子力分野で中国との協力強化を図るEU
- 2004 年 6 月 地球惑星科学関連学会合同大会が開催される - 宇宙生存圏科学を提唱 -
- 2004 年 7 月 エルニーニョ発生の予測可能性を148年間の海面水温データにより検証
- 2004 年 8 月 燃料電池電車の研究が進行中
- 〃 フランスが電磁場観測衛星を打上げ
- 2004 年 9 月 彗星探査機スターダストが明らかにした彗星の多様性
- 2004 年10 月 重力場観測衛星GRACEによる水の広域移動観測
- 2004 年11 月 成層圏観測や微小重力実験を目指す北海道NPOのハイブリッドロケット
- 2004 年12 月 日欧共同水星探査計画の搭載観測機器が選定され次のステップへ
- 2005 年 1 月 欧州宇宙機関が電気推進で月探査機の軌道投入に成功
- 2005 年 2 月 米国で商業的有人宇宙旅行を促進する法律が成立
- 2005 年 3 月 地球深部探査船「ちきゅう」の公式試運転開始と統合国際深海掘削計画の動向
4. 特記事項
なし
5. 論文公表等の研究活動
- [1] 伊神正貫、阪彩香、桑原輝隆 「論文データベースによる研究領域の俯瞰的探索」 研究・技術計画学会 第 19 回年次学術大会講演要旨集, pp.433-436, 2004
- [2] 桑原輝隆、阪彩香 「我が国の論文生産に見る地域構造の分析」 研究・技術計画学会 第 19 回年次学術大会講演要旨集, pp.441-444, 2004
(7) 情報分析課
研究課題 1
平成 16 年版科学技術指標 - データ集 - に関する調査研究
1. 調査研究の目的
科学技術に関する基礎的データを継続的に収集する重要さに鑑み、2004 年 4 月に発行された「科学技術指標 -日本の科学技術の体系的分析-」を基に、平成16年度内に更新される基礎データを収集・加工し、最新の科学技術指標データ集を作成し、我が国および諸外国における研究開発動向のタイムリーな把握に資することを目的とする。
2. 研究計画の概要
これまでの政策研機関評価においても科学技術指標作成の重要性が論じられているところである (「科学技術に関する基礎的データを継続的収集 (平成 10 年度)」、「定点的観測調査研究の成果物を通じ世界にアピールする (平成 14 年度)」)。当研究所において科学技術指標の構成の見直しはほぼ 3 年ごとに実施することとしているが多くの科学技術に関する基礎的データが毎年更新されること、また日本及び日本を取り巻く国々における社会・経済およびこれらと密接な関係を持つ科学技術の変化の速さを鑑み、タイムリーな収集による共有基礎データベース構築の意義・役割は非常に重要となってきている。毎年次のデータ収集・更新による基礎データ更新は当研究所における政策研究者にとっても非常に有用かつ重要な課題である。平成 16 年度においては、更新データ集作成のための情報収集等の調査研究を行うとともに、「定常科学技術指標チーム」を継続的に所内に設置しデータ収集手順・方法等について検討を行う。平成 16 年度末までに収集データを整理・加工し、平成17年度第1四半期までにデータ集を発行する。
3. 進捗状況
平成 16 年度末までにデータ源とデータ更新状況の調査、更新データの収集、整理・加工を完了した。
4. 特記事項
特になし。
5. 論文公表等の研究活動
調査資料-117「平成 16 年版科学技術指標 - データ集- 2005 年改訂版」として公表予定。