3. 国際会議
(1) 「基本計画レビュー調査」国際ワークショップ
〜統合的科学技術政策による効果のベンチマークに向けて〜
- 会議名称
- : 「基本計画レビュー調査」国際ワークショップ
〜統合的科学技術政策による効果のベンチマークに向けて〜 - 開催期間
- : 2004 年 9 月 13 日 (月)、14 日 (火)
- 会場
- : 三菱ビル 9F 会議室、文部科学省ビル10F会議室
1. 開催目的
国内外の科学技術政策研究・評価関係の主な専門家・有識者を発表者及びコメンテーターとして招聘し、「基本計画レビュー調査」の主要成果につき、調査主体たる当研究所及び関係シンクタンク等からのプレゼンテーションを行うとともに、海外の関連事例・比較分析結果等を参照しつつ、本件調査分析の主な結果につき国際的視点からのクロスチェック・確認を行った。更に、これら専門家・有識者との討議を通じ、今後の我が国における関連政策展開への本件調査結果のインプリケーション、次期科学技術基本計画の策定プロセスにおける調査結果の活用のあり方につき検討・認識を深めることを目的として開催した。
2. 会議の概要
第 1 日目の冒頭全体セッションでは、次期基本計画策定に向けた主要課題や初年度の基本計画レビュー調査の主要成果が紹介され、これに対する見解が述べられた。続いて 2 つの個別セッションが同時並行で開かれ、セッション1「インプット (予算) ・R&Dアウトプット (論文・特許) 分析」では、日・米・欧各々における予算・アウトプットの推移及びその比較分析について、専門的討議が行われた。セッション 2「主要政策領域 (科学技術人材 / 産学官連携・地域イノベーション) の達成効果及び課題」では、科学技術人材育成への取組み、産学官連携・地域イノベーション関連施策・プログラムの展開状況、達成効果及び将来課題について、踏み込んだ討議がなされた。
第 2 日目の個別セッション 3「各国政策のベンチマーク分析・インパクト評価」では、基本計画レビュー調査での各国主要施策の横断的分析の紹介に続き、米・欧・アジア各国の最近の政策展開及び諸課題に関する分析結果が述べられ、中長期計画に基づく科学技術・イノベーション政策の展開とその諸課題等について、広範な視点からの討議が行われた。締め括り全体セッションでは、各セッションにおける討議概要の報告を受け、次期基本計画策定に向けた示唆が述べられ、国際的視野に立った議論がなされた。
参加者数は、2 日間を通じ、99 名であった。
[国内外招聘者]
- Dr. Pyengmu D. Bark
- 韓国科学技術評価・計画院国家科学技術計画・評価局長
- Dr. William Blanpied
- 米ジョージメイソン大学客員上級研究員
(米 NSF 前東京事務所長、NISTEP 国際客員研究官) - Prof. Steven Collins
- 米ワシントン大ボセル校助教授
- Prof. Luke Georghiou
- 英マンチェスター大学人文学部研究担当副学部長
兼工学・科学技術政策研究所理事 (NISTEP 国際客員研究官) - Dr. Gerald Hane
- Globalvation 代表 (元 OSTP 国際局長代理)
- Prof. Diana Hicks
- 米ジョージア工科大学公共政策学科教授・学科長
- Prof. Christopher Hill
- 米ジョージメイソン大学研究担当副学長代理 (TPI 理事)
- Dr. Stefan Kuhlmann
- 独フラウンホーファ協会システム・イノベーション研究所
(FhG/ISI) 副所長 - Mr. Kei Koizumi
- 米 AAAS・R&D予算・政策プログラム課長
- Dr. Rongping Mu
- 中国科学院科技政策・管理科学研究所長
- Dr. Ugur Muldur
- EU 研究総局A局インパクト分析課長
- Mr. Patrick Windham
- 米スタンフォード大学講師 (TPI 理事)
- 石田 寛人
- 科学技術振興機構R&D戦略センター首席フェロー (金沢学院大学長)
- 後藤 晃
- 東京大学先端科学技術研究センター教授
(基本計画レビュー調査推進委員会委員長) - 榊 裕之
- 東京大学生産技術研究所教授
- 角南 篤
- 政策研究大学院大学助教授
- 丹羽 冨士雄
- 政策研究大学院大学教授
- 林 隆之
- 大学評価・学位授与機構 評価研究部評価システム開発部門助手
- 原山 優子
- 東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻教授
3.会議の成果
我が国の科学技術基本計画の下で実施された公的施策・プログラムの進捗・達成効果について、海外主要国の施策展開との比較分析の観点から有意義な発表・討論が行われた。特に、各政策領域にわたる世界の主要な「ベスト・プラクティス」の紹介に留まらず、各々の経済・社会システム及び文化的側面の差異も視野に入れ、各国の関連する取組みの問題点や教訓を他国の政策策定プロセスにインプリケーションとしてどう活かしていくか、という面からも、大いに参考とすべき情報、見解が得られた。
(2) サイエンスコミュニケーションのひろがり - 縫い目のない文化を実現するために -
- 開催時期
- : 2005 年 2 月 7 日
- 会場
- : コクヨホール
1. 開催目的
社会において科学技術の果たすべき役割が増大する中、サイエンスコミュニケーションの活性化を通して、人々の科学技術理解をいかにして増進させていくべきか、諸外国においても重要な政策課題となっている。そこで英米韓そして日本の優れたサイエンスコミュニケーターを招聘し、その方策を議論するとともに、文系と理系、サイエンスとアートといった文化間の溝を埋めて、縫い目のない文化(シームレス・カルチャー)を実現することにより理科離れを解消できないか議論する。
2. 会議の概要
コロキアムは、2 つの基調講演と 3 つのセッション、さらにオプショナルセッションから構成された。各セッションにおいて、日英米韓のサイエンスコミュニケーターの講演、討議を行った。
- Aubrey Manning(University of Edinburgh,UK)
「好奇と歓喜 - 科学は文化の一部となる -」
- Lynn Margulis(University of Massachusetts-Amherst)
「知の方法としての科学 - 生きている砂『放散虫』と進化の叙事詩 -」
- Steven Miller(Department of Science and Technology Studies University College London, UK)
「ヨーロッパのサイエンスコミュニケーション - 2つの文化問題を超えて -」 - Sook-kyoung Cho(Korea Science Foundation)
「韓国における科学技術公衆理解 - 韓国科学財団の取り組みを中心に -」
- Ilan Chabay(President, The New Curiosity Shop)
「子どものカルチャーに科学を持ち込む-熱中できるロールプレイングコンピューターゲームを窓口に」 - 渡辺政隆(科学技術政策研究所)
「おしゃれな科学」 - 木村政司(日本大学藝術学部)
「アート+サイエンス=カルチャー」
- 高柳雄一(電気通信大学)
3. 会議の成果
コロキアム当日は科学技術コミュニケーション関係者、科学技術者、科学館関係者、教職員、学生 (科学コミュニケーション関係、美術系)、アーティスト、マスメディア (新聞、出版)、科学・教育行政関係者等約220名の多様な参加者があった。
終了後に回収したアンケートでは、9 割近くの参加者から好意的な感想が得られた。特に、科学技術を分かりやすく説明すること、シームレスカルチャー実現の必要性に関しては、理解と賛同を得られた。また、昼間の多様な講演の後に開かれたオプショナルセッション「科学茶房」では、話をしやすいような空間の演出で、講演者と参加者、あるいは参加者同士の積極的なコミュニケーションを交わすことができ好評であった。
今回のコロキアムは、サイエンスとアートあるいはおしゃれな科学など、今までとは違った角度から科学を取り上げることにより、科学に関心を持つための新たな入り口にならないかと提案した試みであった。今後は、今回の試みだけで終わらずに、科学の枠組みにとらわれない様々な形の科学技術理解増進活動を推進していくことが望まれる。