我が国においては、平成 8 年に第 1 期科学技術基本計画が策定されて以来、研究開発投資は順調に伸び第 1 期科学技術基本計画中の政府研究開発投資 17 兆円の目標を達成するとともに、研究開発システムの改革も進むなど、科学技術政策は大きく変化してきています。しかし、これまで本格的なフォローアップ (追跡調査) は行われていないのが現状です。次期科学技術基本計画の検討や 4 年目に入った第 2 期科学技術基本計画を着実に実施していくためには、これまでの成果、達成効果、問題点などを体系的に分析・評価することが必要不可欠です。また、国民への科学技術分野の公的投資拡大に対するアカウンタビリティー(説明責任)の観点からも科学技術基本計画の評価は重要です。
このため、当研究所においては、平成 15 年度より 2 年間、科学技術振興調整費により、第 1 期及び第 2 期科学技術基本計画の達成状況・達成効果の評価のための調査を行うこととなりました。この調査においては、海外との比較分析をしつつ、これまでの研究開発投資の実態や投資の有効性を検証するとともに、研究開発システム改革の定着状況、効果等を評価し、さらに、これらの問題点や経済社会等に与えた影響を明らかにすることを目標としています。その概要は以下の図のとおりです。
調査の成果は、NISTEP REPORT No. 83 〜 92 及び 99 にまとめていますので、ご覧ください。
この調査は、当研究所が中核機関となり、株式会社三菱総合研究所及び株式会社日本総合研究所と共同してコンソーシアム(連合体)を形成し、学識経験者からなる「基本計画レビュー調査推進委員会」の指導の下で調査を実施します。
◎ | 後藤 晃 | 東京大学先端経済工学研究センター長 |
亀岡 秋男 | 北陸先端科学技術大学院大学副学長 | |
小林 賢次郎 | 日本政策投資銀行新規事業部長 | |
齊藤 忠夫 | 株式会社トヨタ IT 開発センター専務取締役 | |
榊 裕之 | 東京大学生産技術研究所教授 | |
榊原 清則 | 慶應義塾大学総合政策学部教授 | |
清水 勇 | 財団法人理工学振興会専務理事 | |
丹羽 冨士雄 | 政策研究大学院大学教授 |
基本計画が策定される前の 5 年間(平成 3 〜 7 年度)、第 1 期基本計画期間(平成 8 〜 12 年度)及び第 2 期基本計画期間(平成 13 年度以降)における政府予算のうちの科学技術関係経費の総額及び内訳について調査・分析をする。
基本計画において定量目標の明示された施策及び定量的な判断が可能な内容を含む施策について具体的な指標を指定し、数値データ及び情報を収集・整理する。
基本計画に基づき実施された科学技術関係人材育成関連プログラム全般に関する基礎情報を収集・整理するとともに、詳細調査対象として選定された施策領域に関し、実施されたプログラムの影響を受けた関係者のこれらプログラムに対する見解等について調査する。
基本計画に基づき実施された産学官連携・地域イノベーション振興関連施策全般に関する基礎情報を収集・整理するとともに、関連施策に関し、それらの影響を受けた関係者のこれら施策に対する見解等について調査する。
本調査は、論文や特許といった科学技術研究のアウトプットを分析し、基本計画のもとでの研究開発活動を統計的かつ体系的に把握するとともに、基本計画が日本の研究開発システムに与えた影響を明らかにする。
経済・社会・国民生活に大きなインパクトを与えた技術課題を抽出し、それらの技術課題における公的投資の位置付けを明らかにすることにより、これら技術の研究開発、インパクトの実現の過程における公的投資の有効性を検証する。
世界的に注目される日本の研究に関する成果や国内公的研究機関等の代表的成果について、論文データベース等による定量的分析、海外の優れた研究者への聞き取り調査等を行い、我が国の研究レベルやポジションを多面的に把握する。
政府研究開発投資の拡充・重点化関連施策、科学技術関係人材育成関連施策及び産学官連携・地域イノベーション振興関連施策を中心に主要国の科学技術施策の動向について調査し、国際比較分析を行うとともに、これまで実施した国際施策に関する調査結果に関する海外専門家の見解について調査する。