1. はじめに
中央省庁再編により新しい科学技術行政体制が発足してから1年余りが経ちました。2001年4月には今後の5年間をカバーする第2期科学技術基本計画がスタートし、国立試験研究所から衣替えした多くの独立行政法人も5年後の目標達成に向けた中期計画を掲げて新しい活動が始まり、これを機に国全体として新しい5ヵ年のサイクルが確立したことになります。科学技術政策研究所の成果を最大限行政に反映させるためには、当研究所の活動をこの新しいサイクルに同期したものとする必要があると考え、同じ5ヵ年をカバーする中期計画を策定しました。この中期計画においては、今後10年程度のうちに世界一級の中核的研究機関となることを目指し、俯瞰的・長期的見地から科学技術政策研究を推進することにより、国の科学技術政策の企画・立案を先導することを目標としております。
2001年度においては、中期計画の初年度の活動として地域科学技術、技術予測、国民の意識等に関する調査結果を取りまとめるとともに、2001年1月に発足した科学技術動向研究センターの活動も本格化し、毎月科学技術の最新の動向を紹介するための月報を発刊する等活発な情報発信を行いました。また、調査研究能力の強化のために、優秀な人材を採用するとともに、科学研究費補助金申請機関の指定、日本育英会学資金返還免除機関の指定を取得しました。
調査研究成果の発表については、技術発展の長期的展望を把握することを目的とした「第7回技術予測調査」、地方公共団体における科学技術振興施策を体系的に把握するとともに、科学技術関係経費の分析を行った「地域における科学技術振興に関する調査研究(第5回調査)」、一般国民の科学技術に対する関心度、理解度等の意識調査結果をとりまとめた「科学技術に関する意識調査 - 2001年2 〜 3月調査 - 」、ゲノム応用時代の技術と法について検討した「遺伝子科学技術の展開と法的諸問題」、総務省の行う「科学技術研究調査」の見直し要望に関する調査研究の成果を取りまとめた「『科学技術研究調査』の見直しについて」、1997年に発表したNISTEP REPORT「地域科学技術指標策定に関する調査」を進展させた「地域科学技術指標に関する調査研究」、「海外科学技術政策研究機関ハンドブック」、「日本の技術輸出の実態(平成11年度)」等をとりまとめ、公表しました。また、2002年2月には「21世紀における科学技術システムの再構築と科学技術政策の新しい役割」をテーマに国際シンポジウムを開催し、日米欧他の専門家がそれぞれの調査研究成果を基に現状と課題について発表・討論を行いました。
本報告は、調査研究を中心とした2001年度における当研究所の活動概要を取りまとめたものであります。科学技術政策研究分野の中核的研究機関を目指す当研究所に対する皆様の一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。
文部科学省
科学技術政策研究所
所長 間宮 馨