科学技術イノベーション政策における重要施策データベースの構築[NISTEP NOTE No.8]中の通史・概説

3.科学技術システム改革

3.2 産学官連携、技術移転、研究成果の事業化

産学協同という用語は、既に昭和33年版白書(初代白書)において登場するが、分析の対象としての記述にとどまっており、政策としての「産学連携」が白書に取り上げられるのは昭和58年版白書からである(但し、国立大学における受託研究員制度は、昭和42年版白書において既に記載されている)。昭和58年度には、国立大学等における民間等との共同研究制度が開始された。

技術移転については、新事業開発事業団(現在のJST)の取組が先行した。発足当初より、大学、国立試験研究機関等の優れた試験研究の成果を発掘し、このうち企業化が著しく困難な新技術について、企業に開発を委託する委託開発制度を設け、新技術の企業化を図った。また、大学、国・公立試験研究機関等の試験研究成果を調査・収集し、これを企業にあっせんして技術移転を進めた。

昭和60年度の臨時行政改革推進審議会は、答申の中で、産学官の共同研究の促進について述べた。その後、研究交流促進法の制定(昭和61年度)、国立大学における共同研究センターの設置開始(昭和62年度)などの取組が相次いで実施された。

第1期科学技術基本計画以降は、産学官連携に関する施策が、次々に実施されてきている。制度面では、人事面、税制面での措置がなされるとともに、産学連携による研究開発のための制度が多く誕生した。例えば、国立大学教員の兼業規制の段階的な緩和、通称TLO法の制定(平成10年度)、いわゆる日本版バイドール条項の施行、中小企業技術革新制度(SBIR)の開始などである。

平成13年度からは、産学官連携サミットのように、関係者による幅広い議論の機会もつくられるようになった。また、国立大学等の個々においても、産学連携ポリシーや利益相反ポリシーなど関連規定の整備が進んできた。