科学技術イノベーション政策における重要施策データベースの構築[NISTEP NOTE No.8]中の通史・概説

2.重点研究開発の推進

2.3 情報通信・電子

本項目では、第2期、第3期科学技術基本計画において「情報通信」として位置づけられた技術領域(ネットワーク、コンピューティング、デバイス、ソフトウェア等)について記載する。

昭和33年に科学技術庁に電子技術に関する重要事項を審議する電子技術審議会(後に航空・電子等技術審議会)が置かれ、電子技術が科学技術政策において注目されていた。その後、昭和40年代には、情報・電子分野の研究が、通商産業省の国立試験研究機関において行われており、超高性能電子計算機の開発研究、新型トランジスタの発明等が実施されていた。

情報・電子技術として、科学技術政策の中で明示的に位置づけられるのは、昭和57~60年度頃である。科学技術庁長官の諮問機関である航空・電子等技術審議会は、昭和57年3月に諮問第3号「先端的技術分野に必要な電子技術の向上のための方策等について」の答申を行った。さらに、科学技術会議は、昭和59年11月に、諮問第11号「新たな情勢変化に対応し、長期的展望に立った科学技術振興の総合的基本方策について」に対する答申において情報・電子技術を新たな発展が期待される基礎的・先導的科学技術の一分野として位置づけ、その重要性を指摘した。

これらの動向を受け、昭和60年版白書では、「情報・電子技術の振興」という項目において、マイクロエレクトロニクス、オプトエレクトロニクス、バイオエレクトロニクス、情報処理関連ソフト技術、レーザーの5項目について述べている。

情報通信分野については、その後も相次いで、戦略文書が発行されている。

第2期科学技術基本計画は、いわゆる重点4分野の一つとして、情報通信分野を位置づけている。

さらに、平成13年1月には、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)が施行され、科学技術政策の範囲にとどまらない国家の基本戦略として、「e-Japan戦略」が策定された。

情報通信技術の進化とともに、白書に取り上げられる技術概念も変化している。例えば、平成19年版白書には、「セキュリティ技術」、「ユビキタス技術」が登場した。