科学技術イノベーション政策における重要施策データベースの構築[NISTEP NOTE No.8]中の通史・概説

3.科学技術システム改革

3.7 標準化

標準化についての取組は長い歴史を有する。最初の科学技術白書(昭和33年版)では、標準化への取組の歴史について大正時代の出来事を皮切りに、相当の頁数を割いて紹介している。白書では、工業分野、農林水産分野、情報通信分野の標準化が取り上げている。なお、平成元年版から12年版まで標準化についての記載がなかった。農林水産業分野については、昭和63年度版での記載が最後となっている。

工業分野の標準化は、長い歴史を有するが、戦後は工業の再建と輸出の振興、民生安定を狙いとするところから始まった。昭和24年には、工業標準化法が制定され、同法に基づき日本工業規格(JIS)が制定され、現在に至っている。同法に基づき、JISマーク表示制度が運用されている。近年、我が国の国際競争力の向上のために国際標準化を重視している。

農林水産業分野については、日本農林規格(JAS規格)が制定されている。同規格は、現在もあるが、白書における記述は昭和63年度が最後となった。

情報通信分野の標準化については、1980年代から白書の話題となり、昭和61年には日本工業標準調査会から情報技術の標準化に関する建議がなされた。

平成18年度には、内閣官房知的財産戦略本部は、国際標準に関する戦略的取組として「国際標準総合戦略」を策定し、さらに、経済産業省は、我が国の「国際標準化力」を経済力、科学技術水準に見合ったものとするため、我が国発の提案件数を2015年(平成27年)までに倍増させることなどを「国際標準化戦略目標」として定めた。

平成21年度からは、標準化に関する人材育成についても紹介されるようになった。