科学技術イノベーション政策における重要施策データベースの構築[NISTEP NOTE No.8]中の通史・概説

4. 科学技術と社会

4.2 科学技術コミュニケーション

昭和30年代、40年代においては、科学技術コミュニケーションに関する取組としては、科学関係あるいは産業関係の博物館(昭和33年版記載)、科学技術週間、地方科学技術振興会議(昭和40年版記載)などが取り上げられていた。ただし、この当時はコミュニケーションという観点よりも知識の普及啓発に重点があった。

科学技術コミュニケーションについて、施策が多く講じられるようになったのは比較的新しい。

平成8年版白書では、初等中等教育における理科教育の振興を目的とした普及啓発の方策が打ち出された。理科教育担当教員の指導力向上のための講習会実施や、教育センターの整備、学芸員の専門研修、青少年に対する科学教室等の特別事業が行われたとしている。平成12年版白書からは、学校休業土曜日を中心に子どもを対象とする科学・ものづくり教室への助成など、参加体験型の展示、ハンズオン活動の振興について記載している。なお、この時期以降に初等中等教育関連の記述が充実された背景には、若者の科学技術離れへの関心の高まり、平成7年に成立した科学技術基本法において科学技術に関する学習の振興等が規定されていることが影響している。

その後さらに、科学技術・理科教育に関連する施策を総合的・一体的に推進する「科学技術・理科大好きプラン」(平成14年より実施)に基づき、理科・数学に重点を置いたカリキュラムの研究開発等を行う「スーパーサイエンスハイスクール」、大学、研究機関等と教育現場との連携等を推進し、児童生徒が科学技術に触れる機会や教員研修の充実を図る「サイエンス・パートナーシップ・プログラム」等の取組が開始された。

近年では、科学研究費補助金等による最新の研究成果を広く一般に知らしめるための講演会、シンポジウム、イベントへの助成が図られるようになり、それを担う人材として「サイエンスコミュニケータ」の重要性がうたわれるようになった。