科学技術イノベーション政策における重要施策データベースの構築[NISTEP NOTE No.8]中の通史・概説

3.科学技術システム改革

3.13 国際協力

国際協力については、多国間連携の枠組み、特定地域や二国間での協力、国際共同研究、研究者間交流といった事項がある。

多国間連携の枠組みとしては、まず、国際連合及び関連機関への加盟により、科学技術に関連する国際協力枠組みに参加するようになったことが挙げられる。経済協力開発機構(OECD)はマーシャルプランの受け入れ機関として1948年に発足した欧州経済協力機構(OEEC)を継承して1961年9月に設立され、わが国は昭和39年4月にOECDに加盟して以来、科学技術の分野においては主として科学研究委員会の活動に積極的に参加してきた。これに加えて、昭和50年代には、主要先進国首脳会議(サミット)において科学技術担当大臣会合が開催される等に取組が始まっている。さらに、1980年代に入ると、APECにおける活動など、地域(複数国)レベルでの連携枠組みが盛んになってきている。

科学技術政策における国際協力として、特定地域、国との二国間での科学技術協力がある。その協力の枠組みには、二国間で締結した科学技術協力協定によるもの、両国首脳間や閣僚間の合意等に基づくものなど多岐にわたっている。白書において、最も多く記載されているのは米国との間の科学技術協力であり、1960年代に、科学技術に関する日米委員会が設置され、併せて日米医学協力委員会が発足している。その後、エネルギー・原子力、天然資源といった分野において協力関係が発展している。その他、欧州、アジアの各国など、様々な二国間協定が締結されている。

国際共同研究の面では、1957-58年の国際地球観測年、1960年代に、「国際地球内部開発計画」、国際生物学事業計画などが始まり、地球観測、エネルギー開発、宇宙開発、高エネルギー物理学、ゲノム解析など個別分野ごとに大規模な国際共同研究プロジェクトが進展している。昭和62年に我が国はサミットでヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムを提唱し、その後、各国の賛同を得て事業に至ったことが特筆される。発展途上国への技術協力は、1950年代に開始されている。当初はアジアが主であったが、近年は、アフリカ等にも展開している。

研究者間交流の枠組みは、長い歴史があり、昭和40年代の白書においても記載が充実している。平成10年度頃からは、若手研究者を海外派遣する取組が始まっている。なお、情報交流、国際会議については、各種分野のものが多数実施されているが、白書の国際化の項目で記載のあったものを取り上げた。