科学技術イノベーション政策における重要施策データベースの構築[NISTEP NOTE No.8]中の通史・概説

2.重点研究開発の推進

2.2 ライフサイエンス

ライフサイエンス分野について、昭和40年前後における関心は、農林水産業、食品、がん対策などであった。昭和37年には、特殊法人農業機械化研究所(後の生物系特定産業技術研究推進機構、現在の農業・食品産業技術総合研究機構)が設置されている。がん対策については、がん対策助成金(厚生省)、がん特別研究費(文部省)などの措置がなされていた(昭和43年版白書)。

「ライフサイエンス」分野は、科学技術会議の答申「1970年代における総合的科学技術政策の基本」(昭和46年4月答申)において、政府が特に重点を置いて推進すべき分野の一つとして挙げられた。その後、昭和49年度には理化学研究所にライフサイエンス推進部が設置され、昭和52年度には国立大学共同利用機関として設けられた生物科学総合研究機構の基礎生物学研究所(岡崎市)が設置された。

昭和50年代には、遺伝子組み換え研究のあり方が議論されるようになり、科学技術会議は、8号答申「遺伝子組換え研究の推進方策の基本について」(昭和54年8月)においては、国全体の組換えDNA研究を対象とした実験指針を提示するとともに、この研究の推進方策についての提言を行った。

1990年代末には、ゲノム研究に焦点が当たるようになり、科学技術会議の委員会で長期計画として「ゲノム科学に関する研究開発についての長期的な考え方」(平成10年6月)。さらに、理化学研究所においてゲノム科学研究の中核的拠点として「ゲノム科学総合研究センター」が設置された(平成10年10月)。

このほか、脳科学研究、発生・分化・再生科学研究、バイオリソース、医療機器等の研究が進展している。

なお、ライフサイエンス分野においては、生命倫理についての検討が多くなされてきた。生命倫理については、「法的・倫理的・社会的課題へ対応」の項目で記載しているので参照された。