科学技術イノベーション政策における重要施策データベースの構築[NISTEP NOTE No.8]中の通史・概説

2.重点研究開発の推進

2.7 製造技術

「製造技術」という研究領域が明確に政策の対象に位置づけられたのは、第2期科学技術基本計画からであり、それ以前の白書には、製造技術分野固有の施策はない。

しかし、製造技術の導入や開発という観点は、昭和33年の初の白書発行の時点から大きな関心事項となってきた。すなわち、昭和30~40年代においては、海外からの技術導入についての記載が多くなされている(但し、特定の施策ではないので本データベースでは取り上げていない)。また、新技術開発事業団(現科学技術振興機構)による技術のあっせん、委託開発制度の対象課題をみると、その多くは製造技術である。

通商産業省においては、鉱工業技術試験研究費補助金、中小企業技術改善費補助金(これらは別項目「民間助成」に記載)をはじめとして、開発補助が行われてきており、その多くは製造技術に関わるものだったと考えられる。

第2期科学技術基本計画では、「国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点化」の項目において、8つの科学技術分野が示されており、そのうちの一つとして、「製造技術」が取り上げられた(8つのうち、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の4分野に対して特に重点を置くこととする、とされている)。科学技術白書では、平成13年版から科学技術分野別の記載において「製造技術」が追加された。平成19年版からは、製造技術は、「ものづくり技術分野」の項目の中に位置づけられ、人材育成や技能継承のための施策も含めて記載されている。