バイオテクノロジー研究開発と企業の境界に関する調査研究

担当:第1研究グループ


<研究活動の概要>

 本調査研究は、研究開発における企業の境界について、バイオテクノロジー関連技術を対象に分析することを目指します。バイオテクノロジーは、今後数十年における技術革新の中心的役割を担うと思われ、科学技術政策でも情報技術 (IT) と並び重視されています。また、下の図に見るように、バイオ技術は、幅広く応用可能であるため、既存の産業区分を超えて研究・応用されています。

バイオテクノロジー産業の広がり

医薬品研究開発の流れ

 特に、この調査では、バイオテクノロジー研究開発についての「企業の境界」の問題を中心的課題とします。企業の境界とは、企業が行うさまざまな活動のうち、どこまでの範囲を社内で行うのか、どこまでを他企業に発注し、委託し、あるいは共同で行うのか、こうした問題を指します。従来この問題は、原材料・部品をどれだけ内製するのか、販売チャンネルを自前で構築するのか、といった疑問に答えるために研究されてきました。しかし、研究開発活動においても、こうした企業の境界の問題が重要であることが幅広く認識されるようになってきています。例えば上の図は医薬品の研究開発プロセスを単純化して書いています。伝統的には、このプロセスの中で、基礎的な研究を大学などの公的機関が行い、その成果は論文などで公知のものとされて、それらを活用しつつ企業が研究開発を行って応用・製品化すると考えられてきました。しかし現実には、研究開発における企業の境界は一本の線ではなく、さまざまな形での中間的な活動が行われ、また、中間的な組織が活用されています。アウトソーシング、産学官連携、共同研究、ライセンシングなどがその例です。バイオテクノロジーという新しい研究分野では、特にこうした中間的な組織が大きな役割を果たしています。本研究では、バイオテクノロジー研究開発におけるこうした企業の境界に関わる問題について、また政策の及ぼす影響について、幅広く調査していきます。