STI Hz Vol.7, No.2, Part.2:(新組織紹介)科学技術・学術政策研究所の機能強化についてSTI Horizon

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  • DOI: https://doi.org/10.15108/stih.00251
  • 公開日: 2021.06.25
  • 著者: 科学技術・学術政策研究所 企画課
  • 雑誌情報: STI Horizon, Vol.7, No.2
  • 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

科学技術・学術政策研究所の機能強化について

科学技術・学術政策研究所 企画課

2021年4月、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は新しい組織を立ち上げました。NISTEPの多種多様な調査研究に関するデータを基盤として構築し、統合的に解析を行うことを可能とする「科学技術予測・政策基盤調査研究センター」と、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展を踏まえた新たなデータ解析手法の開発を行う「データ解析政策研究室」です。

「科学技術予測・政策基盤調査研究センター」は、従前、論文分析等を行っていた「科学技術・学術基盤調査研究室」と、最先端の科学技術の動向分析や科学技術予測(フォーサイト)を行っていた「科学技術予測センター」を統合して設置しました。NISTEPが長年実施してきている「科学技術指標」「科学技術の状況に係る総合的意識調査(定点調査)」「科学技術予測調査」等の調査研究は、継続して実施してまいります。加えて、論文等の「過去」の情報、最先端の科学技術の動向等の「現在」の情報、フォーサイトという「未来」の情報を統合的に分析することで、更に深く、科学技術・イノベーション政策をめぐる動きや課題を読み解く試みを進めてまいります。

「データ解析政策研究室」では、科学技術・学術政策研究の分析手法としてAI技術等の新しい分析手法を取り入れるというNISTEP自身のDXに取り組んでいきます。さらに、DXによる世界の研究開発活動の変化を捉えてまいります。

こういった新しいチャレンジは、NISTEPの力だけでは実現できません。そのため、国立研究開発法人理化学研究所革新知能統合研究センター(AIPセンター)と2020年11月に連携協力に関する覚書を締結し、機械学習や自然言語処理技術等の技術を科学技術・学術政策研究の分析に応用すべく検討を開始しました。例えば、NISTEPで実施したアンケート調査で得られた自由記述の分析や論文引用の際の文脈推定に自然言語処理技術が活用できないか検討を進めています。

2021年3月に閣議決定された第6期科学技術・イノベーション基本計画(以下「第6期基本計画」という。)においては、人文・社会科学の「知」と自然科学の「知」の融合による「総合知」を活用して社会の課題を解決することの重要性が述べられています。NISTEPのこれらの取組は、「総合知」を生み出し科学技術・イノベーション政策の企画立案等に貢献することを目指すものであり、第6期基本計画に沿ったものになります。

新しい体制のもと、NISTEPでは、継続的に実施している調査研究を着実に実施しデータを蓄積するとともに、AI技術を活用したデータ解析手法の開発等の新たな取組にも力を入れてまいります。科学技術・イノベーション政策の企画立案等に貢献するエビデンスの提供を行い、これまで以上に、エビデンスに基づく政策立案(Evidence Based Policy Making、EBPM)に貢献していきたいと考えています。NISTEPの新たな挑戦に御期待ください。

NISTEP組織図NISTEP組織図