STI Hz Vol.6, No.3, Part.6:(総務研究官就任挨拶)COVID-19により変容する科学技術と政策STI Horizon

  • PDF:PDF版をダウンロード
  • DOI: https://doi.org/10.15108/stih.00224
  • 公開日: 2020.09.25
  • 著者: 岡谷 重雄
  • 雑誌情報: STI Horizon, Vol.6, No.3
  • 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

総務研究官就任挨拶
COVID-19により変容する科学技術と政策

文部科学省 科学技術・学術政策研究所
総務研究官 岡谷 重雄

文部科学省 科学技術・学術政策研究所 総務研究官 岡谷 重雄

2020年8月に科学技術・学術政策研究所総務研究官に着任しました岡谷重雄です。平素よりSTI Horizon誌を御愛読賜り、心より御礼申し上げます。

2020年という節目に、世界はCOVID-19による試練を迎えていると言えます。人類史上初めてのウイルスによって、交通、経済、教育に大きな影響を与え、新しい常態に向けて社会秩序は変容し、完全に元に戻ることはないと言われています。

ここで改めて科学技術の果たす役割が大きいことは言うまでもありません。その科学技術の在り方も、元々、データ駆動、オープン化、分野やセクターを超えた共創型などのキーワードで象徴される形で変化しておりました。例えば、前任の理化学研究所革新知能統合研究センター(AIP)では、革新的な人工知能基盤技術の開発に加えて人工知能技術の普及に伴って生じる倫理的・法的・社会的問題に関する研究を行っており、データ駆動と分野横断型の研究を牽引しております。このような取り組みは、オープンサイエンスや科学のデジタルトランスフォーメーションとして最近議論されるようになりましたが、人の物理的移動や対面のコミュニケーションがCOVID-19で制限され、課題解決に向けた情報の迅速な共有が求められることもあり、結果として科学技術の変化が大幅に加速していると言えるでしょう。このようにCOVID-19によって科学技術の変化と社会秩序の変革が加速する時代において、科学技術政策づくりもデータをより活用し、エビデンスに基づくスピード感ある政策づくりが求められる時代となりました。

NISTEPとしては、このような激動の時代において、本誌の編集・発行をはじめとする調査研究活動・成果の発信・展開について、今後なお一層の充実と強化を図り、未来の社会に向けた変化を後押ししていく所存です。読者各位におかれましては、NISTEPの調査研究活動への一層の御理解・御支援を賜りますとともに、引き続き当誌記事を御愛読・御活用くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。