政策研ニュース No.204

写真: 第1回アジア科学技術フォーラム第1分科会
第 1 回アジア科学技術フォーラム第 1 分科会
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  1. Ⅰ. トピックス
  2. Ⅱ. 最近の動き
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本のアイコンⅠ. トピックス

第 1 回アジア科学技術フォーラムを終えて

科学技術動向研究センター主任研究官 藤井 章博


写真: 第 1 回アジア科学技術フォーラム

● アジア科学技術フォーラムの概要

科学技術政策研究所は、(独)科学技術振興機構、(独) 防災科学技術研究所と共催で「第 1 回アジア科学技術フォーラム」を開催した。これは、科学技術振興調整費に基づいて(独)科学技術振興機構(以下JST)が委託を受けた「アジアにおける科学技術の振興と成果の活用」事業の一部であり、平成19年度まで 3 回のフォーラムの開催を予定している。

本フォーラムの趣旨は、「アジアが抱える環境・エネルギー問題や自然災害対策等の地域共通の課題に対して、科学技術面からアジア諸国が連携・協働して積極的に対処する」ことを目的として、有識者の講演と会議を行う。これによって、「アジア諸国等の持続的成長」に寄与するとしている。会議は、3 つの分科会から構成されており、それぞれテーマとして「科学技術政策」「環境・エネルギー問題」「自然災害対策」を扱う。政策研が主に企画・運営を分担したのは、「科学技術政策」に関連する第 1 分科会である。本分科会主査は、阿部博之総合科学技術会議議員が就任された。

残暑の日差しがきびしい 9 月 9 日 (金)、300 名を超える参加者が、六本木アカデミーヒルズに集った。沖村憲樹 JST 理事長の開会挨拶に引き続き、小泉顕雄政務官より来賓の祝辞を賜った。その後佐藤征夫JST審議役によるフォーラムの趣旨説明が行われた。引き続き、有馬朗人 (財) 日本科学技術振興財団会長、元科学技術庁長官、元文部大臣より基調講演が行われた。「Towards Establishing an Asian Science and Technology Axis」と題した基調講演では、アジアの経済発展が自然環境に大きな影響を与えていることが具体的なデータで多角的に示され、次世代へ向けた提言が述べられた。

●第 1 分科会「アジアの持続的発展に資する科学技術政策のあり方」

以下、科学技術政策をテーマとし、政策研科学技術動向研究センターが企画運営する第 1 分科会の内容を中心に報告したい。第 1 分科会のスピーカとして今年度招待講演を依頼したのは、次の方々である。中国科学技術促進発展研究中心副所長Qiquan Yang博士、韓国 科学技術部公共技術研究会議理事長Youngrak Choi博士、タイ科学技術省事務次官Pairash Thajchayapong博士、ベトナム科学技術省事務次官Le Dinh Tien博士、インド国立科学技術開発研究所所長Rajesh Kochhar博士である。また、日本のスピーカは、小中元秀政策研所長が務めた。(写真は、第 1 分科会での討論の様子、左から阿部主査、中国、韓国、タイ、ベトナム、インド、日本の各スピーカ) 第 1 分科会の目的は、アジア諸国において各国の科学技術政策の中核を担う行政部局の担当者が一同に会し、「アジアの持続的発展に資する科学技術政策のあり方」を議論することにある。 今回は、各国の科学技術政策担当者のアジア諸国の科学技術政策に関する相互理解を促進することを目的に、①各国における科学技術政策の意思決定過程の紹介、②科学技術政策上の重点化政策の状況の報告、③持続可能な発展に関する政策の位置付けが議論された。参加6カ国のスピーカの方々から、前節のテーマに沿った報告が行われた。以下にその骨子を紹介する。

中国は、中国版の「アジェンダ 21 」を策定し、環境問題等に関連する法制を整備すると共に、国家開発計画の中で持続可能な発展を明確に位置づけている。また、科学技術政策の重点化についても持続可能な発展が重視されていることが紹介された。

韓国では、科学技術予算が毎年約15%近い増大を示しており、その背景には大統領が科学技術に積極的であること、また、科学技術の行政体制について省庁間の連携・調達などの機能が強化されていることがみられる。持続可能な発展についても、大統領の委員会が設置されるとともに環境改善の目標設定などがなされている。また、技術予測調査による持続可能な発展に関連する科学技術の状況の報告があった。

タイからは、近年の科学技術政策の状況が報告された。背景には、経済の再活性化と共に持続可能な発展が重要な課題となっていることが説明された。科学技術政策の戦略としてイノベーティブ・クラスターの形成、科学技術人材の養成、基盤整備などが重視されていること、マネジメントシステムの改善が進められていることなどが報告された。

ベトナムからは、80年代半ばからのドイモイ政策のもとで急速な経済発展を実現してきたこと、その反面でベトナムの森林はかなり減少していることなどが紹介され、自然災害の問題、農薬・肥料の過剰使用などチャレンジすべき課題が顕在化していることが示された。これに対してベトナム版「アジェンダ 21 」が定められ、持続可能な発展に対する科学技術の役割が重要であると定められていることが紹介された。

インドからは、1947年の独立以後の科学技術政策が大きな経済発展に繋がったことが紹介された。特徴的な事例は、自動車産業、核ミサイル開発、ソフトウエア産業などであり、経済のグローバル化により新しい局面を迎えている。ソフトウエア産業や医薬品産業において、知的財産権保護と産業競争力、など相反する課題が顕在化している。

日本からは、現在検討が進められている第3期科学技術基本計画における重点化に関連して実施された予測調査の設計および環境・エネルギー分野を中心とする主要な結果が報告された。また、次期基本計画の目標として持続可能な発展が位置づけられていることが紹介された。

●むすび

フォーラムの終盤、分科会報告の場において阿部主査より第1分科会の総括が行われた。「持続可能な発展と科学技術政策の関係に関して大変有意義な意見交換がなされたといえよう。環境・エネルギー問題等は、各国固有の事項とアジア共通の事項があり、科学技術の状況を含めて比較していくことは有意義である。また、広範囲な市民参加の下に、持続可能な発展に関する本質的な議論も重要である。」という趣旨のまとめが述べられた。

来年 2006 年秋、第 2 回アジア科学技術フォーラムは、同様のテーマと分科会構成で開催することが予定されている。政策研は、引き続き企画・運営を分担する予定である。今年度の成果を踏まえ、有意義な会合の実現にむけて努力していきたい。

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木の線

「日本の生物医学関連の法律に何が起きているか」? - 研究レポート

第2調査研究グループ JSPS サマープログラムフェロー Sara Kranz

Ⅰ. 日本の生物医学関連法規を日本で調査する 3 つの理由:

1. 科学的・法的・倫理的コンポーネント: 日本は、生物医学の研究において先進的な位置を占め、かつ、現状において既にいくつかの生物医学分野に詳細な規定・法令を確立している点でアジア唯一の国であり、アジア諸国の中で倫理的、社会的議論の先頭に立っている。


2. 法的・歴史的背景: 西欧諸国との比較では、日本の法制度や倫理的・歴史的な社会背景は、両者で大きく異なっており、生物医学問題にも、異なる法的・倫理的な姿勢を生じている。

3. 経済的コンポーネント: アジアの高度な経済的発展、また、急速な技術的、法的、社会的な発展は、アジアのみならず、西欧諸国においても、公衆、政府及び研究者コミュニティーへの新な挑戦を突きつけ、そしてまた、アジア諸国と西欧諸国との間で、生物医学研究や薬剤の研究開発において、地球規模の国際競争が強まっている。

Ⅱ.日本の生物医学関連法規の分析のための法律的課題と主な法律の様態

法的規制が依拠する基盤は、「日本国憲法」、「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」(以下 HCA)、及び、「ヒトES 細胞の樹立と使用のためのガイドライン」、そして「特定胚の取扱いに関するガイドライン」である。これまでのところ、狭い意味で、法律とガイドラインの双方のみが、日本の生物医学関連の法における唯一の規制形式である。本課題の枠組みの検討に際しては、他の関連の法規も考慮されなければならない。すなわち、例えば旧優生保護法、母体保護法、刑法の中の妊娠中絶関連の規定 (212 条: 堕胎の禁止*)、器物損壊(民法721条: 損害賠償請求権に関する胎児の権利能力*、886 条: 相続に関する胎児の権利能力*)、臓器の移植に関する法律、医師会ガイドライン、日本産科婦人科学会会告などである。 加えて、文部科学省や厚生労働省、そして総合科学技術会議が発している報告、例えば、治療的クローンの取扱いや不妊治療の臨床・研究のためのヒト受精胚の作成 についての 2004 年 7 月「人の胚の取扱いに関する基本的考え方」がある。


本稿で主に分析した法律課題は以下である:

課題1. 法的用語としての「人間の尊厳」の日本における定義、そして、憲法13条(「個人の尊厳」)との比較において、さらに、西欧諸国の「人間の尊厳」/"Menschenwuerde"の定義との比較において、日本の「人間の尊厳」の定義について。

課題2. 「胚の地位」と「生命の始まり」: 胚は「人間」なのか、そして人間の尊厳において保護されるのか、人の生命はいつ始まるのか?

課題3. 個人の権利と「公共の福祉」の概念(憲法11、13条)

課題4. 法律の代わりに「行政のガイドライン」を策定する機構

課題5. 歴史的・宗教的・倫理的な背景(「カント対仏陀」; 複数の宗教)

Ⅲ 結 果

●課題 1 及び 5 について:

「人間の尊厳」という用語は西欧から輸入された用語であり、日本国憲法あるいはその他の法律の中に元来存在しておらず、まず、生物医学的観点から、人の生命や人間の尊厳がいかなるものかについての、無知、不可知論及び知識の欠如がある点が指摘されなければならない。 それゆえ、「ヒト胚」について、そして、「ヒト胚」の法律的・倫理的な観点における保護について、「人の生命の始まり」や、「学問の自由」の限界について、などのいずれについても、法律的な、肯定的なあるいは否定的ないずれの定義も存在していない。憲法13条(「個人の尊厳」- 原則)は、こうした文脈において適用し得ない。なぜなら、この原則は、より狭い意味で考えるべきであり、それゆえ、むしろ「人間の社会的な権利」、すなわち、幸福な生活の保障や労働権、個人の自己決定権、財産権等々に関係する概念だからである。西欧的な考え方の影響を受けた一部の法律家 (位田教授 (京都大学*) ら) や総合科学技術会議では、「人間の尊厳」の概念を一般的な概念として、また、同時に個別的な用語として、構築しようという試みがある。こうした試みに従えば、人間としての尊厳は、より包括的で抽象的な法律的な用語であり、「人間の生命の尊重」や「人間の生命の価値」を一般的な意味で包含するものでなければならない。

すべての人間は各々の「尊厳」のゆえに、それぞれに有する自己存在を尊重され、平等に扱われる――つまり、「尊厳」の定義は「人権の保護」の理念と非常に近い関係にある。生殖的クローン(クローン個体産生)に限定した場合では、「人間の尊厳」は、以下の4つの要素から決められることになる。すなわち、人間の道具化、人間個体形成上の遺伝的改変(いわゆるデザイナー・ベビーなど*)、個人の同一性 (単一な存在としての自己*) の侵害、そして、社会や家族の秩序に混乱を生じさせること、これら4点である。これらの要素は最終的にクローン個体産生の全面禁止に結びついており (人クローン胚の胎内 (子宮内) への移植の禁止)、あらゆる種類の人クローン胚、及び特定胚 (人・動物キメラ胚、交雑胚など) を禁止している(HCA第3条)

個別事例に応じた個別的定義は広く法律家、政府において受入れられているように見え、国際的に認識されている「人間の尊厳」を無視する口実としては都合の良い解決法と思われる。こうした対処のあり方は、多くの西欧諸国の法制ならびに生物学関連法規のあり方と異なるものである。ドイツを始めとする欧州の憲法制度は、「人間性」に係る哲学、カント哲学や、キリスト教カトリック教義の基盤に立脚しており、人間の始まりを定義し、配偶子を含む人間の絶対的な保護を規定している(ドイツ基本法第1条「人は自由の下に誕生し、人間の尊厳と権利とにおいて平等である」)。なお、カントの「客観論的慣用句」すなわち、「人間は自身の存在が目的であって、ただ手段として用いられるべきではない」、ということが、ドイツ基本法の主要な目的となっている。すなわち、「人間の尊厳は侵し難いものである」(第1条)。しかしながら、日本では、「全体論的な手法」そして宗教的、倫理的、多様性は、現実問題として「誰も人間の尊厳の原理を理解することはできない、ゆえに、人間や動物の存在が異なるという位置付けに鑑み、人の尊厳を保障する必要がある」と島薗教授 (東京大学*) は強調する状況を生じている。


●課題 2 について:

総合科学技術会議の報告作成に関与した位田教授らを参照すると胚は人間ではなく、なおかつ物でもない、「人の萌芽」であるとする。すなわち、人間の生命の初期の発生段階のことである。この位置付けは、多くの西欧諸国の立場と、胚を単なる細胞の集塊とみなしたシンガー (P. Singer) らの極端な立場との中間に位置するものである。こうした定義にもかかわらず、日本においては、人の生命の始まりも、終わり(「脳死」対「心臓死」)も、法律的には明確にはされていないということを強調しなければならない。なぜなら、こうした定義に係る問題は、しばしば国民や政府において無視されているからである。このような課題に関する議論は、西欧に比べ非常に遅れて始まり、有効に議論は進展せず、あるいは混迷しており、臓器移植や遺伝子組換え作物 (GMO) に関する現状は、そうした顕著な例であるといえる。それにもかかわらず、法律的な結論として「人の萌芽」の定義は、基本原理を成しており、生命の始まりである胚は、生殖目的以外に作成してはならない (= 体外受精目的) ものとして、この理念は、広く研究者コミュニティー、一般社会、そして法律家の間においても受入れられている。

しかしながら、このような原理は治療目的のクローン胚作成や臨床的あるいは研究で使用する目的のヒト受精胚の作成という技術と拮抗するものとなる。なぜなら、これらの操作で胚は滅失されるからである。法的観点からは、現在行われている治療的クローン研究や新しいガイドライン (HCA 第 4 条に基づく) による受精胚の臨床使用に関する議論の解決策として、基本原理に以下の 2 項目の例外を設けることがあると考えられる。すなわち、第一に生殖補助医療において作成された胚 (ART-embryo) で、用いられずに凍結されて残された余剰胚を、両親(文字通り)のインフォームド・コンセントを経て使用すること、そして第二に、治療的クローンのための胚 (SCNT-embryo) を作成すること (この胚は受精過程を経ることなく人工的に、疾患治療、例えば、アルツハイマー病やパーキンソン病や糖尿病の治療のための研究目的で作成する) である。小説『宴の後』事件 (三島由紀夫の私生活を暴露する小説におけるプライバシー権に関する訴訟 *) においては、最高裁判所は「個人の権利」についてのたいへん厳しい制限を課し、患者や提供者の個人の権利が侵害された類似例にその判断が適用されるか否かについては、個別に調査する必要がある。

●課題 3 について:

個人の利益は法律的に公共の利益の一部とみなされている。なぜなら、個人は共同体の一員であり、それゆえ、政府から保護されることが必要であるからである。そうではあるが、ここ40年で「ライフスタイル(生活様式)」が変化し、日本の社会制度全体に多大な影響を与えつつ、個人の価値やある種の「個人主義」が台頭する状況を生じている点にも注意を払わなければならない。それゆえ、「公共の福祉」と「個人の価値」との概念は、実際問題として、西欧的な「個人主義」の概念に傾斜しているといえる。

●課題 4 について:

生物医学研究を「管理する」ために、法律ではなくガイドラインを用いることは(現状では「ヒト ES 細胞の樹立と使用のためのガイドライン」、「特定胚の取扱いに関するガイドライン」があり、今後、近い将来「治療的クローン」、あるいは「不妊治療研究のための受精胚の使用」などについて、策定が考えられる)、センシティブで、論争のある課題に対する、西欧における法律的な取扱いのあり方とは極めて対照的な状況である。それにもかかわらず、日本では、行政のガイドラインは汎用されており、通例の規制形式となっている。なぜなら、ガイドラインは、生物医学技術の規制において、効果があり、柔軟で、迅速な、策定に際しての法的な取扱いにおいて少ない負担で手早くできる手法だからである。加えて、政府も科学技術者もより高次な科学技術の規制に関心がないからである。なぜなら、彼ら自身が(規制をかけるまでもなく)可能な限り法的、倫理的に科学技術研究を実施することを欲しているからである。なぜなら、一般的に、ガイドラインは関係者・当事者と公衆との「政治的な交渉過程」で決めることが可能である。加えて、声を発することのない人々(一般公衆)や声を発する一部の人々 (研究者) が、いずれも議会 (国会) に信頼を置いておらず、また、こうした法的、倫理的に高度に複雑な課題についての議員の知識を信頼していないという点も理由である。しかしながら、専ら行政のガイドラインのみで生物医学的な課題の規制を行うことは不透明であり、憲法に反するものであるがゆえ、再考を要するのである。

提言: 日本の生物医学関連の法は「人間の生命に係る規制」を達成するための長い道のりの始まりの地点に位置する。法的な観点から、取組みへの着手は適切であった。しかし、生物医学的な課題についての、公衆や政府の議論や知識は不足しているとも言え、一層、透明性があり民主的な制度に置き換えられる必要がある。さらに、広範な教育研修制度と組み合わされた、一層、精緻な法規制、効果的で体系化された行政支援が導入される必要がある。

(文中 * は訳者が付した注)

Ms Sara KRANZ, M.A., JSPS Research Fellow Summer 2005, NISTEP, 2nd policy-oriented group

Ph.D. student and Research Assistant to Prof Dr Jochen Taupitz, Institute for Medical Law of the Universities of Heidelberg and Mannheim (IMGB), Germany

翻訳: 第2調査研究グループ 主任研究官 牧山康志

・訳者解説: わが国では、例えば、生殖補助医療 (不妊治療) の臨床、研究の場で用いられてきたヒト受精胚の取扱いは、社会において結論されないままに、現在まで法律で規制することなく、実際上の規範を日本産科婦人科学会の会告(自主規制)に依存する形で、胚の使用が行われてきた。それゆえ、ES 細胞や治療目的のヒトクローン胚の作成・使用のあり方を巡って生じた議論を契機に、改めて、ヒト胚それ自体の社会的・法律的な位置付けをも問う、本格的な社会のルール作りが始められたといえる。Kranz さんの報告では、同氏の出身地であるドイツの法体系、すなわち基本法の第 1 条に述べられる「人間の尊厳」を基盤とした議論の末にヒト胚保護の立場を決めた倫理的・法的な規範形成の過程と、わが国との、顕著な相違点が浮き彫りにされている。同時に、透明性、明確さを貫く法化社会における民主主義の姿と、わが国の姿を対比した場合に、議会の役割を含め、より発展的な社会制度のあり方をわが国が目指す際に役立つ示唆が込められているといえる。同氏が2ヶ月にわたる当所での滞在中、極めて勤勉・精力的に取組んだ姿勢が、本稿からも伺える思いがする。そして、それを支えてくれた多くの方々に心から感謝したい。

本記事の原文 (英語) はこちら

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時計のアイコンⅡ. 最近の動き

○ 所内研究成果発表会
・9/ 6 上野 泉: 第2研究グループ研究員
「中国における科学技術活動と日中関係」
鎗目 雅: 第2研究グループ主任研究官
「政策・制度と研究開発ネットワークの共進化: 日米欧における鉛フリーはんだの開発」
・9/13 Steven W. Collins, Ph.D.: ワシントン大学ボセル校教養学部准教授、科学技術政策研究所国際客員研究官
植杉 紀子: 第3調査研究グループ上席研究官
「神戸とシアトルにおけるライフサイエンス関連産業集積の比較分析」 (中間報告案)
○ 科学技術政策研究に係る研修プログラム
・9/28 廣松 毅: 東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授(統計審議会委員)
「科学技術に関する統計手法について 〜質問票設計の基本、母集団設定、回答の分析方法」
○ 主要訪問者一覧
・9/ 7シュトゥックラート: ドイツ北ライン・ヴェストファーレン州教育科学技術イノベーション省次官
レイモンド・バウシュ: ルクセンブルグ国立研究基金事務総長
・9/ 8ゲイル ヤコブセン: ノルウェー大使館通商技術部通商技術参事官
・9/14Prof. Dr.マイヤークラマー: ドイツ連邦教育研究省 BMBF 事務次官
Prof. Dr.グルス: ドイツマックスプランク協会会長
Dr.ヘーファー: ドイツ連邦経営者団体技術イノベーション部長
・9/15レ・ディン・ティエン:ベトナム科学技術環境省次官
ホー・ティ・ミー: ベトナム政府官房科学技術・教育局局長
テュウ・ティ・バオ・ホア: 同省国際協力局係官
・9/16Dr. Patarapong Intarakumnerd: タイ国家科学技術開発庁プロジェクトマネジャー
Ms. Nucharin Ratchukool:   〃  S&T Indicator specialist
Dr. Piengpen Butkatanyoo:   〃  NECTEC,IP Law specialist
○ 講演会・セミナー
・9/20 今道 友信: 英知大学教授、東京大学名誉教授、哲学美学比較研究国際センター長
「科学技術と倫理 〜 21 世紀の課題〜」
・9/28 カレン・シウネ: オーフス大学教授
「EU における科学技術・社会政策」
「EU の科学技術政策評価」
○ 第 19 回地域クラスターセミナー
・9/ 6 オレステ・ギサルバ: CTI/KTI バイオテクノロジー会長
ドメニコ・P・アレクサキス: スイス・バイオテクノロジー連合会 CEO
「スイス - 一つの国家 - 一つのバイオテクノロジークラスター」へ概観 - 革新的精神の結集へ
○ 新着研究報告・資料
「科学技術動向 2005 年 9 月号」(9 月 27 日発行)
レポート 1   PC グリッド・コンピューティング - 普及・向上する PC の有効活用による豊富な計算資源の社会的供給 -
客員研究官 刀川 眞
レポート 2   都市におけるヒートアイランド現象の緩和対策
環境・エネルギーユニット 山本 桂香
レポート 3   利用ニーズ主導の統合された地球観測システムの構築
   - エビアン G8 サミットに始まりグレンイーグルズサミットでも言及された「GEOSS」の推進 -
総括ユニット 辻野 照久
蔦
ふくろう
文部科学省科学技術政策研究所広報委員会(政策研ニュース担当: 情報分析課 news@nistep.go.jp)

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