政策研ニュース No.203

写真: ワークショップ「数学の将来シナリオを考える」
ワークショップ「数学の将来シナリオを考える」
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  1. Ⅰ. レポート紹介
    • 臓器移植を事例とする科学技術の社会的ガバナンスの検討 - 中間的専門機関の重要性 -(Policy Study No.10)
      第2調査研究グループ主任研究官 牧山 康志
  2. Ⅱ. トピックス
  3. Ⅲ. 最近の動き
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本のアイコンⅠ. レポート紹介

臓器移植を事例とする科学技術の社会的ガバナンスの検討 - 中間的専門機関の重要性 -(Policy Study No.10)

第2調査研究グループ主任研究官 牧山 康志


1. はじめに

臓器移植は、わが国最初の心臓移植から 30 年以上を経た現在においても、年間数例の脳死臓器提供に留まり、一部では渡航移植等が余儀なくされている。また例えば、腎臓移植の代替医療である人工透析医療は年々 1 万人ずつ増加して、2002 年には 23 万人の実施、1 兆 2,000 億円の医療費負担となり、医療経済や医療人材の破綻の懸念を生じているなど、現状の歪が目立ち始めた。 さらに現行法による臓器の利用の制限は、医学研究の進歩で新たに出現した臓器・組織の研究利用の要請に対応できないなど、先端的な再生医療等の研究の進展に影響する問題となっている。 本報告では、わが国の臓器移植の現状を俯瞰し、わが国と文化社会的背景の近い韓国における実施の状況や諸外国の事例を参照しつつ、適正な臓器移植医療に係る制度の枠組みのあり方について包括的な科学技術の社会的ガバナンス制度という視点から検討して、施策の方向性を提示した。

2. 報告の概要

(1) 歴史的背景:わが国の脳死臓器移植は、1967 年に行われたわが国初の心臓移植 (いわゆる「和田移植」) が到底、社会的に容認され得ない不適切な実施の様態であったこと、当該事例を社会も医療職集団も総括し得なかったことなどが要因となって、脳死臓器移植が殺人の告発対象とされるなど、社会的受容の様態の定まらぬ混乱の中、医療現場においても実施が差し控えられるという状況が続いた。その後、旧厚生省による 1990 年設置の「臨時脳死及び臓器移植調査会」(脳死臨調) などでの議論を経た、1997 年の「臓器の移植に関する法律」平成9年法律第104号の成立までは、脳死臓器移植は、わが国では極めて実施が困難な状況にあった。このような、先端的科学技術の応用において、社会的受容の様態が定まらぬまま、曖昧な形の中での差し控えが持続する状況を科学技術政策がいかに回避するかが、第一に臓器移植の歴史が投げかけることとなった重要な政策的課題である。

さらに、法律が成立したとはいえ、30 年間にわたる脳死臓器移植医療の空白によって、実施のプロセスにおける社会制度基盤が整備されていない状況、加えて、終末医療 (尊厳死、安楽死等を含む) や小児の代理承諾に関する議論が尽くされることなく社会の意思決定(必ずしも一律の合意とは限らない)に至らぬ状況が残されている。すなわち、法制定以来、少数例の実施に留まる現状は、個人の意識の有り様というより、社会制度上の問題に成否の要因があることを示唆している。つまり、多様な連携で成り立つ臓器移植のプロセス全体の適正化を図るためには、責任と権限とが明確にされた機関が包括的に継続的に制度整備を主導する必要性がある。しかしながら、現状のわが国においては、実質的に臓器移植制度の全般に渡って主導的な役割を果たすことに特化した専門的な機関が不在であるといえ、このことが不振の要因と考えられた。換言すると、調査研究・施策策定機能や現場の管理能力を備えた機関が、いかに、当該の科学技術政策をリード (主導) するか、という点が、臓器移植医療が投げかける第二の政策上の課題であるといえる。

以上 2 点の課題について換言すると、包括的・適時的に施策の策定を実現できる当該領域の施策・制度のあり方、あるいはガバナンスの体制が、今問われ、また必要とされているといえる。

(2) 韓国及び諸外国:法的脳死判定や遺族の同意などの事項について、わが国と類似の規定をもつ韓国において、人口当たり約 25 倍の脳死臓器提供を実現している同国の制度の背景に「国立臓器移植管理機関(KONOS)」が果たす役割がある。すなわち、臓器移植に専門特化して、制度の運用に取組む機関の存在である。また、人口当たり世界最多(33.8/100万人、2003年)の脳死臓器提供数を実現しているスペインにおいても、「国立移植機関(ONT)」が、制度の構築・運用に主導的な役割を果たしており、同国では臓器提供場面を中心に制度が構築されている。

(3) 必要な制度整備 - 中間的専門機関の設置 -: 臓器移植医療が関わる「死」には、宗教・文化・個人における倫理的立場と、人の権利の喪失に関わる法的社会的基準という両面性がある。さらに、臓器提供は臓器提供者及びその遺族・家族の死の場面に起きる悲しみのケア「グリーフ・ケア」という終末医療の一環としての役割を担っている。こうした多面的で複雑な、臓器提供・移植医療を統合的・包括的かつ継続的にフィードバックを行いながら制度の運用を支える機能は、科学技術の社会的ガバナンスにおける「中間的専門機関」、すなわち、科学技術、政策立案、市民・社会の各領域の中間に位置して仲介の役割を果たし、かつ、当該事項に専門特化して継続的に制度の中核的な役割を担う機関によって果たされることが、他の科学技術領域と同様、臓器移植医療にも求められていることが示唆される。このような機関が役割を担う制度の例を模式的に示すと以下のとおりとなる。

図表: 臓器移植医療の包括的なガバナンスの中における中間的専門機関

a: 中間的専門機関は、臓器提供施設と連携。 b: 中間的専門機関は、地区のブロックセンターを組織下に置く。ブロックセンターは、臓器提供・院内コーディネーターなど、提供側の業務を軸に再編する。 c: 臓器提供場面等においてグリーフ・ケア実現、臓器提供実現のために適切に連携する。d: 斡旋部門は、移植施設と連携して臓器の斡旋、移植コーディネートの業務を行う。e: 臓器提供施設と移植施設は連携して臓器摘出を行う。各部門は、常に現場のフィードバックを行い最適化を図る。*:ブロックセンターは、心臓死体移植を含む斡旋業務の一部を担う。

本報告は NISTEP ホームページ http://www.nistep.go.jp/index-j.html で公開されている。

まきやま やすし

2002 年より現職。生命倫理問題の政策的解決など「生命科学技術の社会的ガバナンスシステムの構築」が調査研究テーマ。今までに、「ヒト胚」の問題や英国の規制制度に関する調査がある。

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クリップのアイコンⅡ. トピックス

ワークショップ 「数学の将来シナリオを考える」開催

科学技術動向研究センター主任研究官 伊藤 裕子

科学技術政策研究所は社団法人日本数学会との共催により、5 月 10 日に虎ノ門パストラルで「数学の将来シナリオを考える - 数学を基点とする分野横断型研究の展開に向けて -」のワークショップを開催した。

本ワークショップの目的は三つある。一つ目は、日本の数学研究が置かれている状況をきちんと認識することである。二つ目は、数学研究が新しい科学技術分野を発展させるために果たす重要性を考えることである。さらに三つ目は、日本の数学のポテンシャルを他分野に活用する方策を産学官関係者で討議し、認識を共有することである。

数学は、例えばひとつの定理が物理現象の解明に役立てば、経済現象にも適用できるという具合に、数学は様々な科学分野の基礎を支えている。翻って見れば、科学技術の構造変革をもたらした計算機の開発や、数理ファイナンス、複雑系等の学問分野の創造は、数学研究から端を発している。数学の成果は、社会を根底から変革する可能性を秘めている。

欧米各国は、このような数学の特徴を踏まえて、国家として数学研究を推進している。特に、近年では数学に対する公的支援として、数学と他分野との研究の連携や融合を重視している。我が国の科学技術政策においても、分野間の連携・融合を推進していく必要性が増しており、多くの分野の基礎となる数学は一層重要になるだろう。そこで問題となるのは、数学研究の推進体制自体が十分なものかどうかである。そのために産学官の関係者同士のコミュニケーションが必要である。

ワークショップ当日は、数学関連の研究者や技術者および行政関係者など約80名が集まり、活発な意見交換が行われた。冒頭の開催挨拶において、有本建男科学技術・学術政策局長(当時)は、「科学技術の理論と実験に加えて、新しい方法論としてモデリング予測、可視化といった数学に基づいた計算科学が大切になっている」、「行政や政策としても、数学が今後どうあるべきかを検討する必要がある」と問題意識を述べ、「数学研究者も積極的に外に出て (他分野の人と) コミュニケーションを図って欲しい」と要望した。

次いで、桑原輝隆科学技術政策研究所総務研究官から科学技術政策研究所の調査による日本の数学研究の現状が報告された。また、同研究所で実施した「科学技術の中長期発展に係る俯瞰的予測調査」(平成 15 - 16 年度科学技術振興調整費) の中の注目科学技術領域の発展シナリオ調査「数学の研究発展と数学教育」の執筆者である、広中平祐氏およびピーター・フランクル氏から、数学の将来展望および数学推進に関する提言が発表された。

さらに、大学からは東北大学教授で前日本数学会理事長の森田康夫氏、および北海道大学教授の津田一郎氏、産業界からは中央青山監査法人の吉田英幸氏、および㈱日立製作所の宝木和夫氏、生命科学分野からは東京大学教授の高木利久氏、の各氏から数学研究の重要性や他分野連携の必要性や問題点について発表が行われた。また、討論のセッションでは、永野博科学技術政策研究所長 (当時) をコーディネーターとして、東京大学教授の儀我美一氏から分野横断型の数学研究所構想が提案され、活発な意見交換が行われた。

以下に、ワークショップで行われた発表および討論を「日本の数学が置かれている現状」、「数学研究が新しい科学技術分野を発展させるために果たす重要性」、「数学を他分野に活用することを可能とする方策」の3つの観点で分類して示す。

「日本の数学が置かれている現状」では、(1) 論文分析から、日本の分野別の論文シェアは、化学・材料・物理では高く、数学では他の分野と比べると低いことが示され、(2) 大学の数学研究の現状と問題点では、数学者の考える時間が奪われている、研究予算状況が厳しいなどが指摘された。(3) 企業における数学研究の現状と問題点では、半導体産業においての数学研究者の重要性が挙げられ、(4) 生命科学における数学研究の現状と問題点では、数学分野からバイオインフォマティックスに参入した研究者はほとんどいないことが指摘された。

「数学研究が新しい科学技術分野を発展させるために果たす重要性」では、(1) 数学の他分野応用では、今後は生命科学が中心になると予想され、(2) 企業においては、金融リスクにおける数理的分析、情報セキュリティにおける数学の重要性が指摘された。(3) 生命科学においては、新しい数学モデルの必要性が挙げられた。

「数学を他分野に活用することを可能とする方策」では、(1) 北大の事例として先端研究のための数学センターが紹介され、その活動は数学者が他分野の問題を知る機会になること、問題発掘型の数学研究者の育成としても機能することが示された。(2) 数学を基点とする分野横断型研究拠点の提案では、数学交流センター、先端研究のための数学センター、数学情報文献センターの3センターから構成される研究所の構想が示された。また、(3) 分野横断型の数学研究には、小規模なプラットフォーム型の数学研究拠点が効果的ではないかと提案された。

今後の展開

本ワークショップを契機として、産学官の様々なレベルで、「日本の数学をどうするのか」についての真剣な議論が起こることが期待される。

今回の発表および討論では、産業界と大学において、お互いの連携の必要性や重要性を理解しながらも、双方の要望・希望(数学者がやりたい事と、数学者にやらせたい事など)が必ずしも一致していないような様子が多々みられた。「官」としては、産学連携や他分野連携を踏まえた、多様な数学研究や数学研究人材育成の支援策が急務であると考えられる。分野横断型の数学研究拠点構想に関しては、多くの賛同者を得たが、ひとつの大規模な研究所よりも、複数の小規模な研究拠点を設置することが効果的ではないかという意見にも賛同が集まった。

従って、今後も、「日本の数学をどうするのか」について、産学官で意見交換を実施し、問題意識を喚起することと共に、具体的な施策につなげて行くことが必要である。

いとう ゆうこ

1992 年 3 月千葉大学大学院薬学研究科修了 (薬学博士)。1994 年〜 2001 年工業技術院生命工学工業技術研究所。その間、米国 NIH の NCI (癌研究所) で客員研究員。2001 年〜 2002 年 9 月までローレンスバークレー米国国立研究所の任期付研究員。2002 年 10 月より現職。

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ワークショップ 「学際的研究をどう進めていくか - 生活支援ロボティクスをめぐるヒトとロボティクスの関係 -」開催

科学技術動向研究センター上席研究官 奥和田久美

文部科学省科学技術政策研究所は、7 月 21 日に六本木アカデミーヒルズでワークショップ「学際的研究をどう進めていくか -生活支援ロボティクスをめぐるヒトとロボティクスの関係-」を開催した。本ワークショップ開催の目的は 2 つあり、その第一は学際的研究の例として生活支援ロボティクスをめぐるヒトとロボティクスの関係を議論することであり、第ニはこのような機会によって学際的研究というものをどう考えていくかを議論することである。

今回、学際的研究が必要なフェーズにある研究の例として取り挙げた「生活支援ロボティクス」というテーマは、先に科学技術政策研究所が中心となって実施した「注目科学技術領域の発展シナリオ調査」(NISTEP REPORT No.96) のなかで、学際的研究が強く求められたテーマのひとつであった。また、ロボティクスに対しては多くの他テーマ執筆者からも非常に高い関心が寄せられた。

ワークショップ当日は、この分野に関心を持つ研究者・技術者および行政関係者など約 80 名が集まり、活発な意見交換が行なわれた。冒頭の開催挨拶において、科学技術・学術政策局の河村潤子総括官から「システム改革のひとつの指針として学際性を重視している。本テーマは既にそれだけでもひとつの融合的な分野であるが、今後、どのような学際的な時系列変化が起きるか関心を持っている。」との期待が示された。次いで、科学技術政策研究所の桑原輝隆総務研究官および奥和田久美上席研究官から、科学技術政策研究所の行なった種々の調査の紹介とそれらの調査結果に見る学際的研究の必要性について報告がなされた。

講演プログラムの前半では、上記「注目科学技術領域の発展シナリオ調査」において「生活支援ロボティクス」の執筆者である東北大学大学院工学研究科小菅一弘教授および ㈱ ATR 知能ロボティクス研究所萩田紀博所長から、それぞれの発展シナリオが発表された。小菅氏は地球全体にわたる高齢化現象を生活支援ロボティクス発展のニーズと捉え、サービス科学あるいはサービス工学に注目していくことを提案した。一方、萩田氏は、現在は個々に研究が進んでいるメカロボットとコミュニケーションロボットが 2015 年頃には融合する形で生活の場に入っていくという道筋を示し、特にコミュニケーションメディアとしてのロボティクス発展に多くの学際的研究を必要とするという見解を述べた。

講演プログラムの後半では、前 2 者の発展シナリオの発表を受けて、まず、サービス科学あるいはサービス工学についての話題が、日本 IBM ㈱ 東京基礎研究所の水田秀行主任研究員および東京大学人工物工学研究センターの浅間一教授から、それぞれ提供された。次に、ロボットとヒトとのコミュニケーションに関する話題が、(独) 理化学研究所動的認知行動研究チームの谷淳リーダーおよび慶應義塾大学医学部精神神経科の加藤元一郎助教授から、さらに、日常生活のなかの認知科学についての話題が、成城大学イノベーション学部の野島久雄教授から提供された。最後に、各講演への質疑や研究の進め方に対するパネルディスカッションの時間が設けられ、「ロボティクスが生活サービスに貢献する意義と影響」および「学際的研究の進め方」について活発な議論が行なわれた。

閉会挨拶では、科学技術政策研究所の小中元秀所長から「ロボット研究は以前とは全く違ったフェーズに来ており、学際的研究を促進するには制度やシステムの見直しも必要である」との見方が述べられたが、多くの聴衆からも同様な感想が聞かれた。ワークショップで行なわれた発表および討論をまとめると以下のようになる。

生活ロボティクス研究の今後の方向性

  1. (1) ロボティクスの研究は、従来中心であった機械工学や電気工学といったような工学分野とは明らかに違う方向へも大きく展開しつつある。ロボットが行なうべきサービスを科学的に検討するサービス科学やサービス工学、社会に受け入れられるシステム形成のための認知科学、といった新しい概念に関する研究が必要である。社会学や民俗学のような人文科学との協働も有効である。
  2. (2) 現在までのロボティクスの研究成果を用いて、すでに生活支援という形で社会に還元しうる幾つかのサービスが考えられる。そこでは、提供者であるサービスプロバイダのシステム整備、誰でも容易に利用しうるエディターの提供、などが有効であろう。
  3. (3) ロボティクスの研究が進むほど、本質的なヒトの認知や行動との違い、コミュニケーションそのものの理解、あるいはヒトとロボットとの社会的関係などが議論の対象になってきた。一方で、ロボティクス研究の発展によってこそ、ヒトの認知や行動の本質を解明できるのではないかといった可能性に対する期待も非常に大きい。

学際的研究の進め方に関する意見

異なる分野の研究者が会する今回のような機会に加えて、一人の研究者のダブルメジャー獲得や兼務を推奨するなど、従来の枠組みでは困難がともなうような人材育成策も今後は必要、との意見が出された。

ワークショップ 「学際的研究をどう進めていくか - 生活支援ロボティクスをめぐるヒトとロボティクスの関係 -」開催
おくわだ くみ

民間企業のエンジニアを経て、2002 年 7 月より科学技術政策研究所上席研究官。専門は材料および製造プロセス技術。工学博士。

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JUNECフォーラム2005サマーセッションプログラム受け入れ

第2調査研究グループ / 科学技術動向研究センター環境・エネルギーユニット

開催期日: 2005 年 8 月 24 日 (水) 10:00 〜 12:30
会場: 外部スペース (三菱ビル 9F 会議室)

1. 開催経緯

こども国連環境会議推進協会より、JUNEC フォーラム 2005 サマーセッション「持続可能な開発へ向けた青少年会議」のプログラムの一部として、科学技術コミュニケーションをテーマとしたワークショップ開催の依頼を受けた。

JUNECフォーラム2005

2. JUNEC フォーラム 2005 について

こども国連環境会議推進協会のまとめた開催趣旨は次のとおり。

「国連・持続可能な開発のための教育の 10 年」に向け、地域におけるエコ・リーダーとして環境保全活動を行っている青少年に対し、「持続可能な社会」を提唱する各界の発信者の『環境行動・理念』を学ぶ機会を提供し、世界の多様性に対する理解を広げ、自らの環境行動における公的な役割を啓発し、協同しながら課題を解決する力を育み、「持続可能な社会」の担い手となる次世代のリーダーとして実践活動が行える人材の育成を計画的・継続的に行ない、社会に貢献することを目的とする。

同プログラムは、中高生の参加者と大学生及び大人のボランティア計120名を募集し、8 月 22 日から 25 日まで、3 泊 4 日の日程で、国立青少年オリンピック記念センターをメーン会場、国際連合大学をサブ会場として、各種メディア、大使館、研究所、官庁等を訪問し、フォーラムやワークショップなどを開催するというプログラムである。

3. 政策研でのワークショップ

JUNEC フォーラム 2005

参加者 政策研を訪問したのは、「発展・創造」コースを選んだ中学生 15 名 (男子 7、女子 8)、高校生 3 名 (男子 3)、大学生ボランティア 7 名、引率者 3 名。当該コースは、中国大使館、日本赤十字社、ヤフージャパンを訪問し、最後に政策研でのワークショップに参加するというコース設定となっている。

政策研ワークショップの内容

◎ねらい サイエンスコミュニケーションの趣旨と精神を理解してもらうと同時に、技術予測とその発表を自ら体験することで、科学技術への興味を喚起し、併せてプレゼンテーションの楽しさを実感してもらう。

◎実施内容

参加者が作成した技術予測 技術予測の発表

◎ 予測結果

● 例題の予測結果は表の通り

  救助ロボットハッカー対策
参加者2018 年   2018 年 *
専門家2020 年   2016 年   

(* 不可能と回答した 1 名を除く)


● テーマ別予測結果 (環境・エネルギーを例に)

※ イラストに描かれた例に引きずられたものもあったが、以下のようなユニークな予測も提案された。

◎ 講評

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時計のアイコンⅢ. 最近の動き

○ 所内研究成果発表会
・8/17 渡辺 政隆: 第2調査研究グループ上席研究官
NISTEP 国際コロキアム「サイエンスコミュニケーションのひろがり」
牧山 康志: 第2調査研究グループ主任研究官
「臓器移植を事例とする科学技術の社会的ガバナンスの検討 - 中間的専門機関の重要性 -」POLICY STUDY No.10
中間報告 (案)「科学技術の社会的ガバナンスにおいて専門職能集団が果たす自立的機能の検討 - 医療の質を確保するドイツ医師職能団体の機能から -」
Sara Kranz: 第2調査研究グループ
JSPS サマープログラム "Differences and similarities in biomedical law between Japan and Europe with the focus on Germany"
中村 隆史: 第2調査研究グループ上席研究官
中間報告 (案)「数学・理科のコンクールやセミナー等への参加者のその後の進路や数学・理科に対する意識について」
・8/24 富澤 宏之: 第2研究グループ主任研究官
「トップリサーチャーから見た科学技術政策の効果と研究開発水準に関する調査」
金間 大介: 科学技術動向研究センター特別研究員
「日本企業の重要特許の成立過程に対する公的部門の寄与に関する調査 〜 大企業の研究者・技術者へのアンケート調査 〜」
細野 光章: 第2研究グループ客員研究官
福川 信也: 第2研究グループ客員研究官
「国立大学における産学官連携の動向: 共同研究及び受託研究制度の活用状況から」
○ 新着研究報告・資料
「科学技術動向 2005年8月号」(8 月 29 日発行)
レポート 1   テーラーメイド医療の進展の現状 - 国民への情報提供システム整備の重要性 -
客員研究官 曽和 義広
レポート 2   マグネシウム合金の研究開発動向 - 自動車用構造材料の軽量化の視点から -
材料・製造技術ユニット 渡井 久男
レポート 3   再生可能エネルギーの普及促進策と技術課題
環境・エネルギーユニット 大平 竜也
蔦
ふくろう
文部科学省科学技術政策研究所広報委員会(政策研ニュース担当: 情報分析課 news@nistep.go.jp)

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