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No.147 2001 1 
文部科学省科学技術政策研究所
NATIONAL INSTITUTE OF SCIENCE
AND TECHNOLOGY POLICY


間宮 馨 科学技術政策研究所長


 
目次 [Contents]  所長挨拶
科学技術政策研究所所長 間宮 馨
Ⅰ.特集「新世紀」 21世紀を迎えて  文部科学審議官 青江 茂
21世紀の科学技術の展望とそのあり方

科学技術動向研究センター特別研究員 宇都宮 博、小笠原 敦
Ⅱ.レポート紹介
日本における技術系ベンチャー企業の経営実態と創業者に関する調査研究 - 調査資料 - 73
第1研究グループ総括主任研究官 榊原 清則
Ⅲ.トピックス
実り多きNISTEPでの一年間 第3調査研究グループ特別研究員 蘇 靖

Ⅳ.最近の動き
科学技術動向研究センターの設置について 前企画課長 植田 昭彦



所長挨拶

科学技術政策研究所長 間宮 馨


 あけましておめでとう御座居ます。
 1月6日付けで、科学技術政策研究所長に就任致しました間宮です。
 昨年末、次期科学技術基本計画に関する科学技術会議の答申が行われ、年明けに総合科学技術会議を司令塔とした内閣府、文部科学省等から成る新しい科学技術行政体制が発足しました。このような歴史的転換期に、その一翼を担う重責を与えられ、身の引き締まる思いです。
 これまで、我が国は、国としての戦略が貧弱であると言われてきました。しかし、今や、5年毎に策定される科学技術基本計画をベースに、総合科学技術会議が国としての戦略を作り、予算等資源の配分方針を示し、文部科学省等関係省が個別計画を作り、実施していく、それをさらに総合科学技術会議がフォローし、評価していくという理想的な姿が実現したのです。
 これを実効あらしめるためには、それぞれの部署が、期待される役割を確実に果たさねばなりません。
 科学技術政策研究は、このような戦略作りや、計画・評価の実施にあたって、迅速かつ的確な情報を提供するとともに、より有効な政策手段の選択肢を提示することを期待されており、その中核となる当研究所の役割は益々重要となっております。
 その責務の一端を果たすため、年明け早々、所内に「科学技術動向研究センター」を発足させました。1000人以上の研究者に委嘱して、次期基本計画の4つの重要分野を中心に、世界の科学技術活動や政策立案の動きをリアルタイムで把握し、これを分析して総合科学技術会議等に迅速に提供し、タイムリーな戦略作りに資することを目的とするものです。この他、より有効な研究評価手法や科学技術指標の創出、5年毎に行ってきた技術予測を基本計画のインプットの1つとして位置付け直すこと等、国の戦略作りやその実施のためにより直接的に貢献できるよう研究所の諸活動を方向付けし、活発化させていきたいと考えております。
 このような方向の中で、最も効果的かつ効率的に成果を生んでいくために、国の内外の関係機関及び関係者との有機的連携を更に一層強めていく必要がありますし、中長期的には政策研究を支える有能な人材をあらゆる分野から糾合し、当研究所が核となって育成していかなければならないと考えております。
 私としましては、微力ではありますが、皆様のご協力を得て、全力で職務に邁進していく覚悟でありますので、御支援方よろしくお願い致します。


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Ⅰ.特集「新世紀」


21世紀を迎えて

文部科学審議官(前科学技術政策研究所所長) 青江 茂


 いよいよ新たな世紀の幕が開けました。
 単なる"棒つぎの数字の上での区切り"と言うなかれ、時代は、世紀末から新世紀へと、有無を言わさず大きく動いているように思います。
 昨年来、様々なメデイアで21世紀論とでも呼ぶべきものが大変盛んでありますが、科学技術についても、20世紀の科学技術を総括し21世紀の科学技術の姿を模索しようとの試みが多くの場で行われています。
 政策研でも、これからの百年で科学技術でどのようなことが起こり得るかについての展望を行ってみました。そこでは、神経に直結して制御できる義手・義足、常温超伝導ケーブルによる世界規模の電力ネットワーク、人工光合成、地震の時間単位の予知、個人用超小型航空機など大変夢のある課題が挙げられる一方で、遺伝子技術による疾病因子の除去に伴い多型性が失われるとか、再生治療が脳にまで及ぶといった、個人的には"やや、どうかな"と感ずることも幾つか挙がっています。100年前、当時の報知新聞が「20世紀の予言」と題した記事を載せていますが、そこでは科学技術に対する素朴な期待感で満ち溢れていたことからすれば、かなり様相を異にしています。
 今回の政策研の調査に当たって、多くの専門家の方に意見を求めましたが、こういったことが起こるであろうと意見を寄せていただいた方のほとんどの方がそれだけでなく、併せ「人間とはなにか」、「進歩とはなにか」を深く考える哲学的思想の時代になる、そのような哲学に基づいて科学技術の新しい方向性を構築していくことが必要である、科学技術が一人歩きしないように新しい倫理の確立が必要であるといった科学技術のあり方についての意見を付しておられます。
 20世紀、「科学技術の世紀」ともいわれていますが、この百年、科学技術は大変な進歩を遂げ、我々はそのもたらす便益を大いに享受してきました。が、一方で、世紀末を迎え、人々の中に、20世紀の科学技術の進歩の上に花開いた現代文明へのある種の懐疑的な気持ちが強まり、それに伴い科学技術の進歩それ自体に対する信頼がゆらいでいるのは事実であろうと感じています。
 20世紀、この百年をかけて作り上げてきた今日の科学技術を外挿した線上に21世紀の科学技術の姿を描くことができるかとの問いに対して、多くの人は否定的に考えているのだと思います。
 日本学術会議は、"俯瞰型研究"というコンセプトを提起しています。科学技術会議は、昨年、「社会とともに歩む科学技術」と題したレポートを発表しました。当研究所の小林教授が監訳した「現代社会と知の創造」(マイケル・ギボンズ編著)は現代の知識生産活動における新しいスタイルとしてのモード論を展開しています。これらは、いずれも、21世紀の新しい科学技術の姿を探ろうとの動きであり、ほんのわずかの例を取り上げたに過ぎません。世界各国様々な場所で同じ主意にいでる活動が活発化しています。
 政策研も、こういった新思潮の形成の一翼を、是非、担おうではありませんか。



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21世紀の科学技術の展望とそのあり方
−科学者・技術者1200人が予想した今後100年の科学技術の発展と問題点−

科学技術動向研究センター特別研究員 宇都宮 博、小笠原 敦*


 科学技術政策研究所では、21世紀に科学技術がどのような進展を見せるかを展望するとともに、21世紀における科学技術のあり方に関し、念頭におくべき諸点について検討した。
 検討の進め方として、現在実施途中である第7回技術予測調査の第1次アンケート調査(2000年8月発送)の際に、回答者である各分野の専門家の方々(企業、大学、政府研究機関等の研究者、技術者)に「21世紀中に実現する、あるいは実現して欲しい画期的な新技術や、これに伴う生活や社会の根本的な変化など」について、必ずしも自己の専門領域にこだわらず、自由な発想でコメントを求めた。
 第1次アンケート調査票の送付数は約4,600通、回収数は約3,800通あり、このうち21世紀の科学技術に関するコメントが記述されたものは約1,200通であった。この資料は、それらのコメントを参考にして、科学技術政策研究所においてとりまとめたものである。 とりまとめにあたっては、「こうなってほしい」、「こうなるべきだ」、あるいは「こうなってほしくない」というような視点を避け、極力「こういうことが起こり得る」という視点に立つことにした。
 なお、とりまとめにあたって取り上げなかった事項としては、以下のものがある。
 ①21世紀の比較的早い時期に実現すると思われるもの
 ②技術と関連しない社会予測
 ③タイムマシン、瞬間移動、反重力装置のような現在の科学の延長上では実現する可能性が   ないと考えられるもの
 列記した事項の中には、個々の人にとって「決してそのようなことが現出してほしくない」と考えられるものもあろうし、また相矛盾する、あるいはちょうど180度異なるものもある。しかしながら、これらはいずれも、今後の諸状況の推移次第で起こり得ると考えた。
 また、回答者の多くが21世紀の科学技術の展望を述べるとともに、科学技術のあり方に関し、求められる哲学、倫理的側面、社会との関わり等についてもコメントを付している。21世紀の科学技術を考える際には、これらの事項がこれまでに比べ格段に重要となると考えられ、それらのコメントを参考に、「21世紀の科学技術のあり方」をとりまとめた。
 とりまとめた事項は、各専門家の自由な発想を集大成したものであり、必ずしも体系的に検討を行ったものではないため、網羅性が十分でない可能性もあるが、回答者がコメントとして提案した以外の予測事項を付け加えることはしていない。
 予測事項のうち、多くの回答者が提案した代表的な事項としては、以下のものがある。
①長寿化                    ④人間・ロボットの共生
②太陽光発電の拡大             ⑤宇宙旅行
③音声言語によらないコミュニケーション ⑥自然災害の制御
 科学技術のあり方については、必要があれば科学技術の発展を社会が抑制することも含めて、科学技術の方向性を定める哲学、倫理などの確立が必要とする意見が多く見られた。Ⅰ.21世紀の科学技術の展望
1.遺伝子技術の発展
【遺伝子技術による人類の進化】
 DNA塩基配列・全蛋白の機構解明により疾病因子の少ない人類への進化が可能となる。一方、多型性に富まない遺伝子をもつ人類が増加し、その結果、感染症が死因の1位となり、人類は重大な危機にさらされる。
【宇宙進出のための人間の進化】
 人体に低酸素、宇宙線、低温・高温などへの耐性をつけるための遺伝子レベルでの処置が行われることにより、人類が宇宙進出するにあたっての様々な障害が克服される。
【人類の小型化】
 小さいほどすばらしいとの意識改革が進み、徐々に人類の大きさは小型化して行き、食糧・人口問題は解決する。
【人工生命体の実現】
 化学合成によって人工生命体が実現する。
2.脳科学の発展
【思考支援技術】
 脳のメカニズムが解明され、脳へ直接情報を記憶させたり、忘れさせたりすることができるようになる。また、経験したことが自動的に記録され、思い起こしただけで正確な情報が再生できる機器が開発され、人間の思考を支援する。
【認識メカニズムの解明】
 盲目の人の視神経または脳に直結して、物体の形、色の感覚を与えられる物体認識デバイスが開発される。
【創造的活動をするコンピュータ】
人間の脳機能(知覚、思考、学習、記憶)をも超えるコンピュータが開発され、人間並に創造活動を行うことができるようになる。
3.医療の変革
【再生医療の普及】
 生体から分離した細胞をもとに、あらゆる機能性細胞を試験管内で大量に生産する技術が確立する。これにより、再生医療が一般化し、治療後の人体は、元々の身体部分、クローン臓器、人工組織で構成されることが普通になるが、再生医療が脳にまで及ぶと本当の自分とは何なのかが問題となる。
【長寿化】
 遺伝病をはじめ全ての病気が治療可能となり、平均寿命が大幅に延びるとともに、老化の速度を制御できるようになり、健康な高齢化社会が訪れる。
【健康の自己管理】
 体内の遺伝子発現の状態を個人が家庭で測定したり、体内に常駐するマイクロ機器によって健康状態をモニターすることが可能になり、健康状態を最適に維持することができるようになる。
【マイクロロボット医療】
 体内に入って検査・治療するマイクロロボットの技術が進歩し、外科手術にとってかわるようになる。
【生体を超える義手・義足】
 5本の指と関節があり、神経に直結して制御でき、筆を持って字が書ける義手など、ロボット技術によって義手、義足が人間の手足もしくはそれ以上の能力を持つようになる。
4.食糧問題
【遺伝子技術による食糧問題の解決】
 遺伝子技術の安全性が確立されることにより、遺伝子組換え植物、動物の利用による食糧生産が増大し、食糧問題が解決される。
【遺伝子技術によらない食糧生産】
 倫理的な問題、安全上の問題で動植物の遺伝子組換え技術は普及せず、かわりに植物の光合成メカニズムを利用した人工光合成技術や、動植物幹細胞の食糧化技術を利用した新たな食糧生産が可能となり、人類の食生活を大きく変える。
5.循環型社会・経済の形成
【バイオマス社会】
 バイオマスを原料とエネルギー源とする有機工業社会が到来する。構造材はバイオマスから作られたプラスチックや繊維が多用され、電子回路も有機半導体やバイオエレクトロニクスが主流となる。エネルギーについても、バクテリアによる水素・メタンの生産を利用した燃料電池が普及する。
【ナノテクノロジーによる完全循環型社会】
 あらゆる物質(ゴミを含む)を原子レベルまで分解し、その原子を直接自由に操作して、物質や材料の合成を行う完全リサイクル技術が実現し、完全循環型の社会が構築される。
6.エネルギー供給
【宇宙太陽光発電】
 宇宙での大規模かつ安価な太陽光発電技術と安全な送電技術が確立し、宇宙太陽光発電所が実現する。
【太陽光発電の拡大】
 ビルや家屋の外壁、窓ガラス、瓦などが、すべて太陽電池の機能を持った素材で作られるようになるとともに高効率の蓄電技術が開発され、太陽光発電が全エネルギー供給の大半を占めるようになる。
【原子力の未来】
 小型でかつ安全な原子力発電の方式が開発され、原子力が基幹エネルギー源として見直される。
 さらに核融合発電技術が確立し、火力発電および核分裂式発電は全廃される。
【全世界電力ネットワークの形成】
 世界規模で常温超電導ケーブルを使用した電力ネットワークが発達し、各国間の時差を利用したピーク電力の融通など最適なエネルギー供給が行われる。
【蓄熱技術の発展】
 夏の熱を蓄積し、冬に利用できるような蓄熱技術が開発され、太陽熱エネルギーの高効率利用が実現する。
【巨大自然エネルギーの利用】
 台風、地震、火山のような自然の猛威をエネルギーに変換し利用する技術が開発される。
7.人間の生活圏の変化
【宇宙都市の実現】
 月、火星、宇宙ステーションなど地球外で生活する人は、短期的な観光旅行者も含め相当の規模に達する。また宇宙空間への移動手段もロケットだけではなく、赤道上空に静止軌道基地と地表を結ぶエレベータが設置され、大気汚染やエネルギー問題を伴わずに大勢の人を運ぶ。
 このような変革が経済発展を促す一方で、宇宙に地上の国境線を持ち込むことの不合理性が顕在化し、主権国家から独立した国際宇宙機構が誕生する。
【地下の利用】
 工業生産は全て地下で行われ、地表は食糧生産、生活の場となる。
【人間圏と自然圏の分離】
 人間の生活・生産などの活動は基本的に100万都市が入るような巨大な閉鎖空間、あるいは宇宙都市、地下都市、海底都市の中で行われ、地球規模で自然が回復する。
【シェルターに住む人類】
 大気汚染、オゾン層破壊が深刻となり、都市、住宅はシェルター化せざるをえず、人々は完全に外気と隔離された人工空間の中で生活するようになる。
【生物多様性の維持】
 自然環境や生態系の維持・管理技術が発展し、生物種の絶滅がなくなり生物の多様性が維持される。
8.20世紀の「負の遺産」の処理
【環境を修復・改善する生物】
 不毛の地を緑化できる植物、窒素酸化物を吸収して空気を浄化する樹木、海や湖の汚染を浄化できる生物サイクル技術などが実現する。
【温暖化ガス対策】
 二酸化炭素の深海、宇宙空間への投棄、バイオ技術による固定法(サンゴなど)が確立される。
【オゾン層の修復】
 オゾン層の修復が可能になる。
【地雷除去バクテリア】
 地雷のみに反応して、これらを安全に化学分解し土に返してしまうというような、地雷を無力にする特殊なバクテリアが開発される。
9.コミュニケーション
【音声言語によらないコミュニケーション】
 脳の活動状態を検出・解読し、信号に変換・伝送する技術により、人と装置、人と人との伝送波による直接通信が可能になる。例えばコンピュータへの入力も直接脳から行い、テレビのような放送も直接脳が受信するようになる。また、これを応用して動物とのコミュニケーションも可能になる。
【空間映像技術】
 空間に立体映像を映すことができる技術が開発され、液晶ディスプレーのような表示装置は姿を消す。立体映像テレビは、「におい」、「質感」などの情報も提供し、あたかも現場にいるような臨場感あふれるものとなる。
【自動翻訳を駆使した多様な言語の共存】
 音声翻訳技術の普及により、世界人口の80%以上の人々にとって母国語で会話や議論が可能な環境となり、経済・社会・文化の交流が極めて豊かになる。
【世界言語の統一】
 情報やモノの流通が地球の隅々まで行われることにより、次第に言語も統一されて国家概念が無くなる。
【人間・ロボットの共生】
 人間と同等以上の運動機能と一定の知的判断機能を有する完全自律型ロボットが誕生する。人々の生活に密着したところで、人間とロボットの共生が始まる。
10.政治
【コンピュータ化された民主主義】
 コンピュータによる最大多数の最大幸福の総合計算を信頼する社会合意がなされ、政府の政策、予算案等で適用されるようになる。
11.交通と旅行
【陸上交通機関の脱化石燃料化】
 燃料電池、小型大容量の蓄電池による電気自動車が主流になり、ガソリンや軽油等の化石燃料を使用する内燃機関の車がほとんど無くなる。
【新たな公共交通】
 日常生活圏を移動する交通機関は、個人が所有・運転する自動車から、公共が管理・運行する太陽光などの自然エネルギーを利用した自動車となる。この自動車の利用は誰でも希望すればすぐに用意され、自動運転で目的地まで乗ることができる。
【空中移動の拡大】
 自動車に代わるような個人用の超小型航空機が広く普及し、個人の移動手段は空中移動が中心となり、世界の至る所に移動できるようになる。
【宇宙旅行】
 宇宙旅行の一般化が進み、月や火星などへのツアー募集を日常的に見かけるようになる。
【深海旅行】
 1,000mを超える深海探検ツアーが人気を呼び、深海遊覧ビジネスが盛況となる。
12.安全・安心
【自然災害の制御】
 大気、海洋、大陸のモニタリング技術が進み、気候変動や環境変化の正確な予測、地震の時間単位の予知が可能となる。さらに、気象・自然現象のコントロールが可能となり、台風・地震・竜巻などの天災を未然に防ぐことができる。
【犯罪防止】
 倫理観、道徳観の欠落や、衝動的な犯罪行動と脳機能との関連性を解明することにより、それらの対応策が確立して犯罪がほとんど無くなる。
【ヒューマンエラーの防止】
 安全性を確保するためのシステム技術、例えば、病院で医療ミスが起こりそうになったとしても、それが深刻な状態に陥らないようなシステム技術(人と情報と機械を含むシステム)が確立し、人のミスに起因する事故がほとんど無くなる。
【交通事故の解消】
 自動車の自動運転化、安全機器の発達と交通インフラの整備により交通事故がほとんどなくなる。
【安全な輸送システム】
 事故を全く起こさない航空機などの交通システムが実現する。Ⅱ.21世紀の科学技術のあり方
1.21世紀の科学技術に関する哲学の構築の必要性
 20世紀の科学技術のめざましい発展は生活を豊かにすることに大きく寄与したが、その反面物質的な充足が必ずしも人類の幸福に結びつかず、地球環境の破壊など負の側面も目立ってきている。21世紀は、「人間とは何か」、「進歩とは何か」という命題、さらに「満足とは何か」という情緒的なことを深く考える哲学的思想の時代になる。このような哲学に基づいて、科学技術の独走を抑え、社会・文化面、精神面などの要素をとりいれた、科学技術の新しい方向性を構築してゆくことが必要である。
2.科学技術に関する新しい倫理の確立
 20世紀の科学技術は強者・多数のためのものという色彩が強かった。南北格差、環境破壊、生命倫理に関わる問題などは、20世紀の負の遺産である。21世紀の科学技術は、弱者や少数の立場の人々もその成果を享受できるものでなくてはならず、技術が一人歩きしてしまわないように、倫理面から一定の規制を設ける必要がある。また、すべての人々にとっての「安全・安心」は、技術を評価していく上での重要なフィルターになろう。
3.精神的な充足をもたらす科学技術の必要性
 19世紀、20世紀は科学技術の急速な進展による物質文明の発展の世紀であった。同時に科学技術の発展はその成果を享受できる人間とできない人間を生み出した。21世紀にはこうして発展した文明社会を人類全体が共有していくため、人間の精神活動とその健全さが一層重要となる。人間の精神的な充足に寄与する科学技術を求めて行かなくてはならず、そのためには、人間の精神的な充足そのもの(脳機能)を科学的に研究していくことも非常に重要となる。
4.自然との共生を可能とする科学技術
 20世紀の過去50年間は「作ること」の科学技術が目覚ましい発展をもたらした。反面、地球環境の破壊などの、負のインパクトも生まれ、21世紀への負の遺産として残された。技術革新は自然界に存在しない事象を作り出すことにつながるため、自然界に対する影響をいかにしてミニマイズしていくかが重要な課題となる。「人類の幸福」に内在する「自然界の法則に反する人類の欲求」をどこまで充足すべきなのか、21世紀は自然と人間が共生できる道を探るとともに、環境に対する人類の感受性を高めつつ、環境調和型の科学技術の新しい方向を考案する時代でなくてはならない。
5.科学技術に対する社会のより深い関わり方の必要性
 21世紀には各種の画期的技術が実現すると考えられるが、常に地球規模の視点に立って考えていくことが重要であり、一つの技術に対し多面的な考察を徹底的に加え、科学技術の影響を評価・予測し、その結果次第では科学技術(知的な探究そのものや情報の流通)を制限することが必要である。このため、科学者・技術者は技術の進歩に対して夢を語るばかりでなく、それに対するリスクを推定し、説明する責務を果たすと共に、社会の側においても科学技術に対する関心と知識を持ち、地域、国家あるいは人類といった視点から適切な評価・判断を下していく枠組みを作って行かなくてはならない。
6.科学技術と人文社会科学の交流・融合の必要性
 約2500年間の「人類の知の歴史」をひもときながら、何のための経済成長か、何のための科学技術向上か、私達が抱えている問題の本質は何かなどを考えなくてはならない。生命科学と情報技術の進歩は、人類社会の存在を根本的にゆるがしかねない可能性を持っており、経済以外の、社会要素を大きく取り入れた、科学技術の新しい方向性を探りながら、技術展望を行うためには、すべての科学分野―人文科学、社会科学、自然科学―の共同作業が不可欠である。21世紀には、従来以上に、科学技術と人文社会科学の交流、融合を進めると共に、来るべき時代に対応できる人文社会科学の発展が不可欠である。
7.科学技術教育の充実の必要性
 我が国の科学技術の将来を考える場合、科学教育の重要性は言うまでもない。研究者の育成と産業の発展という観点からだけではなく、社会が科学技術を理解・判断し、受け入れるという素地を作らなければならない。その点で、現在の日本のおかれている状況は大変厳しい。教育ビジョンを立て、長期的な視野を持った科学技術教育の拡充を図ることが重要である。さもなければ、今後20〜30年後には、人材と技術の空白期間が間違いなく訪れ、優秀な外国人雇用に向かわざるを得なくなるのではないか。

*この調査は宇都宮 博氏、小笠原 敦氏、桑原輝隆氏によって、調査資料 - 75 「21世紀の科学技術の展望とそのあり方」としてとりまとめられました。なお、第4調査研究グループは2001年1月6日付けで廃止され科学技術動向研究センターとなりました。



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Ⅱ.レポート紹介



日本における技術系ベンチャー企業の経営実態と創業者に関する調査研究 - 調査資料 - 73

第一研究グループ総括主任研究官 榊原清則*


 本報告書は、平成11年9月に科学技術政策研究所において実施された質問票調査「科学技術系ベンチャービジネスの創業と経営実態に関する調査」の結果をまとめたものである。本調査では、創業10年未満で科学技術を基礎とする新規創業企業約1400社(回答企業)に関して、創業時の状況、現在の経営状況、株主構成、経営者の個人属性、技術基盤、大学等との連携の実態、など多岐に渡る項目について検討している。わが国には中小企業を対象とした類似の既存調査はいくつか存在するが、本調査のように、創業間もない科学技術系新規創業企業に調査対象を限定した大規模調査は皆無に等しい。以下では、本調査の回答企業について、その平均像を素描してみることにしたい。
 はじめに、回答企業の本社所在地・所属業種・設立からの経過年数について概観する。まず、回答企業の本社所在地の上位3地域は、東京18.1%(248社)、神奈川9.1%(125社)、愛知7.4% (101社)となっている。技術系ベンチャー企業は、いわゆる三大都市圏に集中していると言えるかもしれない。次に、回答企業の所属業種を見てみると、「電気機械製造業」に所属する企業が30.9%と最も多く、続いて、「その他製造業」(15.4%)、「精密機械製造業」(12.7%)、「機械機具製造業」(10.6%)の順となっている。上記の業種分類とは別に、回答企業に対して、「バイオ関連」か、「インターネット関連」か、について尋ねたところ、バイオ業種に属する企業は49社、インターネット業種に属する企業は111社見られた。調査時点で見て回答企業が設立以来何年を経過しているかを「社齢」と呼び、それらを計算すると、回答企業全体における社齢の平均はおよそ9年3ヶ月である。また、特に、バイオ関連企業とインターネット関連企業について「社齢」を見ると、バイオ関連企業8.0年、インターネット関連企業6.6年となっており、予想通り、近年になって設立された若い会社が多い。
 回答企業の「規模」と「財務内容」に関しては、次のように整理することができる。回答企業の規模を「総従業員数」(パート・アルバイト等の非常勤を含む)、「事業所数」、「資本金」という3つの側面からとらえると、回答企業の平均総従業者数は、約38人であり、事業所数の平均値は1.37ヶ所である。事業所数については、製造業企業についてのみ調べてみると、平均1.06ヶ所という結果が得られている。回答企業の資本金を概観してみると、最頻値は1000万円の369社、二番目が300万円の263社である。1000万円および300万円は、それぞれ、株式会社・有限会社設立の最低資本金に相当するから、本調査の結果は、回答企業が、法の要求する最低資本金を用意して、株式会社か有限会社か、そのいずれかの会社形態で創業している例が多いことを示している。回答企業の財務状況(直近の値を用いた)の平均像としては、総資産7億4千万円、固定負債1億8千万円、自己資本1億5千万円となっている。このうち現在の固定負債総額の内訳を見ると、銀行融資(57.5%)と公的融資(25.3%)が大きなシェアを占めている。日本の技術系ベンチャー企業においては、銀行融資と公的融資が重要な役割を果たしていることが読みとれる。
 回答企業の業績を「直近の売上高および営業利益」で見ると、売上高および営業利益の平均値は、それぞれ、9億6千万円、および、3000万円である。また、成長性の指標として、売上高および総従業員の成長率(1994-1998年の年平均成長率)を見ると、売上高成長率は24.9%、総従業員成長率は11.2%となっている。ベンチャー企業ゆえ、いずれの指標においても2桁成長を遂げているが、それでも飛び抜けて高い成長率であるとは言えないように思われる。上記の業績指標とは別に、回答企業の経営担当者自身に、業績の自己評価を聞いたところ、「成功」(および、まずまず成功)と自己評価している企業が全体の54%程度を占めている。なお、業績に関して、売上高・営業利益等の客観的評価と自己評価の相関を見てみると、両者の間には一貫した関係が見られることも示される。
 回答企業を「独立系ベンチャーか否か」、および「株式公開(IPO)志向か否か」の2点から類型化してみると、他企業の子会社あるいは関連会社である企業は全体の18.8%(独立系企業81.2%)を占めている。また上場志向に関しては、株式公開を目指している企業は全体の25.1%である(既に上場している企業は4社)。株式公開・上場の目的としては、成長目的が最も重要で、それと並んで人材関連目的も重要であるが、対照的に、資金目的はそれほど重要でないことも特徴として挙げられる。 回答企業の「創業時の資金調達状況」について整理してみると、回答企業の40.3%が創業に当たり個人資産を担保に借入を行っていることが示される。また創業資金の主な借入先は、銀行が50%、公的機関が15.8%となっており、日本の技術系ベンチャー企業は、創業時点でもその後の事業遂行においても、銀行と公的機関の融資に依存する面が強いこと示す結果となっている。なお、回答企業における株式保有比率を見ると、自己株保有比率(経営者自身、その親族、および、親族の経営する民間企業が保有する株式の総和と、全株式との比率)は、平均60.2%と高い。しかし同時に、自己株保有比率は、最近設立された企業においては低下傾向にあることも観察されている。
 起業の動機としては、「挑戦」、「機会の発見」、「自己実現」、の順になっている 。さらに、起業時に事業の中心となる技術があったと回答した企業は1304社中988社 (75.8%)になっている。
 産官学のインタラクションについては、産学共同研究を実施した経験のある企業は全体の21.3%であり、その大半は1〜2件の実施となっている。本調査によれば、大学との共同研究を実施した技術系ベンチャー企業は、そうでない企業に比べて、より成長志向が強く、研究開発投資に積極的であり、実際に、売上高においても高成長を示していることがわかる。
 最後に経営者の平均像について概観してみよう。回答企業の経営者のうち、80.5%は創業者である。創業経営者の平均像としては、98.6%が男性であり、平均年齢は52.2歳(起業時の平均年齢は43.9歳)、また創業経営者の55.9%が大学卒業者となっている。また、創業経営者の職歴を見ると、大企業からのスピンオフが相対的に多いことが指摘される。なお、ここで特筆すべきは、日本の技術系ベンチャー企業の創業者が相対的に実務経験豊富な年長者でありかつ、その年齢の高齢化が長期的に進んでいるという点である。
* このレポートは古賀款久、本庄裕司(客員研究官)、近藤一徳(元第1研究グループ特別研究官)との共著です。
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Ⅲ.トピックス


実り多きNISTEPでの一年間

第3調査研究グループ特別研究員 蘇 靖


 私はSTAフェローとして、1999年11月から2000年11月までの一年間をNISTEPで過ごしました。私の研究課題は「日本と中国における地域イノベーション・システムの比較研究」でした。第3調査研究グループの渡辺総括、権田客員総括研究官、同僚たちの指導と協力により、私のNISTEPでの研究は、とても充実したものとなりました。このことは私の将来の政策研究、マネジメントに大変役立つことになると思います。
 日本と中国における地域イノベーション・システム及び、両国の経済開発や科学技術政策の一般的な背景を体系的に比較しました。また、地域イノベーション・システムの理論的フレームワークを分析し、両国の地域の科学技術振興とイノベーションを促進させるための重要施策や制度を比較、分析しました。企業、特に、中小企業は地域イノベーション・システムの中核なので、中小企業の現況、政策傾向、財政支援制度を比較しました。最終的には、日本と中国から4つの典型的な地域を事例研究の対象として選び、いくつかの結論を提示しました。
 この研究により、世界経済のグロバリゼーションの下では、地域の果たす役割は非常に大きく、地域イノベーション・システムを通して地域の経済開発と技術革新の研究のためのフレームワークを得ることができたと思います。また、地域イノベーション・システムは地域レベルでのイノベーションの過程に影響を及ぼす政策や制度の複合体であり、かつ政府、大学、研究機関、企業の仲介者から成っており、企業はそれらの中核に位置していると言えます。
 日本と中国は科学技術振興とビジネスイノベーションを促進するための多数の効果的な施策や制度を作り、実行してきました。それらの施策や制度は重要な役割を果たしています。しかし、それらの大部分が「上から下への方向」の努力であり、「下から上への方向」の努力が求められます。地方政府の役割は十分に果たされるべきです。また、どの地域も、成功するためには、「優れた特性」を活かして、「追随志向」にならず、むしろ「イノベーション志向」でいかなければならないと思います。
 地域イノベーション・システムのハード面とソフト面のメカニズムのなかで、ソフト面のメカニズムの役割の達成をさらに促進する方法が非常に重要な課題となります。国立研究所と国立大学の評価システムは研究の向上を促進するために、完成され、さらに強化されるべきです。大学における技術移転と新しいビジネスの起業については、教授が大学でのスピン・オフ効果を生み出せるよう、一層解放された政策環境作りが必要不可欠です。
 科学技術の進歩に依存しながら地域の人々の生活向上を図る方法や、あらゆる危険と災害を回避するための能力を向上させる方法や、地域の知識の蓄積の仕方や、地域の競争力を強化する方法等に関する研究は、今後地域の科学技術政策研究の中心的課題とすべきでしょう。
 日本と中国の間には、多大な相互利益協力の機会があります。特に地域科学技術振興と地域イノベーション・システムの分野では然りです。例えば、両国の大学のサイエンスパークとクラスタに関する研究では、共同研究が必要です。そして、国際的なフォーラムやヴァーチャル国際ネットワークは、政策立案者、学者、研究者の間での定期的なコミュニケーションの交換の場として必要です。
 NISTEPは日本における科学技術政策研究の最先端に格付けされる非常にオープンで活発な研究所です。ここでの私の同僚たちは毎晩遅くまで一生懸命仕事に取り組んでいます。私はNISTEPに一年間滞在できたことを非常に幸せに思います。一年間はとても短かったのですが、私はこれからも末永く、政策研と協力し合いたいと願っています。
 私は中国の科学技術省に戻り、科学技術政策研究、プロジェクト管理、政策立案などを行いますが、NISTEPでの1年間の経験は私の将来の研究に大変有益なものとなるでしょう。
 日本での科学技術政策の知識、特に地域科学技術振興政策は中国の政策研究、政策策定の参考となると思います。
 最後に、政策研の皆様、特に青江所長、柴田前所長、渡辺総括、権田客員総括研究官、三島さんを始め、第3調査研究グループの皆様に心から感謝申し上げます。
* この原稿は蘇氏の英文原稿を第3調査グループの三島さんが和訳したものです。
蘇氏の政策研での調査研究は調査資料 - 74「The Comparative Study of Regional Innovation Systems of Japan and China」としてまとめられました。(担当:第3調査研究グループ)



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Ⅳ.最近の動き



科学技術動向研究センターの設置について

前企画課長 植田 昭彦


 当研究所では、本年1月6日、重要研究分野の科学技術動向についての調査研究機能の強化を目的として科学技術動向研究センター(以下「センター」という。)を新たに設置しました。センターの任務、構成等は以下のとおりです。なお、センターの設置に伴い第4調査研究グループは廃止しました。1.センター設置の趣旨
 世界の中で米国に次ぐ第2位の科学技術力を保有し得ている我が国の科学技術政策に最も強く求められるものは、先見性のある、独自の政策を立案する能力です。
 先見性のある、独自の政策を立案するためには、国内における研究開発現場の動向やその水準は勿論のこと、世界各国における先端的な科学技術動向、科学技術政策担当部局の動向などについての迅速かつ正確な把握、及びそれらを踏まえての将来の方向についての分析が不可欠となります。今後このような調査・分析機能の格段の充実強化が必要です。平成13年1月には、内閣府に総合科学技術会議が設置されました。総合科学技術会議には、各省庁の枠を超えた科学技術政策の総合司令塔としての役割が期待されていますが、その役割を十全に果たすためには、同会議の審議機能を支える客観的かつ十分な調査・分析機能が必要です。このような状況に対処するため、当研究所における重要研究分野についての科学技術動向の調査・分析機能の充実強化を図ることを目的として、センターを設置します。2.センターの任務
 センターにおいては、当研究所の研究グループ及び調査研究グループとの連携を図りつつ、重要研究分野(科学技術基本計画の定める重要8研究分野)について、その現状、将来動向等についての体系的かつ先見性のある調査・分析を行います。また、当研究所で従来より行っているデルファイ法を用いた「技術予測調査」を引き続き4〜5年毎に実施するとともに、新たな技術予測手法に関する調査研究を行います。
 センターにおける調査研究の成果は、総合科学技術会議が作成する「科学技術基本計画」、文部科学省が作成する「研究開発計画」等に反映させる他、研究評価、政策評価など行政部局における政策の企画立案の基礎的資料とすることを主な目的としますが、民間企業を含む国民全般にも成果を幅広く提供します。
3.センターの構成等
 センターには、センター長の他、5つのユニットを置きます。それぞれのユニットでは担当する研究開発分野の科学技術動向等についての調査・分析を行います。センターの組織、担当分野等は適宜見直しを行うこととしています。


4.センターにおける主な業務
(1)専門家ネットワークによる分野別先端的科学技術動向に関する情報の収集・分析
 産学官の多数の外部専門家とセンターとの間で、インターネットを利用した情報ネットワークを形成し、双方向の情報交換を行い、国内外の研究開発動向の情報収集、分析を行います。
(2)科学技術の現状及び将来動向についての調査・分析
 我が国が直面している諸課題に対する技術対応力、研究分野としての国際的な観点を含む水準など、我が国の科学技術の現状についての分析を行います。さらに、重要な研究分野又は領域について、それぞれが全体としてどのような方向に進展していくのか、その中で特に注目すべきキーテクノロジーの将来の発展の見通しなどについて、マクロ及びミクロの両面からの分析を行います。
(3)技術予測に関する調査研究
 当研究所では、従来よりデルファイ法による技術予測調査を定期的に実施しているところです。今後、科学技術基本計画における重点化等に資するための基礎的データ等を得ることを目的として、センターにおいて本調査を引き続き定期的(4〜5年毎)に実施します。またデルファイ法以外の新たな予測手法(技術課題の重要度の選定に対応する手法を含む。)に関する調査研究を行います。5.センターの運営
 センターでは、重要研究分野の科学技術動向について、行政職職員と産学官の専門家(客員研究官を含む。)が一体となり多面的、多角的な視点からの調査・分析を行います。また運営にあたっては、特に以下の事項に留意することとしています。
(1)行政部局との連携・協力
(2)調査研究機関等の関係機関との連携・協力
(3)諸外国の関連機関との連携・協力

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○ 人事往来

平成13年1月6日付
・所長                   青江 茂(異動先:文部科学省文部科学審議官) 
                       間宮 馨(旧:科学技術庁科学技術政策局長)
・総務研究官               市丸 修(異動先:宇宙開発事業団)
                       永野 博(旧:科学技術庁科学技術振興局担当審議官)
・企画課長                植田昭彦(異動先:文部科学省科学技術・学術政策局科学技術振興調整費室長)
                       斎藤尚樹(旧:科学技術庁科学技術政策局政策課長補佐)
・科学技術動向研究センター長   桑原輝隆(旧:第4調査研究グループ総括上席研究官)

○ 主要来訪者一覧
・11/28,29      Mr. Heikki Kalio:アカデミー副理事長他 フィンランド
・11/28,30      Dr. Le Thi Hai Le:国立科学技術政策・戦略研究所研究員 ベトナム
・11/19-12/15   Ms. 劉 彦:中国科学技術部科学技術促進発展研究中心 副研究員(助教授)中国
・11/24(3ヶ月)   Mr.劉 春成:中国科学技術部科学技術促進発展研究中心 助理研究員 中国
・12/7        Dr. Szabo:科学技術担当次官補 ハンガリー
            Dr. Vago:在日ハンガリー大使館科学技術担当参事官 ハンガリー
・12/10(3ヶ月)   Ms.樊 立宏:中国科学技術部科学技術促進発展研究中心副研究官 中国


○ 講演会/コンファレンス
・11/20       「シリコンデバイスの技術動向とその限界」
            大見 忠弘:東北大学未来科学技術共同研究センター教授
・11/29-30     政策研国際コンファレンス「起業家精神とナショナル・イノベーション・システム」
            概要報告[PDF]は,政策研ホームページよりダウンロードできます.
    



編集後記


 

 新年明けましておめでとうございます。
 今月号は「新世紀」特集として「100年予測」を取り上げております。子供の頃見た漫画やSFの世界でしかなかったことが次々と現実になっていく様を見せ付けられていくのは楽しみであり、一方でどこまでも突っ走っていくような科学技術は、また不安でもあるというのが我々庶民の感覚でしょうか。
 2001年は省庁再編の年、当研究所も文部科学省科学技術政策研究所として新たなスタートを切りました。当研究所も7月には新庁舎に移ります。今年もよろしくお願いいたします。(k)




文部科学省科学技術政策研究所広報委員会(政策研ニュース担当:情報分析課)

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