No.125  1999 3 
科学技術庁 科学技術政策研究所
NATIONAL INSTITUTE OF SCIENCE
AND TECHNOLOGY POLICY


リーゼンフーバー元ドイツ研究技術大臣との「調査研究の進め方などに関する」意見交換のようす

目次 [Contents]  Ⅰ.レポ−ト紹介
「将来の科学技術に関する世論調査」          木場2調上席研究官
「特許と科学技術論文の形態比較」           藤垣2研主任研究官
ベ−ンマ−ティン(サセックス大学SPRU所長)講演概要  富澤2研主任研究官
Ⅱ.海外事情
リゼンフ−バ−元ドイツ科学技術大臣の来訪
-「調査研究の進め方などに関する意見交換」-      企画課
Ⅲ.トピックス
「日本の2次会」                   劉 海波特別研究員
政策研との共同研究                  原田客員研究官
                         
Ⅳ.最近の動き

Ⅰ.レポ−ト紹介

「将来の科学技術に関する世論調査」
木場2調上席研究官

 2月6日、総理府が行った世論調査が公表された。この調査は現在及び将来の科学技術についての意識について、18才以上の一般国民3,000人を対象に行ったものである。調査自体は昨年10月〜11月に行われた。回答率は70.5%であった。過去に総理府による科学技術をテーマとした世論調査としては、昭和56年に「科学技術に関する世論調査」が、昭和62年、平成2年、平成7年に「科学技術と社会に関する世論調査」が、実施されている。

1.調査結果の概要
 今回のアンケート調査は総理府広報室が実施したが、当研究所は調査票の設計段階で協力を行った。この調査票の設計段階での協力という形式は、前回の調査でも同様である。科学技術に関する社会調査について、当研究所が外部機関と連携したものであり、当研究所の行政部局に対するアドバイザリー機能が発揮された良い例であるといえる。主な結果は、以下のよう。
(1)科学技術に関するニュースや話題に「関心がある」と答えた人は全体の58.1%で、前回の55.6%と比べ、大きな変化はない。
(2)コンピュータの普及に伴い、仕事や家庭でコンピュータを利用している人は図1のように前回調査に比べ、順調に増えている(前回21.2%→今回27.8%)また、コンピュータを利用している人のうち、ネットワークとして使っているのは44.6%に達している。
(3)今回新たに行った「将来の科学技術が果たす役割」についての設問では、「安全性の向上」、「効率性の向上」が重要であるとした人が8割を超えた。
(4)公的機関が中心となって進めるべき科学技術分野として上位にあげられるのは図2のよう。廃棄物の処理・処分、資源の開発やリサイクルなどが前回と比べて10%近く増加している。
   1位 地球環境や自然環境の保全(前回59.6%→今回62.9%)
   2位 廃棄物の処理・処分(前回47.8%→今回57.8%)
   3位 資源の開発やリサイクル(前回45.2%→今回54.2%)
   4位 高齢者や身体障害者の生活の補助(前回44.4%→今回51.8%)
  防災や安全対策については、前回調査は阪神淡路大震災直後だったので高い値であったが、今回はやや減少している(前回54.6%→今回50.4%)。
(5)今回新たに設問した科学者や技術者に話を聞いてみたいと思う分野は以下のよう。
   1位 地球環境問題(63.0%)
   2位 生命に関する科学技術や医療技術(57.0%)
   3位 エネルギー問題(41.1%)
(6)今回新たな設問を行った新領域を切り開く宇宙開発と海洋開発についての期待として一番多かった答えはそれぞれ以下のようである。
   ①宇宙開発・・・ 夢とロマンの実現(49.0%)
   ②海洋開発・・・ 人類の活動領域の拡大 (36.5%)

2.調査の意義と限界
 本調査の社会的意義について考えてみる。民主主義が政治の基本原理である以上、科学技術政策は国民の意思を十分汲み上げて、策定されなければならない。また、科学技術は国民生活の多くの場面に影響を与えているのはいうまでもない。国民の意思を汲み上げるのに、最も直裁な形式は、この種の直接の国民へのアンケート調査である。そこに本世論調査の必要性がある。今回の調査は、国民の意識を浮き彫りにしようとしたものである。
今回の調査で、いくつかの問は前回と同じであるので、1.概要で述べたような時系列的な意見の変化をみることができた。(回答者が選択をするのに紛れがないように選択肢や問の形容を少し変えた問もある。それらは前回との比較はできない。)この結果は、一般国民の科学技術についての意識の推移を観察する絶好の材料を与えてくれる。科学技術白書や、当研究所の科学技術指標などで引用されるであろう。科学技術政策の基礎資料として活用される。今後とも、この種の調査が数年おきに実施されることを望む。
 ところでこのデータを活用する場面である科学技術政策は、科学技術の専門家の意見によって主に形成されている。いわば専門家指向が強い分野である。国民及び国民の代表たる国会議員の意見を尊重する建前であるが、国民の意見というものを綺麗に取り出し、しかも専門家の意見に比肩するだけの重みを持たせるという手段は現実にはない。このアンケートは国民の意見を目にみえるものとする一つの手がかりであろう。しかも科学技術という専門的な事項のアンケートとしては、70.5%という回答率は非常に高いといえる。
他方、この種の調査に限界があることを認識すべきであろう。アンケートに答えはしたけれども、はっきりとした意識があってのことではないという場合もあるし、ここには現れてこなかった意識もあろう。例えば、本アンケート調査を回答した人の身になって考えてみると、将来の科学技術について聞かれて、戸惑った人もいるのではないだろうか。最初の設問は、科学技術についての関心である。このとき回答者は科学技術という言葉から何を連想しただろうか。本調査にあるようなコンピュータや宇宙開発を連想した人も多いだろうが、ココアや赤ワインが健康に良いというテレビ番組の情報も一種の科学技術情報だと考えた人もいるかもしれない。一般国民の科学技術についての連想は、科学技術庁や科学技術会議が議論している科学技術の内容とややずれがあるかもしれない。そのように考えると、アンケートだけではやや一方向的であり、国民の意見と専門家の意見を統合する、そんな科学技術政策形成手段が求められているのではないかと思われる。それは残された課題である。

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特許と学術論文の形態比較〜記述形式・内容の分析と、インタビュ―による執筆動因分析
-Discussion−paper No.7-


第2研究グル−プ特別研究員 藤原直也
   同グル−プ主任研究官 藤垣裕子

  研究開発活動の成果としての「知識産出」の形態を概観した場合、特許と学術論文は、科学技術分野における二大産出形態であると言える。しかし我が国においては、官学研究セクター、特に大学における特許活動が不十分であるとの指摘が高まりつつある。本研究では、このような傾向が生じた原因を、特許と学術論文の内容や目的、これらを産出する科学者の執筆動因分析、学界における特許と学術論文に対する評価、などの観点から、比較、考察することを目的にしている。
 具体的には、特許データベース検索等により産・官学の研究セクターの特許活動等を概観したのち、同一技術内容を記載した特許と学術論文の比較実例調査および学術論文と特許の双方を多数執筆されている研究者へのインタビューを実施することにより、両者の比較分析を試みた。
 その結果、まず特許データベース調査からは、日本の大学出願特許数は、日本の民間企業や米国大学の出願特許数に比べて、大幅に少ないことがわかった。また、研究者へのインタビュー調査からは、官学研究セクターの知識産出形態は、多数の特許に発明者として名を連ねている研究者の多くでさえ、学術論文の執筆を優先し特許はさほど重要視しない「論高特低」の傾向が顕著に見られた。
 次に、学術論文と特許の記述内容の比較からは、学術論文における記述内容が当該論文で証明された事実にとどまるのに対し、特許では発展の可能性を膨らませて記述する傾向があること、学界では研究業績として特許活動は評価されないこと、等がインタビューにおいて指摘された。前者は、同一内容を記述した学術論文及び特許を実例とした調査においても確認された。但し、技術領域や学術誌の種類によってはその傾向が異なることも考えられるので、今後、より踏み込んだ検証と考察が必要と思われる。
 こうした現象が生じた原因を以下のように考察した。まず、学術論文と特許における内容の相違は、それぞれの執筆目的の相違を反映した特徴を有している。すなわち学術論文は、当該研究で明らかにされた事実に焦点を当て、再検証可能な情報を含む成果に公表を限定しており、これにより正確な知識の伝達とこれから展開する『新たな真理』の発見を促す役割を担っている。一方、特許は権利確保のため、厳密な定義による権利の明確化と幅広い記載内容による広範な権利の獲得を狙った記述が見られた。
 また、官学研究セクターにおける特許活動が低調である原因の一つは、学界における特許の評価が非常に低いことが主な原因であることが示唆された。さらに、学界における特許出願にかかわる支援制度が充実していないため、出願にかかわる作業が研究者にとって多大な負担となっていることもその一因と思われる。
 今後、「研究成果の社会および国民への還元」の観点から、知的所有権の保護を図りながら、産学連携の更なる強化を指向する政策を選択する場合、官学研究セクターにおける「論高特低」の研究成果公表の価値づけの傾向を変えてゆく必要があると考えられる。このことは昨今議論の対象となっている、大学や国立研究機関などの「評価」の問題とも関係してくる重要な視点であると思われる。この点は、官学研究セクターにおける特許活動を活発化させるための各種制度の整備・充実と並んで、学界、研究者へ意識の変革を求めてゆく上で重要な論点と考えられ、活発な議論がなされることが期待される。
(藤原氏は、’96年10月〜’98年10月の間政策研の研究に従事し上記研究をまとめられた。現在、神戸製鋼(株)に勤務。)

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「英国のフォ−サイトプログラム」及び「化学技術政策研究の将来」
ベ−ンマ−ティン(サセックス大学 SPRU所長)の講演概要


第2研究グル−プ主任研究官  富澤宏之

  当研究所では、平成11年1月18日および同26日にベン・マーティン(Ben Martin)教授による講演会を開催した。講師のマーティン教授は、定量的指標を用いた研究評価手法の研究や研究開発活動の分析、あるいは英国の技術フォーサイト・プログラムの推進者として広く知られる世界的な研究者であり、現在、英国サセックス大学・科学政策研究ユニット(SPRU: Science Policy Research Unit)所長を務めている。科学技術政策研究者としての業績に加えて、英国やEUの科学技術政策形成に大きな影響力を与えていることで知られている。
 1月18日(月)の講演のテーマは、『英国の技術フォーサイト・プログラム(The UK Technology Foresight Programme)』であった。英国の技術フォーサイト・プログラムは、日本で1970年代から行われている技術予測などを参考とし、さらにそれを政策目標の策定や研究予算の配分にまで適用しようとするものである。講演内容は、英国のプログラムの概要とそれを巡る議論や問題点についてまとめたものであった。
 1月26日(火)の講演は、『科学技術政策研究の将来(The Future of S&T Policy Research)』と題され、科学技術政策研究の専門機関としては世界で最初に設立されたSPRUの歴史を振り返るとともに、科学技術研究とそれをめぐる状況の将来像を様々な文献等を参考にしつつ展望したものであった。

 なお、これらの講演については、現在、講演内容の取りまとめを行っており、将来的に何らかの形での公表を予定している。(公表に関する情報は、本ニュースを通じて改めてお知らせします。)

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Ⅱ.海外事情

リ−ゼンフ−バ−元ドイツ研究技術大臣の来訪―「調査研究の進め方などに関する」意見交換―
企画課

  平成11年2月3日、リーゼンフーバー元ドイツ研究技術大臣が、当研究所を訪問し、佐藤所長をはじめ関係者との意見交換を行った。(表紙写真)元大臣は、来日の際にはほぼ必ず当研究所に立ち寄られており、今回の訪問は平成9年9月に続くものである。
 まず、佐藤所長より、昨年7月に発行した10周年記念誌、昨年9月に開催した10周年記念コンファレンスの概要などの最近の政策研の活動についての説明をした後、藤垣主任研究官(第2研究グループ)より、「日本の科学技術政策の40年史・科学技術会議答申の分析」及び「科学者の知識生産のモデル化」についての概要を説明した。
 その後、前田客員総括研究官及び近藤特別研究員(第1研究グループ)より、現在とりまとめを行っている「グローバル化及び企業家の観点からの新しいビジネスモデルの創造」及び「日本のベンチャー企業のアンケート調査結果」についての概要を説明した。元大臣より、調査研究の進め方などについての質問があり、活発な意見交換が行われた。

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Ⅲ.トピックス

日本の二次会


劉 海波特別研究員

 私はビールもお酒もあまり飲めません、しかし、日本の「二次会」ということは大体分かります。勝手に解釈して言えば、はじめは、ウオミングアップ(warming up)、二次会の時、盛り上がって行きます。だから、二次会はもっとおもしろいと思われます。
「今回は二次会(二度目の来日)だ、面白くやろう」、色々な手続きを完了した後、私はそう思いました。前回、1994年10月〜1996年9月の間、「中日連合養成博士」プロジェクトの参加者として来日し、2年間東大に在籍しました。そのプロジェクトの条件に従い、中国に戻って、「中日科学技術発展の比較」の論文で中国人民大学の博士号を取得しました。その後、経済面から科学技術政策を更に深く分析するために、中国社会科学院の計量経済・技術経済研究所に入り、ポスドクの研究を始めました。
 今回に日本に来るきっかけは、やはり中日比較の研究です。1995年9月に中国政府は「科教興国」(科学技術と教育によって国家を振興する)戦略を打ち出し、同年11月に日本政府は「科学技術基本法」を可決し、「科学技術立国」という長い間議論して来た理念をようやく法律的に位置に付けました。「科教興国」と「科技立国」、中日両国の国家振興戦略、字面から見ると、大した区別はないという気がするかもしれませんが、一体区別がどこにあるか。このような国家振興戦略の実施は両国関係、特に経済交流と技術移転と環境協力の面にどのような影響を与えるか、私は興味を持っています。しかし、日本に二度(もう一度:編集部注)来て、日本の新しい資料をまとめないと、この興味がどの程度まで学問に転換できるかは疑問視しなければなりません。従って、自分の考えを手紙で2研の平澤先生に報告しました。そして、先生の推薦を頂き、必要な手続きを経て、日本との二次会が出来ました(二度来た意味:編集部注)。ところで、私は東大に2年間いた時、ほぼ三分の二の日々を当時の東大総合文化研究科の平澤研で送り、大変お世話になりました。
前回日本にいた時、資料を探したり、人を訪ねたり、発表をきいたりするために、何度か政策研に来て、所のワンチームの雰囲気に心を傾けました。1月6日にこのチームの一人の成員になってから、興奮しながらも、責任感が段々重く感じられます。この優秀なチームに入れて頂いて、如何に頑張ってやっていけばこの所の名誉に、そして、いろいろ親切にしてくれる人々の暖かさに応えるような成績が出来るか、心配しています。
 (先日の所の歓迎会で、その時は2人の方が入所されたので、所長は数の「2」に関して日本の出生率について話されましたが、所長の話に甘えて、)結びに住所捜しのエピゾードを話させて頂くことにしましょう。日本に住みたい外人にとって、一番難しいのは住宅捜しだと思います。私は平澤先生の御指導の下で、2研の富澤さん、中澤さん、1研の下田さんに助けてもらって、やっと要町「2」丁目の物件が気に入り、行ってみると、部屋番号は「202」でした。今、この部屋に住んでいます。
「2」という数字は私の運か、縁か?
(劉 海波特別研究員は、日本語が堪能であり、本稿は氏が日本語で記述したものである。なお、氏はSTAフェローとして平成13年1月4日まで滞在の予定である。)

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政策研との共同研究「リサ−チ・レス企業の特徴」について
客員研究官 原田 勉

  1、簡単な自己紹介
 今年度から政策研の客員研究官として第一研究グループで研究をさせて戴いております。本職は神戸大学経営学部で経営戦略・組織論、技術 マネジメントに関する研究・教育活動に従事しています。
2、政策研での研究課題:リサーチ・レス企業の特徴
 政策研では、総務庁の「科学技術研究調査」で収集された研究開発投資に関するデータの定量的分析を行っています。「科学技術研究調査」 は、毎年、約1万社程度の企業を対象にアンケート調査を実施しており、この調査のデータから日本企業の研究開発投資状況の全体像を把握する ことが可能になります。まず、当面の研究課題としては、この全体像をきっちりと把握し、日本企業の研究開発状況に関する事実(stylizedfact)を確立することが重要だと考えています。従来の関連研究だと、少数の特定企業の事例を取り上げて、日本企業全体の研究開発状況について云々するという印象主義的なアプローチをとるものが大半であり、体系的なデータに基づいた議論はあまり見られませんでした。まず、日本企業の研究開発行動にはどのような特徴が見られるのかについて体系的に評価し、その上でさまざまな解釈を加えていくという姿勢が重要だと思います。
 このような体系的な評価に際して、私の関心を強く惹いたのが、毎年、約4千社程度の企業が研究開発投資を行っていないという事実でした。これは、このデータでは約4割の企業に相当します。研究開発投資行動を分析した先行研究の大部分は、研究開発投資をポジティブに捉え、それがどのような要因によって規定されているのかについて明らかにしてきました。これらの研究では、研究開発を行っている企業が分析対象となっており、このデータで見られるようなリサーチ・レス企業については多くの関心が払われてこなかったのです。しかしながら、このように多くの企業がリサーチ・レスであるということは、リサーチ・レスでもそれなりの業績を達成することができているということを意味しているのではないでしょうか。
 最近では、生産分野におけるファブレス企業が大きな注目を浴びています。それに対してリサーチレス企業についてはそれを取り上げた議論はあまりなかったように思われます。政策研で今、取り組んでいる具体的な研究課題は、日本企業の約半数を占めるリサーチ・レス企業の特徴についてより体系的・定量的に明らかにしていくことです。今、私が使用しているデータ・セットは、1976年から1994年までをカバーしています。この期間において、リサーチ・レス企業の特徴はどのように変遷してきたのか、リサーチ・レス企業はリサーチ企業と比較して規模、収益性の点でどのように異なっているのか、そしてそれは業種別にどのような違いが見られるのか、などについて明らかにしていきたいと考えています。

(はらだ つとむ 神戸大学経営学部助教授)

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Ⅵ.最近の動き

○ 講演会等の開催

・2/1 「体外受精の開いた道・・・生殖医療の未来を考える」
金子 清し(津田塾大学国際関係科教授)
・2/19 「マニュファクチュアリング・パ−トナ−シップ−米国における産業近代化の政策と戦略−」
Philip Shapira氏(ジョ-ジア工科大学助教授)

 主要来訪者一覧

 ・2/3   リ−ゼンフ−バ−元独国研究技術大臣

○ 海外出張

・2/14-20 吉水情報分析課長(フィリピン)
・2/16-27 伊地知1研研究官(英国)

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編集後記

 年度末となった。毎年この時期は年度始めに計画した調査研究のまとめと、平行して新年度の新規調査研究計画が立てられる時期である。今年も例年のとおり、研究発表のための所内セミナーや、次年度新規研究計画のヒアリングが行われるため、研究所内には緊張が漂い、活気が漲っている。本年度で4回目となる「地域における科学技術政策研究」を始め、多くの発信がこれから予定されており、逐次、本ニュースで取り上げて参りたい。多くの行事があった平成10年度の実りある成果をどうぞご期待下さい。
 先般、開発途上国と我が国との相互理解を深めるために、外務省の肝いりで、産官がチームとなって、マニラ(フィリピン)で、現地の財界産業界官界の方々と1週間に亘り、意見交換を行う機会が設けられた。現地政府、日系企業、現地企業のそれぞれの思いや我が国への期待等と役割との間にいろいろのジレンマがあることを再認識し、関係の複雑さが垣間見えることとなった。
 桜の花便りが聞こえ、一雨ごとに春の気配が濃くなっている。新年度に向け調査研究においても、ニュース編集においても、新しい計画を立てるときは、いつも新鮮で無限の可能性があるように思える。いつもこの気持ちを忘れないで編集に当たりたい。(Y)

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