4.2.5パテントファミリーの出願先

 つぎにパテントファミリーの出願先(自国への出願分は除く)をみることで、主要国からの特許出願の国際的な広がりの時系列変化を見る(図表4-2-11)。
 日本からのパテントファミリーの出願先は、1981年時点では約90%が米国及びヨーロッパとなっていたが、1990年代に入って中国への出願が増加している。2011年時点では米国への出願が41.7%、中国への出願が25.5%、欧州特許庁への出願が11.7%となっている。ヨーロッパ各国の特許庁への直接出願については、年々その割合が減少し、2011年時点では、3.7%となっている。
 米国からのパテントファミリーの出願先は、1981年時点では約半分がヨーロッパ、19.8%が米国以外の北米・中南米、17.7%が日本となっていた。1990年代に入って日本以外のアジアの国への出願が増加し、2011年時点ではアジアへの出願が全体の45.7%を占めている。また、アフリカへの出願も一定数存在している。
 2011年時点に注目すると、ドイツについては23.7%がアジア、22.8%が米国を含む北米・中南米、43.3%が欧州特許庁に出願されている。
 フランスについてはアジアが22.6%、米国を含む北米・中南米が26.9%であり、36.1%が欧州特許庁に出願されている。
 英国については25.9%がアジア、36.7%が米国を含む北米・中南米、25.5%が欧州特許庁に出願されている。
 これらの国についてアジアにおける出願先をみると、日本の比率が相対的に下がり、中国や韓国の比率が上がっている。米国とおなじく、アフリカへの出願も一定数存在している。
 中国からの出願は1980年代後半時点では、欧州への出願が約半数を占めており、それにアジア、米国がつづいていた。その後、米国への出願の割合が大幅に増加する一方で、欧州への出願の割合は減少している。2011年時点では46.8%が米国を含む北米・中南米、31.0%がアジア、14.9%が欧州特許庁となっている。
 韓国からの出願は1980年代後半時点では、米国、欧州、アジア(主に日本)への出願が、ほぼ1/3ずつであった。その後、米国への出願の割合が大幅に増加し、2011年時点では52.4%が米国を含む北米・中南米、33.5%がアジアとなっている。アジアにおける出願先をみると、日本の比率が相対的に下がり、中国の比率が上がっている。


【図表4-2-11】 主要国におけるパテントファミリーの出願先
(A)日本
(B)米国
(C)ドイツ
(D)フランス
(E)英国
(F)中国
(G)韓国

注:
パテントファミリーの分析方法については、テクニカルノートを参照。
資料:
欧州特許庁のPATSTAT(2016年秋バージョン)をもとに、科学技術・学術政策研究所が集計。

参照:表4-2-11