第4章 研究開発のアウトプット

 近年、研究開発への投資に対する説明責任が強く求められるようになっており、研究開発におけるアウトプットの把握は大きなテーマとなっている。本章では、研究開発活動のアウトプットとして計測可能な科学論文と特許に着目し、世界及び主要国の活動の特徴や変化について紹介する。

4.1論文

ポイント

  • 世界の研究活動のアウトプットである論文量は一貫して増加傾向にある。
  • 研究活動自体が単一国の活動から複数国の絡む共同活動へと様相を変化させている。世界で国際共著論文が増えており、2012年(出版年、PY)の国際共著率は英国57%、フランス56%、ドイツ53%に対し、米国37%、日本29%である。
  • 日本の論文数(2010-2012年(PY)の平均)は、分数カウント法(論文の生産への貢献度)によると、米、中に次ぐ第3位である。また、Top10%補正論文数では、米、中、英、独、仏に次ぐ第6位であり、Top1%補正論文数では米、中、英、独、仏、加に次ぐ第7位である。
  • 整数カウント法(論文の生産への関与度:分数カウント法+国際共著論文を通じた外国の寄与分)によると、日本は論文数で第5位、Top10%補正論文数では第8位、Top1%補正論文数では第11位である。
  • 論文数シェアを見ると、日本は、1980年代から2000年代初めまで論文数シェアを伸ばし、英国やドイツを抜かし、一時は世界第2位となっていたが、近年はシェアが低下傾向である。しかし、このシェアの低下傾向については、日本のみならず日本、英国、ドイツ、フランスも同様である。
  • 質的指標とされるTop10%補正論文数シェアおよびTop1%補正論文数シェアの変化を見ると、日本は、1980年代から2000年代初めにかけて緩やかなシェアの増加が見られたが、その後急激にシェアを低下させている。
  • 日本国内の分野バランスをみると、化学と基礎生命科学の占める割合が大きく減少し、臨床医学の占める割合が大きく増加しており、日本としての論文生産の分野構造が大幅に変化してきている。
  • 一方、各分野でのTop10%補正論文世界シェアによる分野ポートフォリオをみると、日本は物理学、化学のシェアが高く、計算機・数学、環境・地球科学、工学が低い。

4.1.1世界の研究活動の量的及び質的変化

(1)論文数の変化

 図表4-1-1は、全世界の論文量の変化である。トムソン・ロイター社のデータベースでは、論文の書誌情報の見直しが適時反映されるようになっていることに加え、データベースの書式等において大きな変更があり、それに伴い、分析手法を変更している(テクニカルノート参照のこと)。そのため、前回の「科学技術指標2013」(2013.8)との比較は意味をなさない。
 1980年代前半に比べ現在は、世界で発表される論文量は約3倍になっており、世界で行われる研究活動は一貫して量的拡大傾向にある。なお、この間において、分析に用いたデータベースに収録されるジャーナルは順次変更されると共に、ジャーナルの数も拡大してきている。論文数の拡大にはこの要因の寄与も含まれている。


【図表4-1-1】 全世界の論文量の変化

注:
分析対象は、article, reviewである。年の集計は出版年(Publication year, PY)を用いた。
資料:
トムソン・ロイター社 Web of Science (SCIE, CPCI:Science)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

参照:表4-1-1


(2)世界および主要国の論文生産形態の変化

 世界で行われる研究活動が量的拡大を示す一方で、研究活動のスタイルが大幅に変化している。図表4-1-2に、主要国の論文における論文共著形態の変化を示した。①単一機関論文(単一の機関に所属する著者による論文)、②国内機関間共著論文(同一国の複数の機関に所属する著者による論文)、③国際共著論文(異なる国の機関に所属する著者による論文)の3種類に分類した。
 単一機関論文の割合が減少し、国内機関間共著論文や国際共著論文が増加していることが分かる。まず、1980年代では、単一機関内の論文が約8割を占めていたが、その後国内における機関間の共著論文や、国のボーダーを超えた国際共著論文が増加しており、機関や国といった枠組みを超えた形で知識生産活動が行なわれていると言える。2012年時点では、単一機関論文が40.8%、国内機関間共著論文が35.9%、国際共著論文が23.3%である。


【図表4-1-2】 全世界の共著形態割合の推移

注:
分析対象は、article, reviewである。年の集計は出版年(Publication year, PY)を用いた。
資料:
トムソン・ロイター社 Web of Science (SCIE, CPCI:Science)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

参照:表4-1-2


 また、図表4-1-3は、主要国における論文数の論文共著形態別割合の推移である。いずれの国においても国際共著論文の割合が増加している点は共通であるが、その割合は、2012年時点で日本28.8%、米国36.5%であるのに対し、欧州ではドイツ53.3%、フランス55.8%、英国57.1%と非常に高く、国により異なっている。
 一方、日本の論文共著形態の特徴は、1980年代に比べ国内機関間共著論文の割合が約20ポイントも増加していることである。他国に比べ、日本は国内における研究機関間の関係が強いことが分かる。


【図表4-1-3】 主要国における論文数の論文共著形態別割合の推移
(A)日本
(B)米国
(C)ドイツ
(D)フランス
(E)英国
(F)中国
(G)韓国

注:
article, reviewを分析対象とし、整数カウントにより分析。年の集計は出版年(Publication year, PY)を用いた。
資料:
トムソン・ロイター社 Web of Science (SCIE, CPCI:Science)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

参照:表4-1-3


 さらに、国際共著論文は、国際的な研究の協力や共同活動によりつくられる成果であるため、分野ごとの背景に依存すると考えられる。例えば、大型研究施設を、各々の国で保有することが現実的に不可能な場合、国際的な大型研究施設設置国を中心とした共同研究が促進される。
 図表4-1-4は分野ごとの国際共著論文比率の推移である。いずれの分野においても、1980年代から、国際共著論文比率は上昇基調である。2012年時点において、環境・地球科学では32.0%、物理学では31.7%であり、他分野に比べ国際共著論文比率が高い。一方、化学は、19.0%であり、国際共著論文比率が一番低い分野である。


【図表4-1-4】 分野ごとの国際共著論文
(A)比率の推移
(B)分野分類

注:
1)分析対象は、article, reviewである。年の集計は出版年(Publication year, PY)を用いた。
2)(A)の分野分類は(B)を使用。
3)(B)の分野分類はWoSデータベース収録論文をEssential Science Indicators(ESI)のESI22分野分類を用いて再分類し、分野別分析を行なっている。
 雑誌の分類は、http://incites-help.isiknowledge.com/incitesLive/ESIGroup/overviewESI/esiJournalsList.html(2014年4月15日時点の掲載情報を参照)による。
 分析対象は、経済学・経営学、複合領域、社会科学・一般を除くESI19分野分類とする。
資料:
トムソン・ロイター社 Web of Science (SCIE, CPCI:Science)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

参照:表4-1-4

4.1.2研究活動の国別比較

(1)国単位での科学研究力の定量化手法

 「国の科学研究力」を定量化し比較する際、ここまでで示したように近年の論文の共著形態の複雑化についても考慮するべきであろう。
 そこで、図表4-1-5に示すように、国単位での科学研究力を把握する場合は、「論文の生産への貢献度(論文1件に対しどれだけ貢献をしたか)」と「論文の生産への関与度(論文を生み出すプロセスにどれだけ関与したか)」を把握することとする。前者は分数カウント法、後者は整数カウント法により計測する。論文の生産への貢献度と関与度の差分が、「国際共著論文を通じた外国の寄与分」と言える。各国・地域により国際的活動の状況が異なるため、カウント方法によりランクが入れ替わることがある。
 また、「国の科学研究力」を見るときに、量的観点と質的観点が求められる。そこで、量的観点として論文数を、質的観点として他の論文から引用される回数の多い論文数(Top10%補正論文数、Top1%補正論文数)を用いる。
 Top10%(Top1%)補正論文とは、論文の被引用数(2012年末の値)が各分野の上位10%(1%)に入る論文の抽出後、実数で論文数の1/10(1/100)となるように補正を加えた論文数を指す。このように分野毎に算出するのは、分野毎に平均被引用数がかなり異なるため、その違いを標準化するためである。分野は、図表4-1-4に準ずる。


(2)国・地域別論文数、Top10%補正論文数、Top1%補正論文数の時系列比較

 図表4-1-6は、分数カウント法と整数カウント法による国・地域ごとの論文数、Top10%補正論文数、Top1%補正論文数及び世界ランクを示した。
 日本の論文数(2010-2012年の平均)は、分数カウント法によると第3位であり、Top10%補正論文数では第6位、Top1%補正論文数では第7位である。
 一方、整数カウント法によると、日本は論文数で第5位、Top10%補正論文数では第8位、Top1%補正論文数では第11位である。


【図表4-1-5】 分数カウント法と整数カウント法
(A)国単位での科学研究力の把握の概念図
(B)分数カウント法と整数カウント法

注:
Top10%(Top1%)補正論文数とは、被引用回数が各年各分野で上位10%(1%)に入る論文の抽出後、実数で論文数の1/10(1/100)となるように補正を加えた論文数を指す。詳細は、科学技術政策研究所の「科学研究のベンチマーキング2012」(調査資料218)の2-2 (7) Top10%補正論文数の計算方法を参照のこと。分野は、図表4-1-4(B)の注釈に準ずる。被引用数は、2013年末の値を用いている。


【図表4-1-6】 国・地域別論文数、Top10%補正論文数、Top1%補正論文数:上位25か国・地域
(A)分数カウント法による


(B)整数カウント法による

注:
分析対象は、article, reviewである。年の集計は出版年(Publication year, PY)を用いた。被引用数は、2013年末の値を用いている。
資料:
トムソン・ロイター社 Web of Science (SCIE, CPCI:Science)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

参照:表4-1-6


(3)主要国の論文数シェア、Top10%補正論文数シェア、Top1%補正論文数シェアの時系列推移

 図表4-1-7では、各国の研究活動の量的状況を把握するため、論文数の各国シェアを分数カウント法で比較した。
 まず、論文数シェアを見ると、米国は1980年代から一貫して、他国を大きく引き離し、論文数シェアが大きい。しかし、他国がシェアを伸ばしており、1980年代から下降基調が続いている。日本は、1980年代から2000年代初めまで論文数シェアを伸ばし、英国やドイツを抜かし、一時は世界第2位となっていた。しかし、1990年代後半より、中国が急速に論文数シェアを増加させており、米国のみならず日本、英国、ドイツ、フランスの論文数シェアは低下傾向である。2011年(2010-2012年(PY)の平均)時点において、上位3国は米国、中国、日本となっている。
 次に、質的指標とされるTop10%補正論文数シェアおよびTop1%補正論文数シェアの変化を示す。米国が他国を大きく引き離している構図は論文数シェアの場合と同じであるが、Top10%補正論文数シェアおよびTop1%補正論文数シェアの方がより米国の占有率が高いことが分かる。ただしそのシェアは、1980年代からゆるやかな下降基調が続いている。中国については、1990年代後半からのTop10%補正論文数シェアおよびTop1%補正論文数シェアの増加が著しい。日本は、1980年代から2000年代初めにかけて緩やかなシェアの増加が見られたが、その後急激にシェアを低下させている。一方、ドイツは特にTop1%補正論文数においては1980年代より着実にシェアを増加させており注目される。このような各国の時系列変化の中、日本は2011年(2010-2012年の平均)時点において、Top10%補正論文数では、米、中、英、独、仏に次ぐ第6位であり、Top1%補正論文数では米、中、英、独、仏、加に次ぐ第7位である。


【図表4-1-7】 主要国の論文数、Top10%補正論文数、Top1%補正論文数シェアの変化
(全分野、分数カウント法、3年移動平均)

注:
分析対象は、article, reviewである。年の集計は出版年(Publication year, PY)を用いた。全分野での論文シェアの3年移動平均(2011年であればPY2010、PY2011、PY2012年の平均値)。分数カウント法である。被引用数は、2013年末の値を用いている。
資料:
トムソン・ロイター社 Web of Science (SCIE, CPCI:Science)を基に、科学技術・学研術政策究所が集計。

参照:表4-1-7


4.1.3主要国の研究活動の分野特性

(1)全世界の分野バランス

 研究の中には、様々な分野が包含されており、論文数や被引用回数は、それらの分野ごとの研究活動において論文生産がどの程度重視されているか、研究者数が多いか少ないか、一論文が引用する過去の論文数が平均的に多いか少ないかなどの影響を受ける。したがって、国の比較を行なう場合、論文や被引用回数の総数のみを見るのではなく、分野ごとの研究活動を把握することも重要である。


【図表4-1-8】 全世界の分野別論文数割合の推移

注:
分析対象は、article, reviewである。分数カウント法による。分野は図表4-1-4(B)の注釈に準ずる。年の集計は出版年(Publication year, PY)を用いた。
資料:
トムソン・ロイター社 Web of Science (SCIE, CPCI:Science)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

参照:表4-1-8

 まず、図表4-1-8では、全世界の論文における各分野の論文数割合の推移を示す。1981年と2012年を比べると、基礎生命科学は4.2ポイント、化学は1.3ポイント、物理学は1.3ポイント減少している。一方、材料科学は2.2ポイント、工学は1.8ポイント、環境・地球科学は1.4ポイント、計算機・数学は1.6ポイント、臨床医学は0.6ポイント割合を伸ばした。
 細かな動きはあるものの、基礎生命科学および臨床医学といった生命科学系の割合が約半分を占めている特徴は変わっていない。


(2)主要国内の分野バランス

 次に主要国の内部構造をみるために、図表4-1-9では、主要国内の分野バランスの変化を示す。なお、ここでは各国内の分野毎の割合を分数カウント法により求めた。
 日本は、1980年代前半は、基礎生命科学、化学、物理学の占める割合が大きかったが、1981年と2012年を比較すると、化学は9.9ポイント、基礎生命科学は3.1ポイント減っている。一方、13.3ポイントの割合を増加させた臨床医学に加え、環境・地球科学や材料科学は2ポイント程度の拡大傾向にある。
 米国は、臨床医学(3.4ポイント増)で変化が見られる。
 ドイツは、基礎生命科学(3.3ポイント減)、環境・地球科学(3.2ポイント増)で変化が見られる。
 フランスは、臨床医学(5.5ポイント減)、基礎生命科学(4.2ポイント減)、工学(4.2ポイント増)、計算機科学・数学(3.9ポイント増)で変化が見られる。
 英国では、基礎生命科学(6.7ポイント減)、化学(4.4ポイント減)、臨床医学(5.9ポイント増)で変化が見られる。
 中国に関しては、生命科学系(基礎生命科学及び臨床医学)の占める割合が、他の主要国と比較して低い。


【図表4-1-9】 主要国の分野別論文数割合の推移
(A)日本
(B)米国
(C)ドイツ
(D)フランス
(E)英国
(F)中国
(G)韓国

注:
分析対象は、article, reviewである。分数カウント法による。分野は図表4-1-4(B)の注釈に準ずる。年の集計は出版年(Publication year, PY)を用いた。
資料:
トムソン・ロイター社 Web of Science (SCIE, CPCI:Science)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

参照:表4-1-9


(3)世界における主要国の分野バランス

 図表4-1-10では、世界における主要国の分野バランスを示す。主要国の論文数シェアとTop10%補正論文数シェアの分野ポートフォリオ(2010-2012年(PY)、分数カウント法)を比較した。
 日本は物理学、化学、材料科学のウェートが高く、計算機・数学、環境・地球科学、工学が低いというポートフォリオを有している。図表4-1-9(A)では、日本国内の論文に占める臨床医学のシェアは増加し、化学や基礎生命科学のシェアが減少していることが示されたが、世界の各分野の論文数に対してのシェアとなると、日本の場合は化学の方が臨床医学より高いことが分かる。
 米国と英国は臨床医学、基礎生命科学、環境・地球科学に強みがあり、ドイツは化学や物理学に強みがあり、フランスは物理学、計算機科学・数学、環境・地球科学に強みがみられる。中国は、特に材料科学、化学、計算機科学、工学において論文シェアおよびTop10%補正論文シェアともに存在感を示している。
 また、論文シェアとTop10%補正論文シェアを比較すると、多くの分野でTop10%補正論文シェアが論文シェアより高い国(米国、ドイツ、フランス、英国)と、多くの分野で論文シェアよりTop10%補正論文シェアが低い国(日本、韓国)に分けられる。Top10%補正論文シェアをみると、論文シェアでみる分野バランスより各国の強み弱みが強調される。


【図表4-1-10】 主要国の分野毎の論文シェアとTop10%補正論文シェアの比較
(%、2010-2012年(PY)、分数カウント法)

注:
article, reviewを分析対象とし、分数カウントにより分析。分野は図表4-1-4(B)の注釈に準ずる。年の集計は出版年(Publication year, PY)を用いた。被引用数は、2013年末の値を用いている。
資料:
トムソン・ロイター社 Web of Science (SCIE, CPCI:Science)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

参照:表4-1-10


テクニカルノート:論文分析手法の変更について

 科学技術指標2014では、第4章 研究開発のアウトプット4.1論文の分析に関して以下3点の変更を行った。

(1)年の定義の変更

 前回の科学技術指標2013までは、分析年としてデータベース年(Database Year: DY)を用いてきた。DYとは、トムソン・ロイターWeb of Scienceに論文が収録された年を指す。DYは1年毎に世界中の書誌情報が本やCD-ROMという形態で取りまとめていた時代から科学計量学的には長く使われてきた概念である。しかし、現在ではWeb形式の検索データベースが随時更新されるようになり、データベース利用者(研究者等)が検索等を行う際、論文の掲載されたジャーナルの出版年(Publication Year: PY)の方が用いられることが多くなった。そのため、トムソン・ロイターは、データ提供をDYでは無く、PYで行うよう方針を変更した。
 それを受けて、科学技術・学術政策研究所では、DYからPYへの移行に伴う論文分析手法の検討を行った。
 各年(PY)の書誌情報が論文データベースへ収録される状況を分析したところ、例えば2010年(PY)の書誌情報は2010年12月末では約9割程度収録されており、その後1年ぐらいをかけて残り1割程度の書誌情報が収録されることが分かった。各年(PY)について同様に確認したところ、同様の結果を得た。科学技術・学術政策研究所では、2013年12月末にWeb of ScienceのXMLを抽出しているが、この段階では2012年(PY)の書誌情報はほぼ収録されているとみなされるが、2013年(PY)については約9割程度と考えられる。したがって、分析対象としては1981~2012年(PY)の書誌情報までとすることにした。
 なお、被引用数については、論文が公表されてからの時間が長い方が安定した結果となるため、できる限り最新の数値を用いるため、2013年末の被引用数を用いることにした。


【図表4-1-11】 「第4章 研究開発のアウトプット4.1論文」の分析変更点のまとめ

【図表4-1-12】 分析対象とする論文の年の考え方

(2)ジャーナル分野分類の変更

 科学技術指標では、トムソン・ロイターの公表しているジャーナルのESI22分野分類を用いて、科学技術・学術政策研究所がWeb of Scienceを再分類し、分野別分析を行なっている。2013年後半に、トムソン・ロイターにおいてESI22分野分類のジャーナルの振り分けが大幅変更された。
 例えば、前回時に用いたESI22分野分類では臨床医学に振り分けられていたジャーナルの一部が今回のESI22分野分類では神経科学・行動学やその他複数の分野へ振り分けられ、前回は工学に振り分けられていたジャーナルが化学や計算機科学を中心とする複数分野へ振り分けられた。


(3)分析対象とした文献種類の変更

 分析対象の文献の種類をarticle, article & proceedings (articleとして扱うため), reviewとした。近年ではnoteは対象書誌がなかったこと、letterについてはトムソン・ロイターが分析には用いていないため、分析対象から外した。なお、Physical Re-view Letterなどletterとジャーナル名につく場合でもあくまで文献種類で判断しており、これらのジャーナルの書誌のデータベース上の文献種類はarticleとなっているため、分析対象に含まれている。