御挨拶

科学技術・学術政策研究所は昭和63(1988)年に、科学技術政策の立案の基礎となる調査研究を行う機関である「科学技術政策研究所」として発足しました。平成25(2013)年に、学術の振興に関する調査研究を業務に追加し、名称を「科学技術・学術政策研究所」と改め、科学技術や学術に関する政策立案に資する調査研究を進めております。

昨今、様々な地球規模の課題への対応が求められる中、我が国が持続的に発展していくために、科学技術・イノベーションへの期待がますます高まっていることが実感されます。当研究所では、時代や社会の急速かつ大きな変化を認識しつつ、科学技術・イノベーション政策の立案、推進に直結した調査研究に鋭意取り組んでいます。
例えば、政策立案の基礎となる情報として、世界的に、また日本で注目されている研究領域の動向について、論文データベース分析からその領域を可視化したサイエンスマップ作成、競争的研究費の採択課題からのキーワード抽出による分析、さらには専門家アンケートから将来に期待される注目の科学技術をとらえるといった複数のアプローチによる調査研究を行い、これらの成果が活用されています。
また、先般、仙台で開催されたG7科学技術大臣会合においてとりあげられたオープンサイエンスに関しても、その潮流をとらえた調査研究、データ解析手法の開発などに取り組んでいます。
この他、若手研究者・博士人材の状況、大学の研究現場の課題、イノベーションや民間企業の研究活動に関する調査等、様々な観点から、データや調査研究結果を蓄積・提供しています。

文部科学省設置の研究機関としての特徴を最大限に活かし、実際に政策を担う行政各部署と、密にコミュニケーションを図り、連携しており、しっかりとしたデータの裏付けのある情報を提供することにより、効果的な政策形成、実施に寄与しています。
こうした取組みを通じて、政府全体で推進している「客観的根拠に基づく政策立案(EBPM: Evidence-Based Policy Making)」について、関係機関と連携して、その一翼を担ってまいります。

引き続き、科学技術・イノベーション政策研究の中核機関として、国内外の関係行政機関、大学等の研究機関等との連携を深め、行政サイド、ひいては社会のニーズを的確にとらえ、情報発信を強化し、政策形成、推進に貢献する調査研究活動を展開してまいります。皆様方の御支援、御協力をお願い申し上げます。

令和5(2023)年5月
文部科学省 科学技術・学術政策研究所
所長 大山 真未