STI Hz Vol.3, No.3, Part.11:(レポート)論文を生み出した研究活動の実態を探る-インプットとアウトプットの間を結ぶプロセスの理解に向けたNISTEP の取組-STI Horizon

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  • DOI: http://doi.org/10.15108/stih.00097
  • 公開日: 2017.09.25
  • 著者: 伊神 正貫
  • 雑誌情報: STI Horizon, Vol.3, No.3
  • 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

レポート
論文を生み出した研究活動の実態を探る
-インプットとアウトプットの間を結ぶプロセスの理解に向けたNISTEPの取組-

科学技術・学術基盤調査研究室 室長 伊神 正貫

概 要

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、論文の責任著者を対象に、論文を生み出した研究活動の実態を把握するための調査(論文実態調査)を実施した。論文実態調査から、研究活動の様相(研究に用いている資金源や研究チームの構成)が論文数シェアでみた大学グループによって異なることが明らかになるとともに、大学の研究活動においてジュニア研究者(学部学生・大学院生(修士)、大学院生(博士)、ポストドクター)は大きな役割を果たしていることが再確認された。これらの結果は、大学における研究マネジメントは画一的ではなく、大学の状況に応じた対応が必要であること、今後、ジュニア研究者の確保・育成ができない大学や分野については将来的に研究力の大きな低下につながる可能性があることを示唆している。

キーワード:大学経営,研究プロセス,研究チーム,研究資金,ジュニア研究者の重要性

1. はじめに

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、我が国の科学研究の現状や課題を把握するために、各種の論文分析を実施してきた。国レベルの論文の分析からは、過去10年にわたり、日本が生み出す論文数は伸び悩んでいる一方で、世界の主要国は論文数を伸ばしており、結果として日本の相対的な地位が低下していることが示された12)。我が国の論文の約7割は大学部門から生み出されていることを踏まえ、NISTEPでは論文数シェアにもとづく大学グループを用いて、日本の大学システムの分析を行っている。この分析から、我が国は英国と比べて、論文生産を牽引する第1グループに続く第2グループの厚みが十分ではなく、大学全体として知の生産量を増すには、中堅層も含めた第2、3グループの層を厚くする必要があることを指摘した3)。加えて、個別大学の分析から、我が国の大学は、それぞれ独自の“個性(研究ポートフォリオ構造)”を持つことや45)、これらの個性が大学内部組織レベルの“個性”の重ね合わせとして実現されていることを示した6)

上記で述べた分析は論文という形で観測される研究活動のアウトプットに注目しているが、このアウトプットの前提となるのが研究開発費や研究開発人材といったインプットである。科学技術研究調査の個票を用いた日本の大学システムのインプット構造の分析からは、過去約10年にわたって外部受入れ研究開発費の額や割合が増加していることや、大学グループによって研究者の業務区分(教員、大学院博士課程の在籍者、医局員、その他の研究員)のバランスが大きく異なることなどが示されている7)

これまでの調査研究を通じて、インプット、アウトプットのそれぞれの観点から、我が国の大学システムについての理解が進みつつあると言える。他方で、両者のつながり、すなわちインプットを通じてアウトプットが生み出されるプロセスについては、更なる理解が必要である。自明なことであるが、研究マネジメントや政策立案を行う者は、知識創出を直接行う立場にはない。それらを起こすのは、現場の研究者である。したがって、国レベルの各種施策や個別大学の研究マネジメントを考える際にも、インプットとアウトプットの間をブラックボックス化するのではなく、それらを結ぶプロセスを理解することが、インセンティブ設計や資源配分等を行う上で重要となる。

以上の背景と問題意識から、NISTEPでは、論文の責任著者(Corresponding Author:論文の主担当者であり、論文に関する連絡先となる)を対象に、論文を生み出した研究活動の実態を把握するための調査(論文実態調査)を実施した8)。なお、本レポートは論文実態調査の結果の一部を紹介したものであるので、調査手法等の詳細は報告書(http://doi.org/10.15108/dp146)を御覧いただきたい注1

2. 研究活動で用いた研究資金

論文実態調査では、調査対象論文にかかわる研究活動において用いた研究資金について、各資金源の割合を質問した。ここでは、各資金源の割合を所属部門別や大学グループ別にみる。

研究活動に用いた資金源の組合せに注目すると(図表1)、内部資金のみを用いた研究の割合は、会社の値が最も高く82%であり、これに公的研究機関(45%)、私立大学(40%)、公立大学(32%)、国立大学等(21%)が続いている。

過去のNISTEPの調査研究から、大学における研究活動の状況は、論文数シェアでみた大学グループによって異なることが示されている。そこで、本調査研究でも、大学グループ別の状況に注目した注2。まず、内部資金のみを用いた研究の割合に注目すると(図表 2)、第1~4グループで、それぞれ13%、22%、27%、36%である。第1グループでは、外部資金のみ(1種類、2種類、3種類以上の合計)を用いた研究の割合も高く34%となっている。ここで注目すべきは、各大学グループにおいて、おおむね5割程度の研究が内部資金と外部資金を組合わせることで実施されていることである。これは研究を実施する上では、運営費交付金等による基盤的研究経費と競争的資金等による外部資金の両方による支援が重要であることを示唆している。

論文実態調査では、2000年時点、2005年時点、2013年時点に大学や公的研究機関に所属していた回答者に、各時点における職階・地位と、基盤的研究経費の配分状況や配分額について質問している(図表 3)。図表3(b)に国立大学等の結果を示す。職階別に中央値をみると、教授クラスでは150万円(2000年時点)から100万円(2013年時点)に、准教授クラスでは90万円から60万円に、講師クラスでは50万円から54万円、助教クラスでは50万円から42万円に変化している。分野や研究のスタイルに依存するが、現状の基盤的研究費の額では、多くの研究者が基盤的研究経費のみで研究を行うのが困難な状態になっていると予想される。実際、外部資金を得られないと研究活動を継続するのが困難であるとの認識も論文実態調査の結果から得られている。

図表4に、国立大学等について、研究活動に用いた資金源の組合せごとの論文数の変化を推計した結果を示した。ここでは、(I)2004~2006年(1年あたりの平均値、以降も同じ)から2007~2009年にかけての変化、(II)2007~2009年から2010~2012年にかけての変化を示している。資金源の組合せごとの論文数については、論文の分野及び出版年、責任著者の所属セクターの区分別に、回答の得られた論文数と母集団とした論文数との比率から求めた重み係数によって補正(ウェイトバック)を行うことで求めている。結果をみると期間(I)、(II)のいずれでも、内部資金のみを用いた論文と内部資金と外部資金(1種類)を用いた論文数が減少する一方で、他の資金源の組合せに関しては論文数が増加していることが分かる。ただし、全体としては減少分を補うことができず、国立大学等の論文数は継続して減少している。この結果からも、国立大学等における基盤的研究経費の減少は、研究活動に大きな影響を及ぼしたことが分かる。

図表1 所属部門別の資金源の組合せ[2004年~2012年、各組合せに該当する研究の割合]

図表2 大学グループ別の研究に用いた資金源の組合せ[2004 年~2012年、各組合せに該当する研究の割合]

図表3 各年度における基盤的研究経費の額(職階・地位別)[大学等]

注:基盤的研究経費が「配分された」と回答した者に対して質問した結果。

図表4 国立大学等の論文数変化の推計結果

注:論文の分野及び出版年、責任著者の所属セクターの区分別に、回答の得られた論文数と母集団とした論文数との比率から求めた重み係数によって補正(ウェイトバック)を行うことで求めた結果。

3. 研究チームの構成

論文著者の職階・地位に注目して研究チームの構成を分析した結果を紹介する。なお、ここでは学部生・大学院生(修士)、大学院生(博士)、ポストドクターに対応する著者をまとめて「ジュニア研究者」と表現し、教授クラス、准教授クラス、講師クラス、助教クラス、研究補助者・技能者、その他に対応する著者をまとめて「シニアクラス研究者」と表現する。また、1件の論文の著者全体を「研究チーム」と表現する(図表5)。

図表6には、調査対象論文の著者の職階・地位の組合せを、責任著者が調査対象論文投稿時に所属していた部門別に示した。国立大学等の場合、約7割の研究チームがシニアクラス研究者とジュニア研究者の組合せから構成されている。ジュニア研究者がかかわっている研究チームの中で、一番割合が大きいのはシニアクラス研究者と大学院生(博士)から構成される研究チーム(22%)であり、これにシニアクラス研究者と学部生・大学院生(修士)から構成される研究チーム(19%)が続く。公立大学は国立大学等とおおむね同じような傾向を示しているが、シニアクラス研究者のみから構成される研究チームの割合が大きい。私立大学では46%の研究チームがシニアクラス研究者のみから構成されており、これは国立大学等と比べて19ポイント大きい。他方で、シニアクラス研究者と学部生・大学院生(修士)から構成されている研究チームの割合は21%であり、国立大学等と比べて2ポイント高い。公的研究機関では、シニアクラス研究者のみから構成される研究チームが59%を占めているのに加えて、シニアクラス研究者とポストドクターから構成される研究チームが23%と高い割合を占めている点が特徴である。会社については約9割の研究チームがシニアクラス研究者のみから構成されている。

次にジュニア研究者の研究チームへの参画状況を、大学グループ別に詳細にみる(図表7(a))。まず、全調査期間(2004~2012年)を通じた、ジュニア研究者の研究チームへの参画割合は、第1~3グループにおいて、おおむね7割である。第4グループやその他においては、若手研究者の参画割合は低くなり、第4グループでは約6割、その他では約5割である。学部生・大学院生(修士)、大学院生(博士)、ポストドクターのバランスに注目すると、学部生・大学院生(修士)の参画割合は、第3グループにおいて一番高く38%、他のグループにおいてはおおむね3割程度であり、大学グループ間で大きな差がみられない。大学院生(博士)の参画割合は、第1及び2グループでは44%である。しかし、第3、4グループ、その他と論文数シェアでみる大学の規模が小さくなるにしたがって、大学院生(博士)の参画割合は低下する。第4グループにおける大学院生(博士)の参画割合は28%、その他における割合は21%である。同じような傾向は、ポストドクターの参画割合でもみられる。ポストドクターの参画割合は第1グループにおいて26%と一番高く、論文数シェアでみる大学の規模が小さくなるに伴い参画割合は低下する。

図表7(b)は、研究チームへのジュニア研究者の参画割合を分野ごとにみた結果である。まず、ジュニア研究者全体としての参画割合をみると、化学(85%)において一番大きく、これに環境/生態学(82%)、宇宙科学(79%)、免疫学(78%)と続いている。ジュニア研究者の参画割合が一番小さいのは数学(26%)であり、これに精神医学/心理学(41%)、計算機科学(52%)、臨床医学(55%)が続いている。ジュニア研究者の参画割合を詳細にみると、分野によって学部生・大学院生(修士)、大学院生(博士)、ポストドクターの参画割合が異なることが分かる。まず、学部生・大学院生(修士)に注目すると、化学、材料科学、農業科学、物理学、薬学・毒性学、工学の順番で参画割合が高い。大学院生(博士)については、免疫学、分子生物学・遺伝学、生物学・生化学、微生物学、植物・動物学といった基礎生命科学にかかわる分野において、参画割合が高い。ポストドクターについては、宇宙科学において突出して高く、これに環境/生態学、微生物学、分子生物学・遺伝学が続いている。本調査研究の範囲では、要因までは明らかにすることはできないが、ジュニア研究者の研究チームへの参画といっても、分野によって状況が異なることが分かる。

図表5 シニアクラス研究者とジュニア研究者

図表6 所属部門別の著者の職階・地位の組合せ[2004年~2012年、各組合せに該当する研究チームの割合]

注:「ジュニア研究者」とは、学部・大学院生(修士)、大学院生(博士)、ポストドクターを指す。SCは「シニアクラス研究者」を示す。

図表7 大学グループ別・分野別の著者の職階・地位の組合せ[2004年~2012年、各組合せに該当する研究チームの割合]

4. 調査対象論文の注目度(Q値)と研究活動に用いた資金や著者の構成

調査対象論文の注目度(Q値)と研究活動に用いた資金や著者の構成との関係について分析する。Q値とは、ある論文群に占める被引用数上位Top10%論文の割合である。論文をランダムに抽出した場合、抽出された論文群中のTop10%論文の割合(Q値)は10%となるはずである。したがって、Q値が10%より大きいか小さいかは、ある論文群における注目度の高い論文の度合いを知る上での目安となる。

研究活動に用いた資金源の組合せ別に、調査対象論文のQ値をみると(図表 8)、内部資金のみのQ値(3.4%)が最も低く、外部資金のみ(3種類以上)のQ値(14.4%)が最も高い。

この結果は、外部資金の数とQ値には正の相関があることを示唆している。しかし、本調査研究の範囲では因果関係までは分からない。ここでは考えられる仮説について述べる。第1の仮説として、注目度の高い研究を行っている研究者ほど、多数の外部資金を獲得している可能性が考えられる。別の言い方をすると、Q値は外部資金を獲得した結果として高くなっているのではなく、Q値が高い論文を生み出す研究者に外部資金が集中している可能性が考えられる。第2の仮説として、外部資金を獲得する過程でテーマが具体化される、外部資金を獲得したことで最先端の機器にアクセス可能になる、ポストドクターの雇用が可能となるなどの要因で研究の内容が、より洗練されたものとなり、結果としてQ値の上昇をもたらしている可能性が考えられる。この仮説の検証には、特定の研究者や研究チームについて、外部資金の獲得状況と論文のQ値との関係について時系列で把握する必要がある。

なお、各資金源の組合せの論文が、大学等又は公的研究機関から生み出されているTop10%論文に占める割合に注目すると、内部資金+外部資金(1種類)の割合が32.3%と最も大きく、これに内部資金のみ(16.7%)と外部資金のみ(16.7%)が続いている。最もQ値が高かった外部資金のみ(3種類以上)については、Top10%論文に占める割合は最も小さい(3.8%)。つまり、3種類以上の外部資金を活用した研究活動は全体としては小さい割合であり、ほとんどの研究活動は1~2種類の外部資金を活用することで実施されている。

図表9は研究チームの構成別に、調査対象論文のQ値を集計した結果である。Q値が最も高いのは、シニアクラス研究者と全ての種類のジュニア研究者から構成される研究チームであり、これにシニアクラス研究者とポストドクターから構成される研究チーム、シニアクラス研究者とポストドクター及び大学院生(博士)から構成される研究チームが続く。いずれの構成にも、ポストドクターが含まれており、ポストドクターの研究チームへの参画とQ値の間には正の相関があることが分かる。他方、Q値が低い研究チームの構成は、シニアクラス研究者と学部生・大学院生(修士)の組合せやシニアクラス研究者のみ(ジュニア研究者の参画なし)の場合である。前者のQ値は4.5%、後者は4.9%である。シニアクラス研究者と学部生・大学院生(修士)からなる研究チームについては、研究活動の教育としての側面も大きいと考えられ、そのためにQ値が低くなっている可能性がある。

図表8 調査対象論文のQ 値(資金源の組合せ別)[大学等又は公的研究機関、2004年~2012年]

図表9 調査対象論文のQ値(研究チームの構成別)[大学等又は公的研究機関、2004年~2012年]

注:「ジュニア研究者」とは、学部・大学院生(修士)、大学院生(博士)、ポストドクターを指す。SCは「シニアクラス研究者」を示す。

5. 最後に

最後にまとめとして、論文実態調査から得られた示唆と今後の課題を私見も交えて述べる。

まず、論文実態調査を通じて、研究活動の様相(研究に用いている資金源や研究チームの構成)が大学グループによって異なることが明らかになった。これは、大学における研究マネジメントは画一的ではなく、大学の状況に応じた対応が必要であることを示唆している。論文実態調査では、大学グループレベルの状況しか分からないが、個別大学においては研究室単位で研究活動の状況を把握することで、研究マネジメントに直結するデータが得られると考えられる。

次に、大学の研究活動においてジュニア研究者は大きな役割を果たしていることが再確認された。筆者は日頃の調査研究等で、有識者に接する機会が多いため、研究活動はシニアクラス研究者が主体となって実施されているとの印象を持っていた。しかし、論文実態調査の結果は、大学における研究活動における学生の果たす役割を再認識させてくれた。他方で、2003年度をピークに、日本では博士課程後期への進学者数が減少している1)。これらを踏まえると、今後、ジュニア研究者の確保・育成ができない大学や分野については将来的に研究力の大きな低下につながる可能性がある。分野によってジュニア研究者の参画状況が異なることを考慮すると、ジュニア研究者の確保・育成については、大学のみでなく、分野別に研究者が集まっている学協会においても考えるべき視点であろう。

最後に、外部資金を活用している論文においてQ値が高い傾向にあることは、研究者の切磋琢磨が研究の注目度と関係していることを示唆している。他方で、外部資金への過度の依存は、研究室の運営や研究の継続性に困難を持たす可能性がある。本調査研究の結果は、切磋琢磨している研究者の雇用の安定性の確保及び研究活動について継続性の維持が重要であることを示している。加えて、シニアクラス研究者のみから構成される研究チームと比較して、シニアクラス研究者とジュニア研究者から構成される研究チームの方が、注目度が高い論文を生み出す割合が高いという結果は興味深い。ジュニア研究者の教育研究を通じて、科学の進展にも大きく貢献するというのは大学という組織の醍醐味(だいごみ)ではないかと筆者は感じる。

本調査研究から、インプットとアウトプットの間を結ぶプロセスの一端がみえてきたと言える。今後は、これらの状況についてのより動的な分析、つまり、資金源等の変化が研究者の行動にどのように影響し、結果として我が国から生み出される知識の量や質にも何らかの変化をもたらしたのかを理解していく必要がある。そのためには、著者らのような科学計量学の専門家に加えて経済学者も交えた「科学の経済」13)の視点からの研究の実施が求められるだろうし、リサーチ・アドミニストレータ等の現場の知見を仮説構築にいかすことも有用だと考えられる。


注1 我が国の先行研究として、富澤ら9)は、優れた成果をあげた研究者(トップリサーチャー)、約900名への質問票調査から、トップリサーチャーの特徴や研究体制、研究環境の実態を示した。長岡ら1011)は日米の研究者(約4,400名)を対象とした包括的な質問票調査(科学者サーベイ)を実施し、調査対象とした論文を生み出した研究プロジェクトについて、研究プロジェクトの動機、研究チームの構成、研究マネジメントの実施状況、研究プロジェクトから生み出された研究成果などの情報を包括的に収集した。2016年9月に開催されたOECD Blue Sky Forum on Science and Innovation Indicatorsでは、研究開発活動を把握する手段としての研究者等への直接的なサーベイの可能性が議論された12)

注2 具体的には、日本の大学全体における論文数シェア(2005-2007年)が、5%以上の大学を第1グループ(4大学)、1%以上~5%未満の大学を第2グループ(13大学)、0.5%以上~1%未満の大学を第3グループ(27大学)、0.05%以上~0.5%未満の大学を第4グループ(135大学)とした。これらの大学で、日本の大学から生み出される論文のほとんどをカバーしている。

参考文献

1) 科学技術・学術政策研究所 科学技術・学術基盤調査研究室 (2017). 科学技術指標2017, 科学技術・学術政策研究所 調査資料-261. http://doi.org/10.15108/rm261

2) 村上 昭義, 伊神 正貫 (2017). 科学研究のベンチマーキング2017, 科学技術・学術政策研究所 調査資料-262. http://doi.org/10.15108/rm262

3) 科学技術政策研究所 (2009). 日本の大学に関するシステム分析, 科学技術政策研究所 NISTEP REPORT No. 122.

4) 阪 彩香, 桑原 輝隆 (2012). 研究論文に注目した日本の大学ベンチマーキング2011, 科学技術政策研究所 調査資料-213.

5) 阪 彩香, 伊神 正貫 (2015). 研究論文に注目した日本の大学ベンチマーキング2015, 科学技術政策研究所 調査資料-243.

6) 村上 昭義, 伊神 正貫, 阪 彩香 (2017). 論文データベース分析から見た大学内部組織レベルの研究活動の構造把握, 科学技術・学術政策研究所 調査資料-258. http://doi.org/10.15108/rm258

7) 神田 由美子, 伊神 正貫(2017). 日本の大学システムのインプット構造―「科学技術研究調査(2002~2015)」の詳細分析―, 科学技術・学術政策研究所 調査資料-257. http://doi.org/10.15108/rm257

8) 伊神 正貫, 阪 彩香, 富澤 宏之(2017). 論文を生み出した研究活動に用いた資金と人的体制-2004~2012年に出版された論文の責任著者を対象にした大規模質問票調査の分析(論文実態調査)-, 科学技術・学術政策研究所 DISCUSSION PAPER No.146. http://doi.org/10.15108/dp146

9) 富澤 宏之, 林 隆之, 山下 泰弘, 近藤 正幸 (2006). 優れた成果をあげた研究活動の特性:トップリサーチャーから見た科学技術政策の効果と研究開発水準に関する調査報告書, 科学技術政策研究所 調査資料-122.

10) 長岡 貞男, 伊神 正貫, 江藤 学, 伊地知 寛博 (2010). 科学における知識生産プロセスの研究 -日本の研究者を対象とした大規模調査からの基礎的発見事実 -, 科学技術政策研究所 調査資料-191.

11) 長岡 貞男, 伊神 正貫, John P. WALSH, 伊地知 寛博 (2011). 科学における知識生産プロセス:日米の科学者に対する大規模調査からの主要な発見事実, 科学技術政策研究所 調査資料-203.

12) http://www.oecd.org/innovation/blue-sky.htm (2017年5月9日閲覧)

13) Stephan, P.E. (2012). How Economics Shapes Science. Harvard University Press.