特集[6]

平成14年度科学技術関係予算編成の概要

総括ユニット 横尾 淑子


はじめに

 新年度となり、第2期科学技術基本計画(以下、基本計画)の2年目がスタートした。新しい科学技術行政体制も軌道に乗り、基本計画の具現化に向けての本格的な取り組みが始まった。

 そこで、ここでは、平成14年度科学技術関係予算の編成プロセスを総合科学技術会議の活動を中心に概観する。これは、新行政体制下での初の予算編成であり、来年度以降の予算編成のプロトタイプの性格を持っている。併せて、平成14年度科学技術関係予算の概要を紹介する。

新体制での予算編成 ―総合科学技術会議の活動―

 平成13年3月の総合科学技術会議本会議において、諮問第1号「科学技術に関する総合的戦略について」の答申が示され、これを受けて政府は第2期科学技術基本計画を決定した。

 また、総合科学技術会議が発足して本会議が毎月開催されるようになり、重要事項は本会議において審議、決定されるようになった。

 ここでは、平成14年度予算編成の過程を総合科学技術会議の政策審議、決定との関連から見ていくこととする。

 総合科学技術会議は、平成14年度予算の編成に当たり、「分野別推進戦略の検討」→「予算、人材等の資源配分の方針提示」→「資源配分の方針の施策への反映状況の確認」という審議スケジュールで臨んだ。

 まず、5月の本会議において、平成14年度予算に向けた課題が審議された。併せて、@概算要求前の早い段階に資源配分方針を作成し、これに基づき予算要求が行われるようにすること、A関係省庁から行われた概算要求事項の内容を評価し、優先順位を付けて、財務当局との連携の下に、資源配分が行われるようにすること、が決定された。

 基本計画に示された重点分野の分野別推進戦略については、3月の本会議での決定に基づき、検討のための重点分野推進戦略専門調査会が設置された。同専門調査会は、分野ごとにプロジェクトを設置して検討を行い、毎月の本会議において、各分野においてどこに重点を置くべきかを中心に検討状況を報告した。資源配分の方針については、重点分野推進戦略専門調査会が、科学技術システム改革専門調査会及び評価専門調査会と連携して、調査、検討を進めた。

 これらを踏まえて、7月の本会議では、概算要求の基本的な考え方を示した「平成14年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」(以下、資源配分方針)が決定された。ここでは、基本計画で示された重点分野等についてメリハリをつけて重点化を図ること、並びに、世界最高水準の成果を生み出す研究環境構築のためのシステム改革が示された。そして、各省庁は概算要求にこの方針を十分に反映させ、また、総合科学技術会議は、予算編成過程において必要に応じて財務当局と連携を図る等の対応をとることとした。

 8月には、政府が「平成14年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」(平成13年8月10日閣議了解)を決定した。これにより、重点7分野(環境問題への対応、少子・高齢化への対応、地方の活性化、都市の再生、科学技術の振興、人材育成・教育・文化、IT国家の実現)に手厚く配分することを趣旨とする「構造改革特別要求」が認められた。総合科学技術会議は、この特別要求について、資源配分方針に則って科学技術振興に関連する予定施策の精査を行うこと、公共投資重点化措置に関して科学技術振興の観点から施策を点検すること等を決定した。

 9月には、各省庁から出された特別要求の予定施策について、科学技術政策担当大臣並びに総合科学技術会議有識者議員がヒアリングを行った。そして、資源配分方針並びに構造改革の視点から優先順位付けを行った。他分野の検討結果と併せ、内閣官房から最終的な調整結果が各省庁に提示され、構造改革特別要求の概算要求が行われた。

 その後、総合科学技術会議は、概算要求全体についての精査を行った。資源配分方針並びに9月の本会議で審議・決定された「分野別推進戦略」に沿って、施策を体系的に整理し、積極的に推進すべき施策、連携して実施すべき施策の進め方の検討を行った。11月の本会議では、「平成14年度科学技術関係予算の編成に向けて(意見)」として、予算編成に当たって配慮すべき点をとりまとめた。概算要求において、全体として科学技術の重要性が反映されているが、国立大学等の施設整備のように一層の充実が求められる施策もあるとされ、また、科学技術の戦略的重点化、システム改革について重視すべき事項が示された。

 こうした過程を経て、今年度予算案が決定された。総合科学技術会議は、総合的な運用を図るべき施策、引き続き内容の精査、戦略体制の具体化が必要な施策等について、資源配分方針、分野別推進戦略等に沿った施策の推進がなされるよう、実施状況を把握し、調整を図ることとした。

今年度科学技術関係予算の概要

科学技術関係経費総額

 科学技術関係経費とは、国の予算のうち、大学における研究に必要な経費、国立試験研究機関等(独立行政法人、特殊法人の研究機関含む)に必要な経費、研究開発に必要な補助金、交付金及び委託費、その他研究開発に関する行政に必要な経費等、科学技術の振興に寄与する経費である(ここでいう経費とは、人件費、謝金、旅費、試験研究費、庁費、設備費、施設費、委託費、補助金、出資金等の予算上の全ての目を含めたものである)とされている。科学技術振興費とは、一般会計予算のうち主として歳出の目的が科学技術の振興にある経費のことであり、科学技術関係経費は、科学技術振興費に、一般会計中のその他の研究関係費(エネルギー対策費等)及び特別会計(国立学校特別会計、電源開発促進特別会計等)中の科学技術関係費を加えた経費で、文部科学省が集計している。

 今年度予算の一般会計総額は81兆円(前年度比1.7%減)、そのうち一般歳出は47.5兆円(同2.3%減)である。そうした中で、科学技術振興費は、1.2兆円(前年度比5.8%増)と大きな伸びを示している。科学技術関係経費総額は3.5兆円で、前年度比2%増となっている。

 なお、重点配分を行うとした構造改革特別要求について見ると、総額約2.7兆円のうち、「科学技術・教育・ITの推進」に約0.9兆円が配分された。そのうち科学技術関係の施策例を以下に挙げる。

省庁別予算

 科学技術関係経費を省庁別に見ると、文部科学省が2.3兆円と総額の64%を占め、次いで、経済産業省5,972億円、防衛庁1,435億円、厚生労働省1,281億円、農林水産省1,224億円となっている。前年度からの増減率では、経済産業省が6.4%(359億円)増と最も高く、次いで厚生労働省3.4%(42億円)増、文部科学省2.4%(523億円)増となっている。一方、防衛庁は3.7%(55億円)減となっている。

重点分野の経費

 基本計画で示された重点分野に従って分類した結果を図表4に示す。

 主目的の経費は、エネルギー分野が最も多く6,841億円(相対比率45%)、次いでフロンティア分野2,780億円(18%)、社会基盤2,005億円(13%)となっている。関連施策として分類された額、独立行政法人(参考値)、競争的資金(参考値)を加えた計を見ると、環境分野が最も多く7,643億円(相対比率26%)、次いで、エネルギー分野(7,033億円、24%)、ライフサイエンス分野(4,336億円、15%)となっている。

 ナノテクノロジー・材料分野は、主目的施策で115億円、計で1,232億円とわずかを占めるに過ぎないが、前年度と比較すると、主目的施策経費で58%、関連施策経費で35%、計で13%と、飛び抜けて大きな伸びを示している。主たる施策としては、(独)物質・材料研究機構運営費交付金(文部科学省)167億円の他、経済産業省のナノテクノロジープログラム(83億円)や文部科学省のナノテクノロジー総合支援プロジェクト(38億円)などが挙げられている。また、環境分野も主目的施策経費が33%と大きく伸びた。

競争的資金

 競争的資金は、前年度比5.5%増の3,446億円と拡充が図られた。そのうち、科学研究費補助金は7.8%増、科学技術振興調整費は6.4%増となっている。

産業競争力強化・産学官連携

 産業競争力強化・産学官連携に関する今年度予算は3384億円で、前年度比29%増と大幅に増加した。

 主な施策としては、経済産業省の産業技術研究開発委託費(95億円)や、文部科学省の産学官連携イノベーション創出事業(71億円)などがある。

地域科学技術振興

 地域科学技術振興に関する今年度予算は688億円で、前年度比40%増と産学官連携にも増して大きな伸びを示した。主な施策としては、経済産業省の地域新生コンソーシアム研究開発事業(88億円)や、文部科学省の地域科学技術振興に関する事業の推進に必要な経費(86億円)などがある。

おわりに

 平成14年度予算は、以上のようにして決定された。総合科学技術会議は、この予算のフォローアップ作業として、各省庁の具体施策のヒアリング、とりまとめ等を進めている。科学技術予算について、ひとつの流れが確立しつつあるが、平成15年度予算編成に向けて、研究テーマの事前、事後等の評価などを組み込んでいくなどの課題が残されている。