調査資料−75

21世紀の科学技術の展望とそのあり方


平成12年12月7日
科学技術庁 科学技術政策研究所
第4調査研究グループ
宇都宮 博
小笠原 敦
桑原 輝隆


目次

はじめに
21世紀の科学技術の展望とそのあり方
 I.21世紀の科学技術の展望
II.21世紀の科学技術のあり方
参考資料

はじめに

科学技術政策研究所では、21世紀に科学技術がどのような進展を見せるかを展望するとともに、21世紀における科学技術のあり方に関し、念頭におくべき諸点について検討した。
検討の進め方として、現在実施途中である第7回技術予測調査の第1次アンケート調査(2000年8月発送)の際に、回答者である各分野の専門家の方々(企業、大学、政府研究機関等の研究者、技術者)に「21世紀中に実現する、あるいは実現して欲しい画期的な新技術や、これに伴う生活や社会の根本的な変化など」について、必ずしも自己の専門領域にこだわらず、自由な発想でコメントを求めた(参考資料)。
第1次アンケート調査票の送付数は約4,600通、回収数は約3,800通あり、このうち21世紀の科学技術に関するコメントが記述されたものは約1,200通であった。この資料は、それらのコメントを参考にして、科学技術政策研究所においてとりまとめたものである。
とりまとめにあたっては、「こうなってほしい」、「こうなるべきだ」、あるいは「こうなってほしくない」というような視点を避け、極力「こういうことが起こり得る」という視点に立つことにした。なお、とりまとめにあたって取り上げなかった事項としては、以下のものがある。
1)21世紀の比較的早い時期に実現すると思われるもの
2)技術と関連しない社会予測
3)タイムマシン、瞬間移動、反重力装置のような現在の科学の延長上では実現する可能性がないと考えられるもの(別紙参照)
列記した事項の中には、個々の人にとって「決してそのようなことが現出してほしくない」と考えられるものもあろうし、また相矛盾する、あるいはちょうど180度異なるものもある。しかしながら、これらはいずれも、今後の諸状況の推移次第で起こり得ると考えた。
また、回答者の多くが21世紀の科学技術の展望を述べるとともに、科学技術のあり方に関し、求められる哲学、倫理的側面、社会との関わり等についてもコメントを付している。21世紀の科学技術を考える際には、これらの事項がこれまでに比べ格段に重要となると考えられ、それらのコメントを参考に、「21世紀の科学技術のあり方」をとりまとめた。
とりまとめた事項は、各専門家の自由な発想を集大成したものであり、必ずしも体系的に検討を行ったものではないため、網羅性が十分でない可能性もあるが、回答者がコメントとして提案した以外の予測事項を付け加えることはしていない。
予測事項のうち、多くの回答者が提案した代表的な事項としては、以下のものがある。
1)長寿化
2)太陽光発電の拡大
3)音声言語によらないコミュニケーション
4)人間・ロボットの共生
5)宇宙旅行
6)自然災害の制御
科学技術のあり方については、必要があれば科学技術の発展を社会が抑制することも含めて、科学技術の方向性を定める哲学、倫理などの確立が必要とする意見が多く見られた。

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21世紀の科学技術の展望とそのあり方

1. 科学技術政策研究所においては、21世紀に科学技術がどのような進展を見せるかを展望する試みを行った。同時に、その展望を踏まえながら、21世紀における科学技術のあり方に関し、念頭に置いておくべき諸点についても検討した。
2. 検討の進め方として、現在実施途中である第7回技術予測調査の第1次アンケート調査の際に、回答者である各分野の専門家の方々に「21世紀中に実現する、あるいは実現して欲しい画期的な新技術や、これに伴う生活や社会の根本的な変化など」についてのコメントを求めた。
3. 第1次アンケート調査票の回収数は、全部で約3,800通であり、このうち、21世紀の科学技術に関するコメントが記述されたものは約1,200通であった。この資料は、それらのコメントを参考にして、科学技術政策研究所においてとりまとめたものである。
4.

とりまとめは、「こうなってほしい」、「こうなるべきだ」、あるいは「こうなってほしくない」というような視点を避け、極力「こういうことが起こり得る」という視点に立って整理した。なお、整理にあたって取り上げなかった事項としては、以下のものがある。

(1)21世紀の比較的早い時期に実現すると思われるもの
(2)技術と関連しない社会予測
(3)タイムマシン、瞬間移動(テレポート)、反重力装置のような現在の科学の延長上では実現する可能性がないと考えられるもの(別紙参照)
5. 列記した事項の中には、個々の人にとって「決してそのようなことが現出してほしくない」と考えられるものもあろうし、また相矛盾する、あるいはちょうど180度異なるものもある。これらはいずれも、今後の諸状況の推移次第で起こり得ると考えた。
6. 回答者の多くが「21世紀の科学技術のあり方」に関し、求められる哲学、倫理的側面、社会との関わり等についてもコメントを付している。21世紀の科学技術を考える際には、これらの事項がこれまでに比し格段に重要となると考えられ、それらのコメントを参考に、「21世紀の科学技術のあり方」をとりまとめた。


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I. 21世紀の科学技術の展望

1.遺伝子技術の発展

【遺伝子技術による人類の進化】
DNA塩基配列・全蛋白の機構解明により疾病因子の少ない人類への進化が可能となる。一方、多型性に富まない遺伝子をもつ人類が増加し、その結果、感染症が死因の1位となり、人類は重大な危機にさらされる。
【宇宙進出のための人間の進化】
人体に低酸素、宇宙線、低温・高温などへの耐性をつけるための遺伝子レベルでの処置が行われることにより、人類が宇宙進出するにあたっての様々な障害が克服される。
【人類の小型化】
小さいほどすばらしいとの意識改革が進み、徐々に人類の大きさは小型化して行き、食糧・人口問題は解決する。
【人工生命体の実現】
化学合成によって人工生命体が実現する。

2.脳科学の発展

【思考支援技術】
脳のメカニズムが解明され、脳へ直接情報を記憶させたり、忘れさせたりすることができるようになる。また、経験したことが自動的に記録され、思い起こしただけで正確な情報が再生できる機器が開発され、人間の思考を支援する。
【認識メカニズムの解明】
盲目の人の視神経または脳に直結して、物体の形、色の感覚を与えられる物体認識デバイスが開発される。
【創造的活動をするコンピュータ】
人間の脳機能(知覚、思考、学習、記憶)をも超えるコンピュータが開発され、人間並に創造活動を行うことができるようになる。

3.医療の変革

【再生医療の普及】
生体から分離した細胞をもとに、あらゆる機能性細胞を試験管内で大量に生産する技術が確立する。これにより、再生医療が一般的化し、治療後の人体は、元々の身体部分、クローン臓器、人工組織で構成されることが普通になるが、再生医療が脳にまで及ぶと本当の自分とは何なのかが問題となる。
【長寿化】
遺伝病をはじめ全ての病気が治療可能となり、平均寿命が大幅に延びるとともに、老化の速度を制御できるようになり、健康な高齢化社会が訪れる。
【健康の自己管理】
体内の遺伝子発現の状態を個人が家庭で測定したり、体内に常駐するマイクロ機器によって健康状態をモニターすることが可能になり、健康状態を最適に維持することができるようになる。
【マイクロロボット医療】
体内に入って検査・治療するマイクロロボットの技術が進歩し、外科手術にとってかわるようになる。
【生体を超える義手・義足】
5本の指と関節があり、神経に直結して制御でき、筆を持って字が書ける義手など、ロボット技術によって義手、義足が人間の手足もしくはそれ以上の能力を持つようになる。

4.食糧問題

【遺伝子技術による食糧問題の解決】
遺伝子技術の安全性が確立されることにより、遺伝子組換え植物、動物の利用による食糧生産が増大し、食糧問題が解決される。
【遺伝子技術によらない食糧生産】
倫理的な問題、安全上の問題で動植物の遺伝子組換え技術は普及せず、かわりに植物の光合成メカニズムを利用した人工光合成技術や、動植物幹細胞の食糧化技術を利用した新たな食糧生産が可能となり、人類の食生活を大きく変える。

5.循環型社会・経済の形成

【バイオマス社会】
バイオマスを原料とエネルギー源とする有機工業社会が到来する。構造材はバイオマスから作られたプラスチックや繊維が多用され、電子回路も有機半導体やバイオエレクトロニクスが主流となる。エネルギーについても、バクテリアによる水素・メタンの生産を利用した燃料電池が普及する。
【ナノテクノロジーによる完全循環型社会】
あらゆる物質(ゴミを含む)を原子レベルまで分解し、その原子を直接自由に操作して、物質や材料の合成を行う完全リサイクル技術が実現し、完全循環型の社会が構築される。

6.エネルギー供給

【宇宙太陽光発電】
宇宙での大規模かつ安価な太陽光発電技術と安全な送電技術が確立し、宇宙太陽光発電所が実現する。
【太陽光発電の拡大】
ビルや家屋の外壁、窓ガラス、瓦などが、すべて太陽電池の機能を持った素材で作られるようになるとともに高効率の蓄電技術が開発され、太陽光発電が全エネルギー供給の大半を占めるようになる。
【原子力の未来】
小型でかつ安全な原子力発電の方式が開発され、原子力が基幹エネルギー源として見直される。
さらに核融合発電技術が確立し、火力発電および核分裂式発電は全廃される。
【全世界電力ネットワークの形成】
世界規模で常温超電導ケーブルを使用した電力ネットワークが発達し、各国間の時差を利用したピーク電力の融通など最適なエネルギー供給が行われる。
【蓄熱技術の発展】
夏の熱を蓄積し、冬に利用できるような蓄熱技術が開発され、太陽熱エネルギーの高効率利用が実現する。
【巨大自然エネルギーの利用】
台風、地震、火山のような自然の猛威をエネルギーに変換し利用する技術が開発される。

7.人間の生活圏の変化

【宇宙都市の実現】
月、火星、宇宙ステーション等地球外で生活する人は、短期的な観光旅行者も含め相当の規模に達する。また宇宙空間への移動手段もロケットだけではなく、赤道上空に静止軌道基地と地表を結ぶエレベータが設置され、大気汚染やエネルギー問題を伴わずに大勢の人を運ぶ。
このような変革が経済発展を促す一方で、宇宙に地上の国境線を持ち込むことの不合理性が顕在化し、主権国家から独立した国際宇宙機構が誕生する。
【地下の利用】
工業生産は全て地下で行われ、地表は食糧生産、生活の場となる。
【人間圏と自然圏の分離】
人間の生活・生産などの活動は基本的に100万都市が入るような巨大な閉鎖空間、あるいは宇宙都市、地下都市、海底都市の中で行われ、地球規模で自然が回復する。
【シェルターに住む人類】
大気汚染、オゾン層破壊が深刻となり、都市、住宅はシェルター化せざるをえず、人々は完全に外気と隔離された人工空間の中で生活するようになる。
【生物多様性の維持】
自然環境や生態系の維持・管理技術が発展し、生物種の絶滅がなくなり生物の多様性が維持される。

8.20世紀の「負の遺産」の処理

【環境を修復・改善する生物】
不毛の地を緑化できる植物、窒素酸化物を吸収して空気を浄化する樹木、海や湖の汚染を浄化できる生物サイクル技術などが実現する。
【温暖化ガス対策】
二酸化炭素の深海、宇宙空間への投棄、バイオ技術による固定法(サンゴなど)が確立される。
【オゾン層の修復】
オゾン層の修復が可能になる。
【地雷除去バクテリア】
地雷のみに反応して、これらを安全に化学分解し土に返してしまうというような、地雷を無力にする特殊なバクテリアが開発される。

9.コミュニケーション

【音声言語によらないコミュニケーション】
脳の活動状態を検出・解読し、信号に変換・伝送する技術により、人と装置、人と人との伝送波による直接通信が可能になる。例えばコンピュータへの入力も直接脳から行い、テレビのような放送も直接脳が受信するようになる。また、これを応用して動物とのコミュニケーションも可能になる。
【空間映像技術】
空間に立体映像を映すことができる技術が開発され、液晶ディスプレーのような表示装置は姿を消す。立体映像テレビは、「におい」、「質感」などの情報も提供し、あたかも現場にいるような臨場感あふれるものとなる。
【自動翻訳を駆使した多様な言語の共存】
音声翻訳技術の普及により、世界人口の80%以上の人々にとって母国語で会話や議論が可能な環境となり、経済・社会・文化の交流が極めて豊かになる。
【世界言語の統一】
情報やモノの流通が地球の隅々まで行われることにより、次第に言語も統一されて国家概念が無くなる。
【人間・ロボットの共生】
人間と同等以上の運動機能と一定の知的判断機能を有する完全自律型ロボットが誕生する。人々の生活に密着したところで、人間とロボットの共生が始まる。

10.政治

【コンピュータ化された民主主義】
コンピュータによる最大多数の最大幸福の総合計算を信頼する社会合意がなされ、政府の政策、予算案等で適用されるようになる。

11.交通と旅行

【陸上交通機関の脱化石燃料化】
燃料電池、小型大容量の蓄電池による電気自動車が主流になり、ガソリンや軽油等の化石燃料を使用する内燃機関の車がほとんど無くなる。
【新たな公共交通】
日常生活圏を移動する交通機関は、個人が所有・運転する自動車から、公共が管理・運行する太陽光などの自然エネルギーを利用した自動車となる。この自動車の利用は誰でも希望すればすぐに用意され、自動運転で目的地まで乗ることができる。
【空中移動の拡大】
自動車に代わるような個人用の超小型航空機が広く普及し、個人の移動手段は空中移動が中心となり、世界の至る所に移動できるようになる。
【宇宙旅行】
宇宙旅行の一般化が進み、月や火星などへのツアー募集を日常的に見かけるようになる。
【深海旅行】
1,000mを超える深海探検ツアーが人気を呼び、深海遊覧ビジネスが盛況となる。

12.安全・安心

【自然災害の制御】
大気、海洋、大陸のモニタリング技術が進み、気候変動や環境変化の正確な予測、地震の時間単位の予知が可能となる。さらに、気象・自然現象のコントロールが可能となり、台風・地震・竜巻などの天災を未然に防ぐことができる。
【犯罪防止】
倫理観、道徳観の欠落や、衝動的な犯罪行動と脳機能との関連性を解明することにより、それらの対応策が確立して犯罪がほとんど無くなる。
【ヒューマンエラーの防止】
安全性を確保するためのシステム技術、例えば、病院で医療ミスが起こりそうになったとしても、それが深刻な状態に陥らないようなシステム技術(人と情報と機械を含むシステム)が確立し、人のミスに起因する事故がほとんど無くなる。
【交通事故の解消】
自動車の自動運転化、安全機器の発達と交通インフラの整備により交通事故がほとんどなくなる。
【安全な輸送システム】
事故を全く起こさない航空機などの交通システムが実現する。


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II.21世紀の科学技術のあり方

1.21世紀の科学技術に関する哲学の構築の必要性

20世紀の科学技術のめざましい発展は生活を豊かにすることに大きく寄与したが、その反面物質的な充足が必ずしも人類の幸福に結びつかず、地球環境の破壊など負の側面も目立ってきている。21世紀は、「人間とは何か」、「進歩とは何か」という命題、さらに「満足とは何か」という情緒的なことを深く考える哲学的思想の時代になる。このような哲学に基づいて、科学技術の独走を抑え、社会・文化面、精神面などの要素をとりいれた、科学技術の新しい方向性を構築してゆくことが必要である。

2.科学技術に関する新しい倫理の確立

20世紀の科学技術は強者・多数のためのものという色彩が強かった。南北格差、環境破壊、生命倫理に関わる問題などは、20世紀の負の遺産である。21世紀の科学技術は、弱者や少数の立場の人々もその成果を享受できるものでなくてはならず、技術が一人歩きしてしまわないように、倫理面から一定の規制を設ける必要がある。また、すべての人々にとっての「安全・安心」は、技術を評価していく上での重要なフィルターになろう。

3.精神的な充足をもたらす科学技術の必要性

19世紀、20世紀は科学技術の急速な進展による物質文明の発展の世紀であった。同時に科学技術の発展はその成果を享受できる人間とできない人間を生み出した。21世紀にはこうして発展した文明社会を人類全体が共有していくため、人間の精神活動とその健全さが一層重要となる。人間の精神的な充足に寄与する科学技術を求めて行かなくてはならず、そのためには、人間の精神的な充足そのもの(脳機能)を科学的に研究していくことも非常に重要となる。

4.自然との共生を可能とする科学技術

20世紀の過去50年間は「作ること」の科学技術が目覚ましい発展をもたらした。反面、地球環境の破壊などの、負のインパクトも生まれ、21世紀への負の遺産として残された。技術革新は自然界に存在しない事象を作り出すことにつながるため、自然界に対する影響をいかにしてミニマイズしていくかが重要な課題となる。「人類の幸福」に内在する「自然界の法則に反する人類の欲求」をどこまで充足すべきなのか、21世紀は自然と人間が共生できる道を探るとともに、環境に対する人類の感受性を高めつつ、環境調和型の科学技術の新しい方向を考案する時代でなくてはならない。

5.科学技術に対する社会のより深い関わり方の必要性

21世紀には各種の画期的技術が実現すると考えられるが、常に地球規模の視点に立って考えていくことが重要であり、一つの技術に対し多面的な考察を徹底的に加え、科学技術の影響を評価・予測し、その結果次第では科学技術(知的な探究そのものや情報の流通)を制限することが必要である。このため、科学者・技術者は技術の進歩に対して夢を語るばかりでなく、それに対するリスクを推定し、説明する責務を果たすと共に、社会の側においても科学技術に対する関心と知識を持ち、地域、国家あるいは人類といった視点から適切な評価・判断を下していく枠組みを作って行かなくてはならない。

6.科学技術と人文社会科学の交流・融合の必要性

約2500年間の「人類の知の歴史」をひもときながら、何のための経済成長か、何のための科学技術向上か、私達が抱えている問題の本質は何かなどを考えなくてはならない。生命科学と情報技術の進歩は、人類社会の存在を根本的にゆるがしかねない可能性を持っており、経済以外の、社会要素を大きく取り入れた、科学技術の新しい方向性を探りながら、技術展望を行うためには、すべての科学分野―人文科学、社会科学、自然科学―の共同作業が不可欠である。21世紀には、従来以上に、科学技術と人文社会科学の交流、融合を進めると共に、来るべき時代に対応できる人文社会科学の発展が不可欠である。

7.科学技術教育の充実の必要性

我が国の科学技術の将来を考える場合、科学教育の重要性は言うまでもない。研究者の育成と産業の発展という観点からだけではなく、社会が科学技術を理解・判断し、受け入れるという素地を作らなければならない。その点で、現在の日本のおかれている状況は大変厳しい。教育ビジョンを立て、長期的な視野を持った科学技術教育の拡充を図ることが重要である。さもなければ、今後20〜30年後には、人材と技術の空白期間が間違いなく訪れ、優秀な外国人雇用に向かわざるを得なくなるのではないか。


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別紙

 なお、現在の科学技術の延長上では実現する可能性はないと考えられるが、以下の意見もあった。

【瞬間移動】
 人、物の任意の場所への瞬間移動(テレポーテーション)が可能となる。
【タイムマシン】
 タイムマシンにより自由に過去や未来の世界を体験することができる。
【反重力技術】
 重力を操作すること(反重力)が可能となり、自由に空間を移動する手段を得ることができる。
【不老不死】
 バイオテクノロジーの進展による身体のパーツの高度なメンテナンス技術や不老不死薬の開発により、不老不死が実現する。
【宇宙人との交流】
 宇宙人との交流が始まり、様々な新技術が宇宙人から導入される。

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参考資料

第7回技術予測調査に添付した「21世紀中に実現する、あるいは実現して欲しい画期的な新技術や、これに伴う生活や社会の根本的な変化など」の回答書式

総合コメント等

本調査全体に対するコメントを自由にお書き下さい。*
本年は、21世紀の変わり目に当たり、超長期的な展望をする良い機会と考えられます。今から100年前には、別紙に示すような、20世紀の予言が行われています。その内容は、コンピュータ、原子力、宇宙開発など予見できなかった技術進歩もありますが、当時としてよく現在を予測できたと思われるものも多く含まれています。
このような超長期の展望をまとめ、次代を担う子供たちをはじめ社会に提供することも、今後の科学技術にとって有意義と考えます。そこで、次の100年を考えて、21世紀中に実現する、あるいは実現して欲しい画期的な新技術や、これに伴う生活や社会の根本的な変化などについて、是非お考えをご記入ください。必ずしも、ご専門分野のことに限っていただかず、自由な発想のご提案を期待しています。ご提案いただいた意見は、デルファイ法の予測調査結果とは別に整理して、本年年末頃にとりまとめ、その内容はホームページ等を通じて回答者の皆様にもお知らせする予定にしております。
「記入欄」
* 本調査とは、今後30年間を予測した第7回技術予測調査のことである。

(参考)1901年の報知新聞「20世紀の予言」

(表記を一部改め、長文のものは部分的に示してあります)
(無線電信電話) 電信のみならず無線電話は世界諸国に連絡して、東京に在るものが倫敦(ロンドン)、紐育(ニューヨーク)にいる友人と自由に対話することを得べし
(遠距離の写真) 数十年の後欧州の天に戦雲暗澹たるとあらん時、東京の新聞記者は編集局にいながら電気力によりてその状況を早取写真となすことを得べく、而してその写真は天然色を現象すべし
(野獣の滅亡) 阿弗利加(アフリカ)の原野に到るも獅子、虎、鰐魚等の野獣を見ること能わず(サハラ砂漠) サハラの大砂漠は漸次沃野に化す
(7日間世界一周) 19世紀の末年において少なくとも80日間を要したりし世界一周は、20世紀末には7日を要すれば足る
(空中軍艦・空中砲台) チエッペリン式の空中船は大いに発達して、空中に軍艦漂ひ空中に修羅場を出現すべく、従って空中に砲台浮かぶの奇観を呈する
(蚊及び蚤の滅亡) 衛生事業進歩する結果、蚊及び蚤の類は漸次滅亡すべし
(暑寒知らず) 新器機機器発明せられ、暑寒を調和する為に適宜の空気を送り出すことを得べし
(植物と電気) 電気力を以て野菜を成長することを得べく、エンドウ豆は橙大となり、菊、ボタン、バラは緑、黒等の花を開くものあるべく、・・・
(人声十里に達す) 伝声器の改良ありて、十里の遠きを隔てたる男女互に婉々たる情話を為す(写真電話) 電話口には対話者の肖像現出するの装置あるべし
(写真電話) 電話口には対話者の肖像現出するの装置あるべし
(買物便法) 写真電話によりて遠距離にある品物を鑑定し、かつ売買の契約を整え、その品物は地中鉄管の装置によりて瞬時に落手することを得ん
(電気の世界) 薪炭、石炭ともにつき、電気これに代りて燃料となるべし
(鉄道の速力) 急行ならば1時間150哩以上を進行し、東京神戸間は2時間半を要し、・・・・
(市街鉄道) ・・・電気車、圧搾空気車も大改良を加えられ、車輌はゴム製となり、文明国の大都会にては街路上を去り、空中及び地中を走る
(鉄道の連絡) 鉄道は、五大州を貫通して自由に通行するを得べし
(暴風を防ぐ) 気象上の観測術進歩して天災来たらんとすることは1ヶ月以前に予測するを得べく、天災中の最も恐るべき暴風起らんとすれば、大砲を空中に放ちて雨となすを得べし
(人の身幹) 運動術及び外科手術の効によりて、人の身体は六尺以上に達す
(医術の進歩) ・・・顕微鏡とエッキス光線の発達によりて病原を摘発してこれに応急の治療を施すを自由なるべし
(自動車の世) 馬車は廃せられ、之に代ふるに自動車は廉価に購ふことを得べく、また軍用にも自転車及び自動車を以て馬に代ふることなるべし
(人と獣の会話自在) 獣語の研究進歩して、人と犬猫猿とは自由に対話をすることを得るに至る
(幼稚園の廃止) 家庭に無教養の人無きを以て幼稚園の用無く、男女共に大学を卒業せざれば一人前と見なされざるにいたらむ
(電気の輸送) 日本は琵琶湖の水を用い、米国はナイヤガラの瀑布によりて水力電気を起こして、各々全国内輸送することとなる
*報知新聞「二十世紀の預言」(1901.1.2)をもとに作成

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