俯瞰的予測調査 国際ワークショップ

「科学技術の中長期的発展に係る俯瞰的予測調査」の 1 年目終了に当たり、今後の調査に資することを目的として、海外有識者、ならびに調査関係者を招いての国際ワークショップを開催した。

会議名:
俯瞰的予測調査 国際ワークショップ
開催期間:
2004 年 3 月 3 日 (水)、4 日 (木)
場所:
文部科学省ビル 10F 会議室
開催体制:
科学技術政策研究所主催
開催趣旨:
昨今、科学技術政策立案への寄与が強く意識され、重点化戦略の策定などに貢献する技術予測が行われている。わが国では、現在、科学技術政策研究所が中心となり、第 3 期科学技術基本計画 (2006 〜 2010 年) の策定に向けた科学技術の予測調査を実施している。その一環として、海外有識者ならびに調査にご参画いただいている専門家の方々を招いて、海外の科学技術予測活動に関する動向把握、および技術予測活動の経験や科学技術戦略に関する情報交換を行い、調査手法を深めていくための知見を得ることを目的とし本ワークショップを開催する。

1. 開催目的

昨今、科学技術政策立案へ寄与することを強く意識しつつ、重点化戦略の策定などに貢献する技術予測が行われている。わが国では、現在、科学技術政策研究所が中心となり、第 3 期科学技術基本計画 (2006 〜 2010 年) の策定に向けた科学技術の予測調査を実施している。その一環として、海外有識者ならびに予測調査にご参画いただいている専門家の方々を招いて、海外の科学技術予測活動に関する動向を把握するとともに、技術予測活動の経験や科学技術戦略に関する情報交換を行い、調査手法を深めていくための知見を得ることを目的として、本ワークショップを開催した。

2. 会議の概要

会議は、1 日目は欧州における Foresight の最新動向、及び日本の動向に関する講演を一般公開で行い、2 日目は当所で実施している俯瞰的予測調査に関する関係者による討議を行った。

1 日目の参加者は 125 名、関係者による討議を行った 2 日目の参加者は 43 名であった。

会議の内容

  • 1 日目 (一般公開): 欧州における Foresight の最新動向、及び日本の動向に関する講演
    英国における Foresight の最新動向
    Prof. Ian Miles (英 マンチェスター大学)
    ドイツにおける FUTUR プロジェクトの最新動向
    Prof. Stefan Kuhlmann (独 フラウンホーファー協会システム・技術革新研究所)
    俯瞰的予測調査の概要
    桑原輝隆 (科学技術政策研究所)
  • 2 日目 (関係者): 俯瞰的予測調査の概要説明、及び関係者による討論
    デルファイ調査
    横田慎二 (科学技術動向研究センター)
    急速に発展しつつある科学技術領域調査
    伊神正貫 (科学技術動向研究センター)
    社会・経済ニーズ調査
    浦島邦子 (科学技術動向研究センター)
    注目科学技術領域の発展シナリオ調査
    奥和田久美 (科学技術動向研究センター)

3. 会議の成果

1 日目の会議を通じて、以下のことが認識された。

  • 技術予測の実施に当たっては政策決定過程との連携が必要であり、この点を踏まえ予測プログラムを評価していくことが今後の発展・改善につながる。
  • 現在実施中の日本の予測プログラムで取り組んでいるいくつかの手法を組み合わせるという新しい試みは、多角的に予測できる可能性があり大変興味深い。
  • これまで行ってきたような専門家のコンセンサス調査だけでなく、将来はこうあるべきとの規範的な視点も含め、多くの人々の参加する議論等を通して、政策的プロセスにも関係づけられるようにしていく、いわゆる第三世代の技術予測がますます求められる。
  • 海外の科学技術予測活動の動向把握、および技術予測活動の経験や科学技術戦略に関する情報交換を通じて、調査手法の知見をより一層深めることができた。

2 日目の会議は、「科学技術の中長期的発展に係る俯瞰的予測調査」の 1 年目終了に当たり、今後の調査に資することを目的として、海外の有識者、予測調査分科会委員、調査関係者をメンバーとした具体的かつ詳細に調査内容を検討するための議論を行った。

俯瞰的予測調査の概要について、説明がなされた後、活発な議論が行われた。

例えば、デルファイ調査については、技術課題についての社会的適用時期の定義をどういった観点から定めるかが重要なポイントとなる。また、急速に発展しつつある科学技術領域調査では、論文による研究領域の把握について、得られた結果が何を意味しているかの解釈に注意が必要で、研究領域やモデルの設定によっては得られる結果が異なる場合があろうということが示唆された。また、調査本プログラムを構成する 4 つの取りくみそれぞれの調査結果をいかに統合するか、といったことについても意見交換を行った。