今日では、どんな企業でも、研究開発に関わるすべてのプロセスを自前で完結させることは不可能である。基礎的な研究を大学などの公的機関がおこない、その成果を活用しつつ企業が研究開発をおこなって応用・製品化するという一方向の関係だけで研究開発のプロセスを捉えることはもはやできず、大学と産業の間、また企業同士の間でのさまざまな連携が起きている。このため、企業にとって、その活動のどこまでを企業内でおこなうのか、どこまでを他企業・大学・研究所にアウトソーシングし、委託し、あるいは共同でおこなうのかが大きな戦略的課題になってきている。原材料や部品をどれだけ内製 (make) するかあるいは専門業者に外注 (buy) するかという生産における「企業の境界」(boundaries of the firm) の問題が、今や、研究開発戦略においても重要になってきているのである。
特にバイオテクノロジー関連分野では、最近の科学技術の進歩が研究開発における企業の境界を大きく変えてきた。しかも、研究開発は大企業でばかりおこなわれているわけではなく、大学でもベンチャー企業でもおこなわれ、これらが一方では競争し、他方では連携して、技術革新を進めている。それだけに、これら社外での技術や能力を活用し、社内研究開発と組み合わせることによって効率的な技術革新を進めることが、各社にとって今までになく重要な課題となっている。また、国にとっても、こうした連携が活発におこなわれることが、技術革新を維持するための必須の条件となってきている。
こうした問題意識に立ち、科学技術政策研究所では国際コンファレンスを企画し、技術革新の経済学的研究における第一人者であるコロンビア大学のネルソン教授に基調講演をお願いするほか、国際的研究者を招いて最新の研究成果にもとづいてバイオテクノロジー研究開発、研究開発における企業の境界、産学連携、その他について講演いただき、さらに、バイオテクノロジー産業実務家から企業間連携やベンチャー企業の実態や問題点について講演していただくことを企画した。産業、政府、大学、研究機関などから幅広い参加を期待するものである。
2004 年 2 月 12 日 木曜日
東京国際フォーラム ホール D7 (東京都千代田区丸ノ内 3-5-1)
文部科学省科学技術政策研究所
9:15 | 受付開始 |
10:00-10:10 | 開会挨拶 |
今村 努 科学技術政策研究所所長 | |
セッション 1 基調講演 | |
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10:10-10:50 | リチャード・ネルソン (Richard R. Nelson) 米国コロンビア大学教授 |
「市場経済、および共有資産としての科学」 | |
10:50-11:10 | 休憩 (20分) |
セッション 2 産学連携 | |
11:10-11:50 | スコット・シェーン (Scott Shane) 米国ケースウエスタンリザーブ大学教授 |
「大学発の起業」 | |
11:50-12:30 | アラン・ヒューズ (Alan Hughes) 英国ケンブリッジ大学教授 |
「産学連携と技術成果 - 英国からの考察」 | |
12:30-14:00 | 昼食 (1 時間 30 分) |
セッション 3 企業間連携 | |
14:00-14:40 | ルイジ・オルセニゴ (Luigi Orsenigo) 伊国ボッコーニ大学教授 |
「バイオテクノロジーにおける企業の境界とネットワーク」 | |
14:40-15:20 | アシシュ・アローラ (Ashish Arora) 米国カーネギーメロン大学教授 |
「新薬開発におけるイノベーション能力と企業間協力」 | |
15:20-15:40 | 休憩 (20分) |
セッション 4 バイオ産業の現場から | |
15:40-16:10 | 出上 聡美 リコンビナント・キャピタル社日本代表 |
「バイオテクノロジー分野の戦略的連携」 | |
16:10-16:40 | 加納 信吾 株式会社アフェニックス代表取締役 |
「技術移転の境界とバイオベンチャーの役割」 | |
セッション 5 科学技術政策研究所研究成果から | |
16:40-17:20 | 小田切 宏之 科学技術政策研究所総括主任研究官、一橋大学教授 |
「バイオテクノロジー研究開発と企業の境界 - 調査結果」 | |
17:20-17:30 | 閉会挨拶 |
平野 千博 科学技術政策研究所総務研究官 | |
17:30-19:00 | レセプション (於: 東京国際フォーラム D7 ホール・ロビー) |
本コンファレンスへの参加お申し込みは、Email または、FAX にてお願い致します。下記の 11 項目についてご記載頂いたメール、または文書を以下に示す参加申込先までお送り下さい。
但し、定員 (230 名 先着順) になり次第締め切りとさせていただきます。
参加申込 (Email または Fax.) は、土日、祝日、年末年始も受付けいたします。
ご参加いただけます方には、「参加登録のご連絡」を、3 日以内 (土日、祝日、年末年始を除く) に Email または、Fax.にてお送りいたします。